首位札幌を相手に2-2の引き分け

 最少失点を誇る札幌を相手でしたが、意外なことに打ち合いの展開になりました。
 ジェフとしては首位とのアウェイゲームでしたから、勝点1は御の字だったように思います。
 ただ、札幌は離脱者が多く、いつもの出来でなかったようにも見えました。
 札幌の内容を考えると、決して勝てない試合でもなかったといった印象を受けましたね。
■先にジェフが2点を取って2-1で折り返し
 ジェフは2試合連続ゴールを決めていた井出がベンチ外に。
 一方で山本がスタメンに復帰。
 ボランチに入るのかと思いきや、山本が右SHに入り長澤がボランチに。
 ベンチからは北爪が外れて、オナイウが入りました。


 札幌は前節のスタメンから、一気に4人も変更に。
 まずGKクがU-23韓国代表に選出され、金山が出場。
 増川が不在で、CBには河合が。
 中盤では出場停止の深井、前節負傷交代した宮澤が外れ、稲本と堀米のボランチコンビに。
 ベンチからは小野も外れており、荒野も負傷中とのことです。



 この試合でも、ジェフは立ち上りから積極的に前に出ていきます。
 キックオフ直後、ジェフの直接FK。
 船山がゴールを狙いますが、壁に当たってゴールならず。


 8分には、札幌の攻撃。
 福森のフィードから、ジュリーニョがキープしてCK。
 これを福森が蹴って、内村がヘディングで合わせますがバーの上。



 15分、札幌にアクシデント。
 稲本が負傷して1人少ない状況で、ジェフの攻撃。
 右サイドからアランダがセンタリングを上げると相手DFに当たり、町田がこぼれ球に反応してダイレクトシュート。
 これが決まってジェフが先制します。


 札幌は1人少ない状況で、集中力を欠いていた印象がありました。
 ジェフは阿部からの縦パスにエウトンがキープ、長澤が落としを受けて逆サイドに散らして、多々良からアランダへと、相手の中盤を使っての展開が作れた。
 結果的にうまく相手の隙を付けたと思います。
 札幌は17分、怪我の稲本に代えて上里を投入。


 20分には、ジェフが追加点。
 右サイドでのスローインから、エウトンが相手を背負いながらも粘ってクロス。
 ゴール前ではあわなかったものの、逆サイドの阿部まで流れると阿部は思い切ってミドルシュート
 これが決まって、早くも2-0となります。



 流れの悪い札幌ですが26分に、ようやく1つ形を作ります。
 中盤の上里から前線への縦パス。
 内村がワンタッチで落とし都倉に繋ぐと、多々良がスライディングでブロック。
 こぼれ球を内村が拾って、ミドルシュートを放つも枠外。


 31分、ジェフのカウンター。
 アランダが相手のパスミスから、町田へ縦パス。
 町田がエウトンにつないで、最後は船山が持ち上がってミドルシュートを放ちますが枠の外。
  

 32分にもジェフの攻撃。
 中央からパスを繋いで行って、山本が裏へ浮き球のパス。
 町田が飛び込んでゴールを狙いますが、打ちきれず。



 解説の戸田も話していましたが、この時間帯の札幌は前線からパスコースを消し切れていなかった印象です。
 全体的な運動量も少なく、ジェフの選手たちの方が一歩目が早かったですね。
 ジェフは中盤の競り合いからカウンターを狙いつつ、3トップのチェックを避けて大外からの攻撃も狙っていた印象でした。


 それでも37分、札幌が1点を返します。
 マセードのクロスをイが弾き返せず、ファーで内村が受けます。
 そのまま粘ってシュートを放ち、2-1になります。


 ジェフは前へプレスへ行けている時は良いのですが、前半途中からリトリートの時間も増えていき、札幌が良い形でボールを持つ機会が増えていった印象です。
 マセードはハーフウェイライン前から長い距離を持ち込んでいきましたが、誰もチェックに行けずそのままクロスを上げられてしまった。
 マセードのクロスは警戒しなければいけない1つのポイントだったはずで、守備の甘さを感じました。



 43分にも、札幌の決定機。
 カウンター展開で後方の堀米から縦パス。
 ジュニーニョがワンタッチで繋いで、福森がサイドで裏を取りファーの内村へクロス。
 内村はフリーで受けますが、シュートを打ちきれず阿部がゴール前でクリア。


 その直後にも、札幌のチャンス。
 左サイドで石井が縦に仕掛けてセンタリング。
 こぼれ球を中盤で札幌が拾い、最後は内村がシュートを放ちますが、GK佐藤の正面。
■札幌に1点を返され2-2で終了
 ジェフが先行するも、徐々に札幌もリズムを作り始めた前半。
 後半開始直後にも、札幌のビックチャンス。
 左サイドの石井からアーリークロスを、ファーで都倉が折り返し。
 内村が完全にフリーとなってゴールを狙いますが、合わせきれず。


