最終節も打つ手なくノーゴールで今季終了

 プレーオフ進出をかけた讃岐戦。
 勝負のかかる大事な一戦だったわけですが、この試合でもジェフは得点を奪えず0-2で今シーズンを終えることとなりました。


 関塚監督になってからの大事な試合といえば、プレーオフ山形戦も、今年10月に行われた福岡戦もノーゴールで敗戦。
 前節の岡山戦も0-1で敗れており、それに続いてこの試合でも得点を決めきれずに終わっています。
 せめて1点は取って終わってほしかったのですが、この讃岐戦でも攻撃面で打つ手なく終わった印象でした。


 プレーオフの可能性が残っているとはいえ、ジェフはチャレンジャーの立場。
 しかし、その精神的な面をうまくコントロールすることができず、逆に重荷としてピッチに立たせてしまったのではないかと思います。
 そして、開始早々に失点して、ゲームプランが一気に苦しくなった。
 この辺りが関塚監督が、勝負弱い監督と言われてきた所以なのかもしれません。
■動きが重く早々に失点
 ジェフは森本が負傷で、ベンチにも入れず。
 代わりに松田が前線に上がって、水野が右SH、左SHに田中。
 井出がベンチに復帰し、谷澤がベンチ外になりました。
 前節スタメンの町田もベンチから外れています。


 讃岐はここ4試合、スタメン出場が続いていた大沢がベンチスタート。
 代わりに出場停止明けの岡村がインサイドハーフに入り、山本をアンカーとする4-1-4-1に戻す形となりました。
 退団の決まっている高橋泰はベンチ外に。



 立ち上がり、ジェフの選手たちはいつになく硬い印象。
 状況を考えれば積極的に攻めていきたい展開だったはずでしたが、むしろ攻守に思い切った動きができず。
 讃岐に攻め込まれる展開が目立っていました。


 そして、9分に早くも失点してしまいます。
 讃岐の右サイドのCKから、ショートコーナーを受け直して高木がクロス。
 これにGK岡本が対応しに行きますが、痛恨のファンブル
 これを中央に合わせられ、最後はエブソンが決めて1-0に。


 岡本がパンチングにいったものの、それに失敗して失点してしまいました。
 明らかに岡本のミスでしたが、その前のショートコーナーへの対応も遅かった。
 全体的な動きの緩さからうまれた失点とも言えるのかもしれません。
 


 16分にも讃岐の決定機。
 讃岐が右サイドでつないで、一度最終ラインのエブソンまで戻します。
 そこからエブソンは、ジェフDFラインの裏を狙ってロングパス。
 これに反応した沼田が完全に抜け出し、GK岡本と一対一に。
 沼田は余裕を持ってシュートを放ちましたが、ここは岡本が止めて2失点目を免れます。


 相手がボールを一度戻したタイミングでDFラインを上げたジェフですが、逆サイドの大岩が残っていてオフサイドを取りきれませんでした。
 相手が戻した瞬間にラインを上げるものの、逆サイドの選手が上げ切れずラインが斜めになって裏を取られてしまう…という傾向は前節岡山戦でも見られた課題。
 守備面でも意思統一が作りきれていないばかりか、前節からの修正も出来ていないことになります。



 得点が動いてから、ジェフがボールを持つ時間が長くなっていきます。
 この試合での讃岐は、序盤からかなり深く守ってきました。
 勝たなければプレーオフ進出はないジェフの状況も考えて、守備的にスタートしたのかもしれません。


 後方でボールを持つ時間の長くなったジェフですが、この試合でもそこから有効な攻撃を作ることができない時間帯が続きます。
 両SHが中に絞って空いたスペースをSBが使うという狙いだったのかもしれませんが、そこには讃岐もしっかりと対応。
 讃岐は相手が中央から攻めてきた場面では4-1-4-1で対応し、サイドを攻めてきたらSBが開いてアンカーがその穴を埋めるためDFラインに下がり、5-4-1に代わる変則的なシステムを取ってきました。
 


 中からも外からも攻め込めないジェフは、遠目からクロスを上げてこぼれ球を拾ってボックスの外からミドルシュートという展開ばかりになっていきます。
 22分には大岩から水野に横パス、水野から松田へ縦パスが出ましたが、相手にブロックされてシュートならず。
 35分には左サイドの田中からクロス、大岩が落としてペチュニクに繋ぎます。
 最後はパウリーニョペナルティエリア外からミドルシュートを放ちますが、枠外に終わります。
■木島に2点目を浴びせられ万事休す
 後半開始直後、ジェフとしては一気に攻めていきたいところだったと思うのですが、このタイミングでも優位に立ったのは讃岐。
 後方からのボールを右サイドで我那覇がキープして、一度戻したところを岡村がワンタッチパス。
 仲間が裏を抜け出してセンタリングをあげ、沼田がヘディングシュートを狙いますが、合わせきれず。


 ジェフは前半よりも動きは増えたものの、シュートチャンスは作れず2枚替え。
 58分、田中に代えて井出、勇人に代えて健太郎を投入。
 そのまま同じポジションに入りました。


