ジェフ、甲府DF阿部翔平へ獲得オファーか
ジェフが甲府DF阿部翔平へ獲得オファーを出したと、日刊が報じています。
船山やパラグアイ代表MFの獲得報道はジェフ側があえて出したのではないかと思いますし、今回も中村の移籍発表直後ということでもしかしたら同様のケースなのかもしれませんね。
今のところ契約満了、中村の移籍と出ていく話ばかりで、監督続投も反対意見が多いとなれば良いニュースはほとんどないオフとなっていますし、明るいニュースをリークしたいという思惑があっても不思議ではないように思います。
マスコミをうまく利用するのも、交渉などに支障が出ないのであれば、一概に悪いとは言えないとは思います。
斉藤TDは交渉相手なども気にしてか、情報漏洩にかなり気を使っていたようですけどね。
そこは良くも悪くも、楽天出身の高橋GM…ということなのでしょうか。
ただ、それだけに今回の獲得報道が、どれだけ実現性の高いものか疑問はあります。
甲府でもレギュラーで他に左WB候補もいないはずですから、移籍が決まれば穴埋め補強をしなければいけない状況しょうか。
記事にも「移籍の可能性が出てきた」と書かれており、まだ状況は不透明であることを示唆しています。
32歳という年齢もあって複数年契約に本人が惹かれ、甲府が左サイドの世代交代を目指すということになれば可能なのかもしれませんが…。
阿部翔平は左足のキックが武器のテクニカルな左SBといった印象。
クロスやプレースキックの精度の高さだけでなく、大きな展開も狙える選手といったイメージがあり、そこが関塚監督好みの選手とも言えるのかもしれません。
名古屋でのイメージが強く長年在籍していましたが、14年から甲府に移籍して2年間主力選手として活躍しました。
オシム監督にも名指しで、期待の声がかかったことがあったはずです。
しかし、それでも代表には選出されなかったということで、どこかに課題があるという判断もあったのでしょう。
オシム監督の好みも加味すれば、スピードやサイズの部分が物足りないという子評価だったのではないでしょうか。
外国人監督は日本人監督以上に左利きの選手を重要視する印象があるので、それもあって名前が挙がったのだと思います。
ハリルホジッチ監督もそうですし、ジーコ監督、トルシエ監督、ベンゲル監督なども左利きの選手の重要性を語っていたことがあります。
阿部翔平が名古屋で主軸選手となったのも、ストイコビッチ監督時代からでした。
左足の精度が高いSBということで、大きな括りで言えば中村に近いタイプの選手だと思います。
それだけに個人的には意外な印象も受けました。
以前にも話した通り、結果的に中村を放出するような形になるのであれば、違うタイプの選手を獲得すべきではないかと思っていました。
中村の移籍が仕方ないものと思えてしまったのも、今のサッカーに中村が合っていないから。
その中村の移籍をプラスとするためには、違うタイプの選手を同ポジションに充てるしかないだろうと。
そこに似通ったタイプの選手を補強しても結局は穴埋めにしかならず、それならば中村を死守したかったはずです。
大事なのは今年と同じサッカーをやるのなら関塚監督続投の意味はないわけで、来年成功するためには変化が必要だということ。
確かに阿部翔平の方が中村よりは動ける印象はありますが、それでも今年はSBが中央に絞って跳ね返す仕事も任されていたわけで、171cmと中村より10cm以上身長の低い阿部では厳しいと思います。
だから、金井を左SBに回すのかなとも思いましたし、補強するにしてもロンドン五輪のOA枠で招聘した徳永のような選手。
あるいは攻撃面を考えてもクロッサーではなく、1人で持ち込んでドリブルで打開できる川崎時代の森のような存在が良いのではないかと思っていました。
だから、川崎時代の山岸は合わなかったのだろうと思います。
確かに山岸はジャンプ力もあってフィジカルも強く、守備も攻撃もできる選手だと思います。
しかし、攻撃面では連携で相手を崩すタイプなので、関塚監督のサッカーには合わなかったのでしょう。
阿部翔平もどちらかと言えば、連携からのクロスがウリな選手ではないでしょうか。
それとも本格的な3バックへの変更を考えているということなのか。
CBも富澤、キム、大岩に加えて金井もできなくはないでしょうし、阿部はサイズ面を考えても3バックの方がいいのかもしれない。
今季のジェフは戦術のベースが作れていない状況でしたから、3バックで役割を明確にして"はめこむ"方が可能性は感じるかもしれません。
もちろん今年の福岡戦を思い返してみても、それが特効薬というわけではないですが。
ただ、3バックにするのであれば、田中の放出は意外な印象があります。
福岡戦でも3バックのサイドなら田中のスタミナとスピードが必要だと判断して、中村を外してまで起用したのでしょう。
他のWB候補は現状だと水野や北爪くらいで、消耗が激しくなりがちなWBのポジションを考えれば少なすぎる。
CBに関しても栗山、田代を放出しているので、今のままでは足りないように思います。
当然ここからの補強もあるでしょうが、無駄に遠回りなオフになる可能性もあるような気がします。
今年は良いところを探すのが難しいようなシーズンだったことを考えれば大きく選手構成も変えるのかと思ったのですが、今のところは意外と無難というか消極的な印象です。
今回も中村の穴埋めをそのまま同タイプの選手で狙っているような印象ですし、退団した選手たちもほとんどは戦力になりきれていない選手たち。
もっと戦力になっていたベテラン選手数人を放出するのかと思っていました。
それともこれから更に、移籍する選手たちがでてくるのでしょうか。
左サイドに関して浦田や乾に期待する声も多いようですが、昨年ベンチにも入っていない若手選手たちに多大な期待をかけるのは現実的ではないと思います。
年代の代表に選出されているとはいえ、そういった選手たちでも成長しきれないケースやプロで成功しきれないケースはざらにある。
現在のトップチームで飛躍を期待すべきは、まず井出やオナイウ、北爪といったトップでも可能性を見せてくれている選手たちが主軸となることではないでしょうか。
"未知の若手"の方が期待度が高くなりがちであり、井出などはすでに"未知の若手"枠ではないのでしょうが、まずは彼らがブレイクすることが重要だと思います。
ただ、一方で阿部翔平獲得となればここまで若手〜中堅選手を数多く放出して、ベテラン選手を補強することになる。
船山や噂のパラグアイ代表MFもベテランに差し掛かる域の年齢で、全体のバランスがまた悪くなる可能性があります。
その分若手選手を獲得するのであればまだわかりますが、今のところ来季の新卒はジェフU-18のDF岡野と城西国際大学のGK大野のみ。
来年、再来年はそれでもいいのかもしれませんが、3年後、5年後といった中長期を考えると不安になる部分もあります。
実際、ここ数年のジェフはそのしわ寄せがきている部分も大きいと思います。
それもあって斉藤TDは中村、金井、田代、高木など中堅選手を積極的に補強して、ベースとなることを期待していたのでしょうし…。
このままでは、本当に繰り返しかねないのではないかと不安になります。
阿部翔平が獲得できるかどうかも分かりませんが、"アーリークロス頼りからの卒業"は考えていないように感じる部分が一番の不安点ではないかと思います。
確かに今年のサッカーを思い返すと、アーリークロスがないと苦しい面はあるかもしれない。
けれども、来年もそこを乗り越えられないのであれば、J1昇格はもちろんのこと、チームの飛躍も難しいのではないかと思います。
アーリークロスなどは頼り安い部分だからこそ、簡単にそこに頼れるようなチーム状況を作り上げてはいけないのではないかと私は思うのですが…。