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パワーサッカーが相手の弱点にはまり1-0の勝利

 空中戦とパワーのジェフ対テクニックとスピードの東京Vの戦い。
 順位は近い両チームですが、異種格闘技のような試合だったと思います。


 ジェフからすれば相手のそこに弱さがあるからこそ、いつも以上にロングボールと前へのパワーを積極的に使っていった試合ということなのでしょう。
 東京Vは前節磐田戦でもジェイや森島、アダイウントンといった選手たちに縦へのパワーを発揮されて、うまく処理できなかったところがあり、2試合連続で同じような形からやられたと言えるのではないでしょうか。
 東京Vは雨の影響もあって、持ち味のパスワークをなかなか出せなかった印象もありました。
■ロングボール展開で相手を押し込むジェフ
 ジェフはGKを高木から岡本に変更。
 関塚監督はチーム状況が悪いと選手を入れ替えるところがあるので、流れを変えたくての変更ではないでしょうか。
 CBにはキムが復帰し、大岩が右SBへ。
 前節負傷交代した水野はベンチスタートとなり、右SHには田中が入りました。


 東京Vのスタメンは、全節磐田戦と同じ11人。
 磐田戦も前半は良い戦いをしていましたので、その流れを汲んでということでしょうか。
 前線は杉本・高木大輔のちびっこ2トップになっています。



 立ち上がりは、一進一退の展開。
 ジェフはペチュニクをメインターゲットとして、素早くFWを目がけて長いボールを放り込む攻撃。
 東京Vはスピードとテクニックを活かして、中盤からのパスワークで崩しを狙っていく。


 ゴールを奪ったのはジェフ。
 10分、キムからのロングボールにペチュニクが競り勝って、松田が森本に繋ぐ。
 すると森本はペナルティエリア外から、相手選手が体勢を整える前に素早くミドルシュート
 これが見事に決まって1-0とします。



 これを機に流れはジェフペースへ。
 東京Vは小柄な選手が非常に多く、スタメンで180cm以上の選手はGK佐藤と三竿のみ。
 その三竿も180cmジャストで、そこまで高さのあるタイプではないと思います。
 空中戦に強い井林がペチュニクとマッチアップすることが多かったですが、完全にはジェフのロングボールを跳ね返せず、こぼれ球をジェフが拾って攻撃を作る展開となっていきました。


 東京Vは攻撃でも良さが出せず。
 雨のせいかパスミスが多く、運動量も少なかった印象です。
 シンプルにやればいいところでの判断ミスも目立って、ジェフからすれば守りやすい状況だったと思います。



 13分、ジェフの攻撃。
 東京Vの攻撃後にGK岡本からのロングキックにペチュニクが競り合い、こぼれ球を松田が拾います。
 松田からのボールを受けた中村が縦に仕掛けて、センタリング。
 森本がスルーしてペチュニクがシュートを放ちますが、GK岡本がキャッチ。


 このシーンでも東京Vは守備への戻りも遅く、寄せも遅い印象でした。
 また、ペチュニクや森本がフィジカル勝負を仕掛けてくる分、守備陣が中央に集まる。
 その分サイドにスペースが出来て、中村の前が空くことが多かったですね。



 22分には、左サイドで中村が奪ったところからカウンター。
 パウリーニョ、田中、森本とつなぎ、森本は田中へ1-2でボールを返そうとします。
 これが相手選手に当たりますが、結果的にスルーパスのような形となり田中は裏へ抜け出します。
 田中はGK佐藤と1-1になりますが、シュートはゴール左隅を逸れます。


 30分過ぎからジェフの勢いも落ちてきましたが、38分にジェフのチャンス。
 中村がハーフウェイラインからロングパス。
 松田が競り勝って裏の森本がフリーに。
 森本が素早くシュートモーションに入りゴールを狙いますが、GK佐藤がセーブ。
 
 

 ジェフの時間が長くなった前半。
 しかし、早いタイミングで前線に蹴り込んで相手を押し込む形は多かったものの、そこからの細かな攻撃は作れず。
 そのため、押し込んでいる時間が長かったわりに、決定機は少なかった印象です。
■運動量が落ち中盤が空くも1-0で逃げ切り
 ハーフタイムに、東京Vは沢井に代えて高木善朗を投入。
 後半立ち上がりもジェフがパワーで押し込む展開でした。
 しかし、徐々にジェフの中盤が空いていきます。


