ボランチ長澤が今季3ゴール目を決めジェフトップタイに
先週末行われた岐阜戦でも、ボランチでスタメン出場を果たした長澤。
83分には、貴重なチーム3点目をマーク。
長澤としても3月6日に行われた第2節岡山戦以来となる、今季3ゴール目を上げたことになります。
これで町田と並んで、チーム内得点ランキングトップに躍り出ました。
岐阜戦での長澤は、先制ゴールの起点にもなっています。
右サイド後方からの縦パスが井出に当たり、中盤中央に転がったところを長澤が拾います。
そのまま若干斜め左方向にボールを持ち上がり、相手を引き付けておいて左サイドの船山にパス。
船山のアシストに繋がりました。
船山にパスを出す前に一度軽く中央方向へボールをコントロールしたことによって、相手が中に釣られて左サイドにスペースが出来た。
そこを見逃さず、しっかり船山にパスを出したシーンでした。
長澤らしいキープからの展開だったように思います。
また、トップ下に移って決めた3点目も、長澤の個人技が光ったプレーだったと思います。
右サイドを持ち上がった吉田から、ゴール前中央にいた長澤に斜めのパス。
長澤はボールを受けた瞬間に、背後にいた相手選手を押し込んで右方向に出ます。
それによって小さなスペースを作って、素早くシュート。
この場面でのジェフは全体的に押し込まれていたこともあって、ゴール前には長澤しかいなかった。
しかし、相手は人数がいたことで逆に譲り合ってしまい、長澤に前を向くスペースを与えてしまったように思います。
その一瞬を逃さずに、長澤が小さなステップから思い切ってシュート。
シュートコースも狭い状況でしたが、GK高木に触られたものの見事にゴールを決めて見せました。
長澤のセンスを感じるゴールだったと思います。
特にミドルシュートを正確にコントロールするのが、うまい選手といえるのでしょうか。
長澤は「ここぞ」といった場面でのシュートやキープ力などに、能力の高さを感じます。
一方で継続的にパスを散らして、受けて、また散らして…といった動きなどは、そこまで得意ではないのかもしれません。
このあたりの継続性は日本人選手が得意なところで長澤も日本人選手ではありますが、ドイツ仕込みの一発の強みを感じるところもあるように思います。
そのため長澤と山本のボランチコンビでも、山本が後方で細かく散らしたり守備でバランスを取ったりといった目立たない仕事をこなし、長澤が前に出ていくといったプレーが多い。
熊本戦でも長澤がサイド前方に流れるプレーが目立ち、岐阜戦でも1点目のようにアシストする場面があった。
山本は黒子に徹している印象で、やはりそこは本職でボランチをやってきたからこそできるプレーだと思います。
それに比べると長澤は、どことなくセンターハーフといったイメージなのかなと思います。
井出のボランチは完全に2列目の仕事を低い位置でやっているといった印象でしたが、長澤は自分から展開も出来るのでもう少し中盤よりなのかなとも思います。
しかし、それでもまだまだ攻守に細かな仕事はこなし切れていないのかなとも思わなくもありません。
特に押し込まれた状態での守備には不安がある印象です。
山本もそこに関してはあまり期待できず、熊本戦前半や岐阜戦後半は中盤でスペースを与えて劣勢に立たされてしまった。
やはり攻め込めている時はこの2人のコンビで良さが出せますが、守備に回ると辛いところがあるように思います。
対人守備では強さの発揮できる長澤ですが、どのようにスペースを消すのか、どのように跳ね返すのかといった点においてはまだ課題があるのでしょうか。
今季のジェフは一時期ボランチの1人が前に出て行って、もう1人がカバーといった関係性を作っていましたが、最近ではそれが見られなくなっています。
タイミングからして、あれは富澤が自己判断で作り上げていたものだったのかもしれません。
このあたりからしても、選手個々だけではなくチームとしても中盤の守備には不安を抱えている印象です。
今後本職のボランチも復帰してくるでしょうから、そうなってくると長澤がどれだけボランチでプレーするかはわかりません。
攻撃面では魅力を感じる2人のコンビではありますが、ボランチは"チームの心臓"ですからどんな状況でも対応できる状態を作るのが理想だと思います。
熊本、岐阜とコンディションや守備に大きな課題のあった2チーム相手だったからこそ、何とかこなせていたという面もあったと思いますし、今後はここを狙われる可能性もあるかもしれません。
ただ、来季以降の長澤がどうなるかはわかりませんが、こなせるのが2列目だけという選手では監督にとっても使いづらいところがあると思います。
確かに上記の通り攻撃センスは感じますが、スペシャルな"クラッキ"レベルかというと今はまだそこまでのものは感じない。
条件が整えばセンスを発揮できるとは思いますが、常にチャンスを作り出しているわけでもないですし。
そうなってくると、日本でのボランチ的な継続性のあるプレーも学んでいかないといけないかもしれません。
そういった意味でこのボランチ経験は、長澤にとっても意味のあるものに繋がっていく可能性があるのかもしれませんね。
出来ればその経験を将来的にもジェフで活かしてほしいと思うわけですが、現時点ではJリーグのサッカーの様々な部分を吸収しながら、自分の武器を磨いていってほしいところですね。