 48分にはジェフの攻撃。
 右サイドの多々良からセンタリング。
 エウトンが競ってこぼれたボールを、山本が狙いますがオフサイド



 51分、ジェフが選手交代。
 町田に代わって吉田を投入し、吉田が右SH、山本がトップ下に移りました。
 町田は怪我でしょうか。


 63分、札幌の攻撃。
 左サイドの福森のクロスから、都倉がヘディングシュートを放ちますが、GK佐藤がキャッチ。
 64分にも右サイドのマセードからのクロスを、都倉が頭で合わせますがバーの上。
 55分あたりから札幌にも疲れが見え、ジェフがボールを持つ時間が長くなりましたが、札幌には一発がありますね。


 65分にはジェフの決定機。
 引いた位置で受けたエウトンから、吉田に浮き球の縦パス。
 こぼれ球を船山が拾い、最後は長澤がシュートを放ちますがバー直撃でゴールならず。



 69分、札幌は内村に代えてヘイスを投入。
 その直後の71分、ヘイスが後方からのボールをキープしたところからカウンター。
 都倉が左サイドの裏を持ちあがり、センタリング。
 これに阿部とヘイスがなだれ込んで、同点ゴール。
 阿部のヘイスへの対応よりも、都倉をフリーにさせてしまったことが大きな問題だったと思います。



 疲れの見え始めたジェフは76分、エウトンに代えて大久保を投入。
 意外な交代でしたが、大久保は左SBへ入り、阿部が1列前に、船山が前線に回りました。
 失点時にヘイスに阿部が付いていたということもあって、前に上げたということなのでしょうか。


 82分にも、ジェフの選手交代。
 山本に代わってオナイウを投入。
 85分には、札幌が石井に代えて、上原を入れました。
 


 86分には札幌の攻撃。
 進藤のアーリークロスから、最後はジュリーニョがミドルシュート
 しかし、GK佐藤の正面。


 後半アディショナルタイムには札幌の決定機。
 左サイドからのFKを福森が蹴ると、中央のヘイスがヘディングでシュートを放ちますが惜しくも枠の外。
 そのまま試合は2-2で終了となりました。
■先行逃げ切りのジェフ
 ジェフとしてはここ数試合と、同じような展開だったと思います。
 立ち上りから積極的に前に出て行って、中盤などでボールを奪ってそこからカウンター。
 そして、そのままの勢いで相手を押し込む。


 中盤でボールを奪ってのカウンターなら、細かなビルドアップは必要ない。
 "奇襲"のような形で、キックオフから勢いを持って攻め込んでいく。
 実際、岐阜戦、長崎戦、札幌戦と、同じように速い時間帯にゴールが決まっています。
 唯一違ったのが熊本戦で、相手のチーム状況を考えて、あえて後半から勝負を仕掛けたのではないでしょうか。



 中盤でボールを奪ってカウンターという形が成立すれば、守備時は5-2-3となる札幌は中盤の薄さが諸に出てしまう。
 加えてこの日の札幌は立ち上りこそ都倉がジェフのSBについていきましたが、それ以降は前線からの守備が薄かった。
 後半には修正された面もあった印象ですが、3トップをかわされると5バックと中盤2枚だけで守ることになりますから、かなりきつい状況になります。


 しかも、この日の札幌は、ボランチ2人がいつもと異なるメンバーだった上に稲本も負傷交代。
 中盤を2人で構成する分、深井の奪取能力や運動量、宮澤のゲームメイク能力が重要なシステムだったはずですから、そこが欠けたのは大きなマイナスだったのではないでしょうか。
 ク、増川と含めて守備の要が一気に抜けたことで、守備の安定感を作りきれなかったように思います。


 そこに対してジェフは、エウトン、町田、アランダといったセンターラインの選手たちが目立った活躍を見せてくれました。
 勝点1を得ることが出来たのも、この3人がアプローチの速さや球際で相手に勝っていたことが大きかったのではないかと思います。
 それによってセカンドボールを拾えて、ハーフカウンターにも結び付くことが出来ていました。



 ジェフとしては先行逃げ切りを狙って、実際にここ3試合早い時間帯にゴールを決めているのであれば、そこは収穫と言えるのではないでしょうか。
 ただ、一方でここ3試合無失点の試合もなく、殴り合いの試合が増えていることにもなります。
 札幌戦での2失点も相手の技量もあったとは思いますが、どちらもジェフの守備の甘さから生まれたもの。
 そう考えると、勿体のない試合でもあったと思います。


 立ち上がりから飛ばしていくということであれば、どこかで疲れや隙も出てくるはず。
 実際この試合でも後半から選手たちの足は止まっていましたし、失点時もあっさりとやられてしまった印象があります。
 そういった甘さをなくして、90分間集中量を切らさずに戦い続けることが出来るようになるかどうかが、今後上位争いをできるかどうかに関わってくるのではないでしょうか。



 中盤で奪ってからのハーフカウンターということで、昨年序盤に近いサッカーに戻ってきた印象もありますが、あの頃ほど無理なハイプレスではないようにも思います。
 関塚監督の実施するサッカーを考えると、結局はうまくはまるのはこの道しかないのかなとも思います。
 チームとしては攻撃陣が好調なうちに、勝ち切れる術を身に付けることが出来るかどうか。
 特に攻撃の勢いを削ぐことなく、守備を安定させることが出来るかどうかが、今後の重要な目標となっていくのかなと思います。