前節山口戦で開幕戦以来の勝利をあげた長崎と対戦

 昨シーズンは6位で終え、プレーオフ進出を決めた長崎。
 しかし、前節終了前の段階では最下位。
 勝ち星も第1節金沢戦から遠ざかる、苦しい状況でした。



 前節の対戦相手は、C大阪に4-2で勝利した山口。
 アウェイゲームでもあり厳しい試合が予想されましたが、立ち上がりに2点を奪い試合を先行。
 試合終盤にも追加点を奪って、3-0で勝利しました。


 この試合で長崎は4-4-2にシステムを変更。
 2013年に昇格してから長らく3バックをベースに戦ってきた長崎ですから、大きな変化だったのではないでしょうか。
 しかし、高木監督は横浜FCでも4-4-2で堅守を作った経験のある監督でもあります。



 今年の長崎は失点が非常に多く、総失点数19はJ2で19位の成績。
 昨年は総失点数33でJ2で2番目に良い成績だったわけでですから、チームの武器が失われていたことになります。
 そこで4-4-2にして前からプレスに行き、コンパクトなサッカーに変更していったということでしょう。


 山口戦では相手の出来が悪く守備でも簡単に裏を取られ、攻撃で運動量が少なく得意のパスワークが展開できない状況でした。
 それでも長崎にとっては90分を通じて安定して守備を構築したことは、大きなプラスだと思います。
 4-4-2でコンパクトな布陣をできるだけ維持して、奪ったら縦に速く攻めるというスタイルは、現在のトレンドでもありますね。



 対するジェフは、2連勝でアウェイ長崎戦に臨みます。
 現在8位と順位はまだ中位ですが、2位との勝点差は3にまで縮まりました。
 2連勝したとはいえ、それまで1ヶ月勝ち星がなかったわけですから、この差は意外でもあります。
 優勝候補と言われたC大阪や清水が低迷し、混戦となっていることも大きいのでしょうか。
 いつの間にか、清水を抜いていましたね。


 ここ2試合は2-0、3-2と勝利しているわけですから、攻撃陣が結果を残していることが大きいでしょう。
 エウトン、町田の調子がよく、そこから前に圧力をかけることが出来ている。
 ただし、熊本はコンディションに、岐阜は守備面に問題があったように思います。
 前節山口を相手にして、完封に抑え込んだ長崎相手にも通用するかが注目ですね。



 一方で、岐阜戦で気になったのは守備面。
 1点目はCKの流れから完全にマークを外し、ゴール前でフリーな選手を3人も作ってしまいました。
 今年も左右への揺さぶりに弱い印象です。


 また、2失点目はジェフが3点目を取った直後にやられたもの。
 視点に至る流れにおいても、簡単にバイタルエリアを取られ、相手のクリアボールへの反応が遅れ、攻撃を作られてしまった。
 その後のCKからの流れでやられたもので、完全に気が抜けた状態だったと思います。



 何度か話していますが、今年のジェフは得点を奪ってから減速してしまうことが多い印象です。
 岐阜戦で先に2点取ってからも、攻撃の形が作れず防戦が長くなってしまった。
 2-0でリードしたから無理に攻めなかったという可能性もありますが、2失点目の状態を思い返すとそれだけでもないような気がします。


 ビルドアップが安定しないから、常時良い形で攻めるのが難しいのか。
 深く守るスタイルだから守備に回ると押し込まれ、ボールの奪いどころが低くなってカウンターを狙い続けるのが難しいのか。
 同じ4-4-2でも現在のトレンドとは、コンセプトが違うサッカーになっている印象です。

 

 しかし、それらを差し引いても2失点目までの流れは酷かったと思います。
 ここ数年、簡単に失点してしまうことは珍しくないとは思いますが、あそこまで気が抜けた状況は珍しいのではないでしょうか。
 やられるべくしてやられた2点目だったと思います。


 考えられるのは、メンタル的な問題と言うことでしょうか。
 点を取って満足してしまう、あるいは安心してしまうことで、気が抜けてしまう。
 チームにリーダータイプがいないというのも大きいのかもしれません。



 阿部や近藤など経験豊富なベテランは少なくないかもしれませんが、周りを引っ張っていくようなキャラクターではないようにも思います。
 気が抜けた時に叱咤できるような選手がいない。
 しかも、今年はメンバーも総入れ替えで、誰が精神的な軸かもまだはっきりしていないのかもしれません。
 勇人や富澤が怪我で不在となっているのも、大きいのかもしれませんが。


 1人のリーダーに依存するのはあまり良くないようにも思いますが、ここぞという時にチームを締めることが出来る存在が必要なのかもしれません。
 戦えるチームになって、空白の時間をなくすことが出来るか。
 それも今後のポイントとなっていくのでしょうか。