 その直後、ジェフが左サイドからのスローイン
 井出が受け直して、ドリブルで仕掛けてセンタリング。
 松田がヘディングシュートを放つも、惜しくも枠外。
 シンプルな攻撃ですが、これが後半一番のチャンスだったと思います。



 61分には、讃岐が選手交代。
 我那覇に代えて、木島が入りました。
 讃岐は後半途中から5-4-1に変更し、左SBに仲間、左SHに永田が入りました。
 中央からの攻撃は怖くないと見て、サイドの守備を明確にしたということなのでしょう。


 65分には、その木島にビックチャンスが。
 讃岐がカウンターから、木島が前でキープ。
 左サイドに展開すると高木、沼田とつないで、最後は木島が斜めのクロスに足元で合わせてダイレクトシュート。
 しかし、シュートはゴール右隅を逸れました。



 69分には、ジェフのチャンス。
 富澤からの縦パスに対して、松田がうまくつぶれて後方の井出へ。
 井出が抜け出す形になりますが、GK清水が対応。


 72分、今度は讃岐のチャンス。
 仲間が中央でドリブルキープをして前線にパス。
 高木が前で受けて1人、2人とかわしてシュートもGK岡本がセーブ。
 しかし、ジェフの守備陣は讃岐の攻撃を潰し切れず、シュートまで持ち込まれる展開が続きます。


 74分にも讃岐のカウンター。
 中盤から縦に運んでポストプレー、そこから中盤の永田が再び受けて逆サイドに大きく展開。
 高木、沼田とつないで沼田がセンタリングを上げ、ニアの木島がシュートを放つもゴール左隅を逸れます。
 


 チャンスが作れないジェフは77分、選手交代。
 水野に代えてオナイウを投入しました。
 オナイウとペチュニクが前線に入り、トップ下に松田が入る変則的なフォーメーションになりました。


 しかし、その直後に讃岐が追加点を上げます。
 木島が右サイドで浮き球のロングボールを受けると、思い切って距離のあるシュート。
 岡本が前に出過ぎていたところを、しっかりと見ていたのでしょう。
 これを決めて、讃岐が2点リードとなります。



 後半アディショナルタイムにも讃岐の攻撃。
 簡単に2対3の状況を作られ、途中交代で入った藤田がシュートを放つも枠外。
 その直後には井出が右サイドから鋭いセンタリングを上げるも、中央のペチュニクには合わず。
 そのままノーゴールで、今シーズンを終えることとなりました。
■これまでを反省し、精査して、次へ
 チャンスの数も讃岐の方が上でしたし、実力の差で敗れた試合だったと言っていいでしょう。
 ジェフはサイドのパスワーク1つを取っても連動性が全くなかった。
 SHとSBが絡むだけで、そこに3人、4人と加わっていけない。
 中央からの攻撃も作れず、結局大外からのクロスや遠目からのミドルシュートばかりが目立っていた印象です。


 遅攻がダメならば、せめてカウンターで…と思いましたが、それすらも作れなかった。
 後方でボールを奪っても、どこでどのように選手の人数をかけ、どのようにボールを繋いでいくのか意図がはっきりせず。
 ジェフが素早く縦に持ち込めないうちに讃岐が戻って、再び遅攻へという展開ばかりになっていました。



 讃岐は引いて守ってばかりではなく、カウンターではジェフ以上に鋭い攻撃を仕掛けていました。
 縦へのボールに対して誰が受けて、誰が落としを拾って、逆サイドでは他の選手が開いて、縦へ仕掛ける準備をする。
 決して守備だけのチームではなく、カウンターでの人とボールの動きがスムーズで、攻撃でも連動性が見えていたと思います。


 ジェフは試合序盤こそガチガチな状態だったこともあったのでしょうが、それにしても攻撃の意図が見えなかった。
 むしろ硬さがあることで個人で勝負を仕掛けられない状態になって、いつも以上に組織力の課題が明確に出てしまった印象もあります
 いわゆる"オートマティズム"が全く見られず、選手が動けない状態になると個人でも仕掛けられないため、攻撃が完全に機能停止してしまうということでしょう。



 結局、この1年半はなんだったのかなと思ってしまうような試合でした。
 鈴木監督のパスサッカーは我慢を要求される面もあり遠回りにも見えたのかもしれませんが、それに対してサポーターも納得できず「アバウトでも縦へボールを」という意見が強まった。
 そこにネームバリューのある関塚監督が就任して、縦への意識を高めて期待先行の状態となった。


 しかし、実際にはサッカーというものはそう単純なものではなく、アバウトなサッカーでは成績もチームの成長も見込めなかった。
 結局は関塚監督も昨年はサイドでのパスワークなどを実行していましたが、今季はそれが失われたことを考えればあれは鈴木監督の残したものだったと言えるのでしょう。
 今季の試合を思い返すと、その遺産も食いつぶしてしまったということになるのえはないでしょうか。



 コメントからすると、関塚監督で来季も続投ということなのでしょうか。
 しかし、しっかりとこれまでを反省して、状況を精査しなければ、次へは結び付きません。
 今オフはこれまで以上に冷静に今までを振り返り、反省することが重要になるのではないでしょうか。