エウトンと吉田によるポジション争い

 群馬戦では、吉田がCFとしてスタメン出場。
 エウトンは吉田に代わって、60分から出場しました。
 吉田は開幕から2試合は途中出場で、第3節からスタメンを奪取。


 一方で、エウトンは開幕と第2節ではスタメンでしたが、第3節は出番がなく第4節と第5節は途中出場。
 しかし、第5節群馬戦では60分と比較的早いタイミングで、両者が交代したことになります。
 今後ポジション争いが、より激しくなっていく可能性もあるのでしょうか。



 群馬は前半のうちにDFラインの裏を取られることが多かったので、後半から徐々にラインが下がっていったように思います。
 それによって、ジェフは相手の裏を取れなくなっていった。
 そこが後半序盤に試合が膠着した、1つの要因だったのではないかと思います。


 そこでエウトンを投入して、裏ではなく空中戦のターゲットとして期待したのではないのでしょうか。
 関塚監督は「吉田に疲れが出てきた」と話してますが、実際にはエウトンを狙った空中戦のボールも増えていったように思います。
 エウトンは得点こそありませんでしたが、いくつか良い形で攻撃に絡めていました。



 エウトンは単純な空中戦の強さだけではなく、身体の横幅にサイズがある。
 その分競り合いに強く、相手に押されても簡単には倒れない印象があります。
 これがエウトン一番の特徴なのかもしれません。


 守備もある程度してくれるし、足元の技術もある。
 非常に真面目な外国人選手といった印象で、そこはジェフの伝統が続いている部分もあるのかもしれませんね。
 裏への抜け出しも、出来ないというわけではないと思います。



 これまでノーゴールと得点力は物足りないですが、これは吉田にも言えることだと思います。
 吉田も開幕戦以降はゴールがないだけでなく、現状だとあまりシュートチャンスにも絡めていない印象です。
 開幕戦や第2節ではウイングで途中出場しており、そこからゴール前への飛び出しに可能性を感じましたが、スタメンを勝ち取ってからは前線でのプレーになっています。
 前線での方がどうしてもマークは厳しくなるため、そこで苦労している面もあるのではないでしょうか。


 ただ、その分吉田は守備などでしっかり貢献しているし、空中戦のターゲットとしても決して弱いわけではない。
 細かなボールの受け方もうまく、日本人選手ということで流動的な動きもできる。
 船山のパートナーとして、重要な存在になっている印象です。


 一方のエウトンもここまでゴールはないものの、クロスの入り方はうまい選手だと思います。
 クロスが出る前にニアで入っていって、ヘディングでしっかりと合わせることが出来る。
 ただ、上からドスンと叩きつけるようなヘディンガーではなく威力はもう1つなので、そこが得点から遠い理由の1つなのかもしれません。



 大枠で言えばどちらの選手も足元での技術もあって、ポストプレーも出来て、それなり高さもあって、守備もしてくれる。
 オールマイティな選手と言えるのではないでしょうか。
 ただ、その分ずば抜けた得点力や打開力があるストライカー、といった印象ではないように思います。


 関塚監督は以前もケンペスよりも森本を選んだこともあるように、全体的にオールマイティな選手を好むところがある印象を受けます。
 確かにそういった選手を集めたほうが、チーム作りに問題は起こりづらく細かな戦術がなくても成立しやすい。
 ただ、特に攻撃では異物感のある選手も取り込んでいかないと、攻撃が単調になりがちでチームの伸び代も小さくなってしまうように思います。
 オールマイティな選手でかつ個人能力で得点できる選手が補強できれば良いのでしょうが、そこまでの選手はなかなか望めないでしょう。



 特に群馬戦のような展開では、ガツンと状況を打開できる攻撃的な選手が欲しいところではないかと感じました。
 組織的に崩すことを重きに置いていないチームだからこそ、本来はそういった選手を組み込めるかが重要ではないかとも思います。
 関塚監督は群馬戦後に「3人目、4人目の絡みが少なかった」と話していますが、そこは今に始まった課題ではないですから時間が経過することで解決するものでもないでしょう。


 J2での中位レベルに多いオール日本人で異物感のないチームを作って、そつのないサッカーを目指すようなクラブ状況であればそちらの方が無難なのかもしれません。
 けれども、そこからさらに上を目指すとなると、多少課題があっても打開力のある選手も埋め込めるようにならないと、チーム全体のスケールも大きくなっていかないように思います。
 これは関塚監督だけの話ではなくて、そつのないチームから更にワンランク上を目指すために異物感のある選手をいかにチームに組み込めるかどうかといった点は、日本人監督の多くが直面する課題ではないかとも感じます。



 現状のジェフの場合はそういったタイプの選手は全くいないわけですから、いかに自分の仕事も真面目にこなしつつ得点を奪うか。
 あるいは特定の選手だけではなく、多くの選手が得点を奪えるような形を作るれるかが、チームの目標となっていくのでしょうか。
 現状だと船山が得点に絡む可能性を一番感じる選手なのかなとも思いますが、そこに吉田やエウトン、小池や長澤や井出などももっと絡んでいけるといいですね。