高橋GM「3年も下さいと言えばサポも疑問に思う」

 15日発売のエルゴラッソに、高橋GMのコメントの付いた記事が掲載されました。
 気になった点を、いくつか取り上げさせていただきたいと思います。


 まず、「契約の仕方を考える」という話をされています。
 高橋氏をあえてGM職としたのも、契約面などの改善を期待してのことだったのでしょうか。
 個人的にはベテラン選手を複数年で契約することで、固定費が増して苦しんでいる印象があったのですが、そこは問題ないという判断なのでしょうね。
 文脈からすると、勝利給や得点数におけるボーナスなども考えているのかもしれません。
 その分基本給を下げれば効率は良くなる可能性がありますが、そういったやり方はオシム監督が嫌っていたので、ジェフには今でもそれが残っているということなのでしょうか。



 しかし、ジェフも2014年からは公認会計士の資格を持つ唐井氏が再加入。
 唐井氏が事務方を主に担当して斉藤氏が技術面を主に担当していたはずで、会計上の大きな問題はなかったのだろうと思います。
 高橋氏は会計上の問題というよりは、効率の問題を指摘しているのか。
 細かな契約面などは内部にしかわかりませんが、楽天社での経験も活かして…ということなのかもしれません。


 確かにジェフは予、算の割に成績が残せていないクラブということが言えるとは思います。
 ただ、元所属の神戸も決して賢くお金を使うクラブというような印象はあまりありません。
 神戸は長らくの赤字体質で、昨年はクラブライセンス制導入に合わせて三木谷氏が22億5000万円もの債権を放棄し3年連続赤字と債務超過の両方から脱出した経緯があります。
 あちらは1年でJ1昇格経験があるとはいえ、1年目だからこそ無理が効き、戦力も維持できた部分もあったのでしょう。
 もちろん現場での細かなお金の問題と全体の経営問題は異なるとはいえ、まったくの無関係とは言えないでしょうし、そこを素直に期待していいものなのかどうか…。



 また、補強に関しては前線の「選手を獲りたい」とのことで、これも元神戸らしさを感じます。
 高橋氏が強化部長時代にもポポ、マルキーニョスペドロ・ジュニオール渡邉千真レアンドロなど有力なFWを獲得していることになります。
 ジェフもペチュニクが退団ということになれば、FW補強は必要になるかもしれません。


 ただ、「ブロックを敷かれてしまった」と話をしており、それに対する対策としてFW補強を実施するということですが、こういったプランは以前にもジェフのフロントが話していた印象があります。
 しかし、実際にはうまくいかなかったわけで、FW補強だけでその点を簡単するのは解決ではないでしょう。
 自分で仕掛けて数人を打開できて、そのままゴールまで決められるようなスペシャルなストライカーが獲れるというのなら別でしょうが…。



 このコラムで一番重要なのは、高橋氏が「改革と強化を同時並行でやっていく」と話していることではないでしょうか。
 まだ社長も来季に関して公の場で話してはいないはずですし、クラブ首脳が初めて来季の方向性に関して口にしたことになります。


 この言葉の後には「今の状況で3年も下さいと言えば、サポーターの人も疑問に思ってしまう」と続きます。
 そこからして、来期も結果を追及するということになるのではないでしょうか。
 これまでのオフの動きも主力選手は残し、若手選手は放出して、ベテラン選手を獲得している流れですし、早期に結果を目指していくという考えに受け取ることができるように思います。



 早期に結果を出すということに関しては1つの考え方ですから、頭から否定することは出来ないと思います。
 個人的には賛成しがたいですが、フロント内部で話し合った結果、うまくいく見込みがあるというのであればそちらを選ぶべきでしょう。


 ただ、気になるのは「サポーターも疑問に思ってしまう」というコメント。
 一口にサポーターといってもいろいろな意見があって「早期J1復帰」を望む声も当然あると思いますが、逆に「むしろ3年かけてじっくり育ててほしい」と考える人もいるでしょう。
 高橋氏はサポーターの多くが早期の結果を願っていると思ってるのかもしれませんし、サポーターの声を大事にしようという表れでもあるのかもしれません。



 しかし、大事なのはサポーターがどうかよりもフロントや高橋氏がどのような志を持って、どのような決意でクラブ運営をしていくかではないでしょうか。
 記事の最後に高橋氏のコメントで「一貫性や意思の強さが足りない」と出ていますが、すでにそこが出てしまっているようにも思わなくもありません。
 フロントや首脳陣によって、こうやって分析してこういう状況であるから、早期に結果を出さなければいけない…という話の流れならわかります。
 「関塚監督の2,5年目だから集大成として」という話でもいいだろうし、「他クラブと比較して予算面で明らかな優位差があるため結果を残す」という考えもできるかもしれません。


 しかし、「サポーターがそう思うだろうから」とか「スポンサーがこう言うから」というような理由で、来季以降の目標を定めるのは逃げではないかなとも感じてしまいます。
 もしサポーター大多数の意見が高橋氏の読みとは違ったら、あるいはサポーターの意見が変わったらその度に方向性が変わってしまうのか。
 サポーターの言うことだからクラブにとって正しいとは限らないわけですし、それでは「一貫性」のある運営とは言いづらいのではないでしょうか。
 むしろそういったフロント外の言葉に惑わされてきたことで、「一貫性」のない運営になってきたところがあるのではないかとすら思いますし、自分で決めたのであれば責任を持って自分の「強い意志」でこうするんだと明言すべきではないでしょうか。



 もちろん、まだ就任間もない状況ですから、難しい面もあるのでしょう。
 実際どことなくジェフの状況を把握しきれていな印象がある気がするというか、「それはもう通った道では…」と思う部分もあります。
 外部から若いスタッフを招聘しいきなりGMに抜擢したということで仕方のないところも当然あるでしょうし、今後埋めていかなければいけない部分も多いのではないかと感じます。


 ただ、GMの仕事が来てそれを受けると決めた以上は、何よりも自分の信念を持って実行することが求められるのではないでしょうか。
 上で取り上げた契約や補強ポイントなどは細部の問題であり、正直それだけで今のジェフが大きく変わるとは思えません。
 それよりもまずは強い信念を持って強化部を引っ張ることができるかどうかが、重要になってくるのではないでしょうか。
 もちろん非常に大変な仕事だとは思いますが、神戸では成績不振の責任を取っての退任と報じられていましたので、高橋氏にとってもジェフでの仕事は大きなチャンスでもあるのだと思います。
 このチャンスをものにするためにも、ぜひ頑張ってほしいですね。