首位を走る札幌の5-2-3
明日ジェフは札幌ドームで札幌と対戦。
札幌は目下6連勝中。
1試合少ない状況にもかかわらず、2位町田と勝点4差をつけて首位を走っています。
今季の札幌の強みは、堅守ということになるのではないでしょうか。
14試合を経過して総失点数はJ2最小の7。
ジェフは15試合ですが総失点数は16となっていますので、札幌は半分以下の失点数ということになります。
札幌は攻撃時は3-5-2でありながら、安定した守備を確立している印象です。
攻撃時は3-5-2で、守備時は5-2-3のようなシステムで守る。
これが大きな特徴となっている印象です。
もともと札幌の5-2-3は、昨年小野伸二が怪我から復帰した際にスタートしたシステムだったと認識しています。
小野はプレースタイルを考えると、トップ下で起用したい。
しかし、自身がゴール前に飛び出すタイプではないので、前は2トップにしてターゲットを増やしたい。
2トップ+トップ下ということはダイヤの4-4-2か3-5-2ということになりますが、中盤がダイヤだとバランスを取りにくいし、札幌はそれまで3バックで戦っていたので後者を選んだということではないかと思います。
ただ、昨日も話した通り、3-5-2だとサイドへの守備に難しさが残る。
おまけに小野は守備力や運動量、フィジカルの面では不安がある。
そこで守備時は2トップが両サイドに開いて、小野と同列にして3トップのような状況で守るシステムを構築した。
これによって小野は攻撃時も守備時も中央にいれば良くなるわけで、小野のプレーエリアを限定することが出来る
そもそもは小野の負担を減らすためのシステムだったと思うのですが、これが今季の堅守に繋がっていった。
昨日までにも話したように、現在サッカーのトレンドはコンパクトなサッカーからのカウンター。
そして、そのコンパクトさを維持するためには、前線からのパスコースを消すことが重要になってくる。
それに対してこの5-2-3は、前方に3枚が位置するため、3人でパスコースを消すことが出来る。
昨年はあくまでも小野の守備を限定するためのシステムだったため、そこまで前方の広範囲をカバーできていたわけではなかったように思いますが、今年はトップ下にジュリーニョが入っている。
ジュリーニョはより動ける選手で、これによって前3人が並んでパスコースを限定できるようになった。
前方の3人で中央のパスコースを消し大外にボールを追いやったところで、そこから縦パスが出ればウイングバックが前に出てくる。
ウイングバックとしては前方でパスコースを限定しているため、前へ潰しに生きやすい。
コンパクトに戦いながらウイングバックが状況に応じて前に出ていくことで、中盤の枚数の少なさも問題にならない…という状況が作れているように思います。
相手がパスを繋げずロングボールを蹴れば、後方で増川が跳ね返す。
19歳のMF進藤、21歳のMF深井と下部組織出身の選手たちの運動量も豊富で、相手を潰すことが出来る。
GKク・ソンユンやDF福森も若い選手たちで、ベテランとのバランスも良いように思います。
攻撃時はFW都倉が高さだけでなくキープ力も見せられるようになり、FW内村にはスピードがある。
ジュリーニョとマセードは共に縦に鋭く仕掛けられて、チャンスメイクが狙える選手。
福森のプレースキックも健在で、セットプレーも要注意ということになります。
ただ、ジェフ戦では、レギュラーボランチとしてプレーしていた深井が出場停止。
稲本あたりが出てくることになるのでしょうか。
何人か負傷者もいるそうなので、そのあたりがどのように影響するのか気になるところです。
ジェフとしては、この試合でもビルドアップが問われることになるのではないでしょうか。
札幌は3トップ気味で守ってはいますが、前から積極的に追うわけではなく、あくまでパスコースを消しながら待ち構える守備。
対してジェフは、前節長崎戦で相手が途中から引いて守るようになり、攻撃の形が作れなくなっていった。
このところジェフは攻撃陣が好調で、5試合連続でゴールを決めています。
それがここ5試合負けなしといった成績にも、結びついているのではないでしょうか。
しかし、熊本や岐阜など相手から崩れてくれた面もある試合もあったので、札幌戦は攻撃陣の真価を問われる試合となるのかもしれません。
もちろん得点を決めるだけでなく、その上で勝ち切ることも必要ですね。
ここ5試合での勝敗は2勝3分ですから、引き分けが多い状況となっています。
試合内容を考えれば十分勝点を稼げた5試合だったと思いますが、そこから勝ち切れるようになっていかないと勢いもついてこないように思います。
札幌としては、このまま独走を果たせるのか。
そのためには堅守だけでなく、より得点力も上げていくことが目標となっていくのでしょうか。
一方のジェフは上位争いに食らいつくためにも、首位札幌を相手に手応えを掴める試合となるのか。
アウェイゲームですし簡単な試合にはならないと思いますが、良い試合をして勝点をものにしたいところですね。