富澤、松田の姿勢に「勇気を与えてもらえた」
1点を先に失い前に人数をかけるも、チャンスを作り切れない時間が続いた岡山戦の83分。
まず左サイドのスローインから、オナイウがボールを受け直して反転して前を向きました。
反転した場面では「良い判断」と思ったのですが、オナイウは斜め後方の水野にパス。
そこはオナイウに仕掛けてほしかったところでしたが、その後に水野が見せてくれました。
初めの動きでは右足でボールを持って仕掛け、対面の選手をかわしてミドルシュートというイメージだったのではないでしょうか。
しかし、その仕掛けは相手選手に引っかかって失敗。
けれども、こぼれたボールが再び水野にわたると、判断を変えて左足で素早く浮き球のスルーパス。
オナイウの飛び出しを促し、見事なチャンスメイクをしてみせました。
ボールは若干長すぎた印象でしたが、オナイウと中林が交錯したことにより、PKを獲得したことになります。
シーズン後半に入ってからの水野は調子も上がってきた印象で、キレもだいぶ戻ってきたのではないでしょうか。
水野にとって問題はこのレベルのプレーを、コンスタントに出来るかどうかなのかもしれません。
昔から守備に回って後方に押し込まれたり、前にスペースがない状況になったりすると、試合から消えてしまうことが多い傾向にあります。
この試合でもこのプレーまではサイドのタッチライン際に追い込まれ、窮屈な状態でのクロスばかりになり効果的な動きはできていなかった印象です。
このプレーで得たPKを松田が蹴りますが、残念ながら決めることはできませんでした。
流れからすればPK獲得を誘発したのは水野でしたし、水野が蹴った方が後悔は少なかったかもしれません。
ただ、水野も大事なところで外すイメージはありますし、あくまでも結果論ですから仕方ないですね。
松田は助走からうまく合っていなかった印象で、コースも甘かった。
プレッシャーもあったのではないでしょうか。
またこの試合でも守備からゴール前に飛び出す動きを何度も見せており、SH兼FWのような仕事をしていましたので、試合終盤ということもあって疲れもあったのかもしれません。
それでも自ら蹴りたいといったようですから、その前向きな意欲がストライカーらしさでもあるのでしょうし、松田らしさともいえるのでしょう。
もしここで決めていれば松田が波に乗っていけたかもしれませんし、そうなれば最終節、プレーオフと大きな武器になった可能性もある…。
そういった点まで考えれば、仕方のないところですね。
ここまで松田は攻守において大いに貢献してくれていますし、当たり前ではありますが松田を責める気にはなれません。
これはPKを与えてしまったキムにも、同じことが言えると思います。
富澤も松田がPKを蹴りに行ったことに関して「彼のメンタル的な素晴らしさ」であり、その姿勢に「勇気を与えてもらえた」と話しています。
あのPKは1つの試合の結果だけでなく、プレーオフ進出の可能性もかかる重要な場面。
その中で自ら蹴りにいったわけですから、それだけでも凄いことなのかもしれません。
そして、そういったコメントを残した富澤も素晴らしいと思います。
「PKを外したことよりもPKを蹴りに行った姿勢に勇気をもらった」とは、なかなか試合直後に言えることではないのではないでしょうか。
富澤はチーム内での存在感も、徐々に高まっているような気がします。
当初は連携面が重要なCBでいきなり起用され苦しんでいた富澤ですが、プレー面でも安定してきたのではないでしょうか。
このメンバーで戦えるのも残りわずか。
最後まで思いっきり戦ってほしいところです。
松田もしっかり切り替えて、最終節でも遠慮せずにいつも通りのプレーを見せてほしいですね。