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多々良のクロスからエウトンがゴール

JEF

 北九州戦での唯一のゴールは、82分に多々良のクロスをエウトンが決めたものでした。
 エウトンは今季5ゴール目となり、これでチームトップタイに。
 多々良のアシストはFootball LABによると、今季2つ目となるそうです。



 先週も話した通り、多々良は綺麗なクロスを上げられる選手だと思います。
 北九州戦でアシストを記録したシーンでも、しっかりとゴール前を見てから狙い澄ましてボールを上げている。
 「アバウトにこのあたりで」と蹴るのではなく、ボールの軌道をイメージしてボールを出せる選手なのではないかと思います。


 また、このシーンではダイレクトでクロスを上げたことで、相手の守備が整う前にクロスを供給することができた。
 今季1つ目のアシストを決めた横浜FC戦でも、ダイレクトでクロスを上げて船山のゴールを演出しています。
 ダイレクトでのクロスボールは決して簡単ではないはずで、基礎技術の高い選手なのではないでしょうか。



 もちろん試合全体を通しての攻撃への関与に関しては、物足りなさも感じるとは思います。
 前に飛び出すようなプレーも少なく、仕掛けもあまり出来ていない。
 ただ、前への飛び出しなどはチームとして意図をもってやっていかなければ難しいところもあるだろうし、仕掛けにおいては本来CBの選手に期待する方が酷だと思います。


 例えば北九州はFWにボールが出ると、必ずといっていいほど風間が思い切ってスプリントを仕掛けていった。
 そのタイミングで出て行って守備は大丈夫なのかと思うほど積極的に飛び出していましたが、それもチームとしての約束事として許されているプレーなのでしょう。
 2失点目も風間の飛び出しからやられてしまいました。


 柱谷監督になってから北九州は選手1人1人がボールを持っても焦って仕掛けることなく、粘り強くキープしようという意思を感じます。
 それによってボランチが飛び出しても、フィニッシュまで持ち込めるため問題ないという考えなのかなとも思います。
 焦って仕掛けるばかりではなく状況に応じてキープするというような発想は、ジェフも参考になる部分があるのではないでしょうか。



 北九州戦で苦しんだのは、右SBの多々良よりも左SBの阿部でしょう。
 早いタイミングで疲労困憊状態になり、動けなくなっていった。
 裏を狙われることが多く、スピードで相手に翻弄されていました。


 攻撃においても後半からクロスが増えていきましたが、疲労のせいか高い位置まで出ていけない。
 アーリークロスが多かったため確率が低いものになっていたし、工夫のないクロス展開が続いたため相手にとって予測がしやすかった。
 それこそ多々良は深い位置でのワンタッチクロスだったために、相手が対応しにくい状況になっていた。
 大事なのはクロスの鋭さや精度だけではないということが、はっきりとしたシーンだったと思います。



 ゴールを決めたエウトンは前半終盤にもCKから惜しいシュートを放ち、反転してからのミドルシュートもありました。
 特に反転してからのシュートは、パワーもあって枠も捉えていた。
 あの体制からあれだけのシュートを放てるということで、腰の強さも感じました。


 1点を失ってからのジェフは、守りを固める北九州に対して工夫もなく中央のFWにボールを供給し続けていました。
 組織的に相手を崩す展開や、相手のマークをはがすようなプレーが少なかった。
 左右への揺さぶりも少なかったため、個対個の勝負にしかならなかったということになると思います。



 "正面衝突"のような状態で、相手に勝てたのがエウトンしかいなかったということでしょう。
 井出も1人で相手を崩すほどのドリブルはないし、町田も接触プレーが増えると弱さが出てしまうため相手に引かれると弱い。
 オナイウもそこまで圧倒的な強さがあるわけではない。


 組織的に連動して崩せるような展開が狙えれば、井出や町田のような選手も活きてくるかもしれませんが、現時点だとそれは期待しにくい。
 早い時間からエウトンとオナイウの2トップにして、早々に崩しは諦めたように見えました。
 しかし、相手が守備を固める状況で、パワープレーのような展開だけでは安定した得点は難しいと思います。



 残念なのは今回のような遅攻時において、「崩す形を狙うもののうまくいかない」のではなく、そもそも「崩しを狙う形すらない」ように感じること。
 それではいくら時間が経っても、遅攻の形は進歩していかない。
 J2も守備的なチームが多いとはいえ、それでも北九州のようにパスワークで崩す狙いを持っているところがほとんどだと思います。


 しかし、ジェフはプレスからのハーフカウンターか、それがダメならパワープレーのような状況になってしまった。
 それではなかなかJ2を勝ち進んでいくのは、難しいように思います。
 今後はまずプレスからのハーフカウンターが復活するかどうか。
 それが難しいとなった場合、次の手がなかなか見えてこないというのが、現状ではないかと思います。