 54分には東京Vの攻撃。
 東京Vが右サイドでパスをつなぐと、ジェフのバイタルエリアがぽかりと空いて中後がフリーに。
 そこから右サイドに展開されて、杉本が仕掛けていきシュートもGK岡本がキャッチ。


 62分にも東京の攻撃。
 安西、杉本、南が右サイドでパスをつないで行って中に侵入していき、中央に合わせたボールがファーに流れます。
 これを安在が拾ってシュートを放つも、ジェフのDFにあたってゴールならず。


 攻撃時はいつも通り4-4-2だったジェフですが、押し込まれると田中が低い位置まで下がって5バックにも近い位置取りをしていた印象でした。
 ジェフは押し込まれた状態になると選手たちがゴール前に固まるため、逆サイドのSB外が空きがちになる。
 それを埋めるために、田中をSH兼SBのように使ったのではないかと思います。
 しかし、このシーンでは田中のさらに外が空いて、安在に前を向かれてフリーでシュートを打たれたことになります。



 運動量の落ちてきたジェフは、65分に森本に代えて安を投入。
 東京Vも杉本に代えてアラン・ピニェイロを起用。
 それぞれ同じポジションに入りました。

 
 後方にSHもボランチも吸収されて、こぼれ球を拾えなくなっていったジェフ。
 74分には東京Vの安西からのクロスを一度は跳ね返されますが、中盤で悠々と拾われ逆サイドに展開されます。
 そのまま安在にクロスを上げられると、ニアでうまく飛び出しフリーになった高木大輔がヘディングで合わせますが枠をとらえきれず。



 その直後にも、東京Vがカウンター。
 後方からパスを高木大輔がすらして、アラン・ピニェイロがDFライン裏に抜け出します。
 そのままシュートまで持ち込みますが、ゴール左隅を逸れます。


 続いて、78分にも東京Vのビッグチャンス。
 後方からのクリアボールを高木、アラン・ピニェイロとつないで、再びサイドを駆け上がった高木へ。
 高木が素早く中央に繋ぐと、南がフリーでボールを受けます。
 余裕のある状態でボールを受けた南ですが、ダイレクトてシュートを狙ってしまい、GK岡本の正面で終ります。
 幾度となくチャンスは作っていた東京Vですが、やはり決定力不足は深刻のようです。



 その直後、ジェフのカウンター。
 中盤でのパスミスで一度はボールを奪われますが、パウリーニョが奪い返してカウンター。
 安、パウリーニョ、松田とつないで、ペチュニクがループ気味にシュートを放ちますが、シュートは枠外。
 

 81分には東京Vの攻撃。
 右サイドから中盤、中盤から左サイドへと東京Vがパスをつないでいきます。
 ジェフは右SHの田中が深い位置取りをするので、中盤の右で対応できるのが右ボランチの勇人だけ。
 簡単に右サイドの深い位置を取られ、安在からクロス。
 最後は高木善朗が足元で合わせますが、GK岡本がセーブ。



 東京Vは82分、三竿に代えてベテランの永井を投入。
 そのままボランチに。
 その直後、ジェフはペチュニクに代えて健太郎を投入。
 健太郎が中盤の底に入る4-1-4-1になりました。


 それ以降もジェフは後方に押し込まれる状況が続き、守備バランスも良くない状況だったと思います。
 しかし、東京Vもミスが多く、攻撃の勢いを高めていけない展開に。
 後半アディショナルタイムには松田に代えて北爪を投入して時間を使い、そのまま1-0で試合終了となりました。
■ジェフの特徴が東京Vの弱点にはまった試合
 前半はジェフがパワーで相手を押し込み続けた展開。
 良く言えば、相手の弱点を突いて、結果的に相手の良さも出させなかった。
 東京Vからすれば主に守備のパワー面で、前節に続き脆さが出た試合だったと思います。
 正直、あそこまでジェフの放り込みに対していいようにやられて対応策も感じず、よくここまで勝点を伸ばせてたな…と思うような展開だったと思います。


 サイズとパワーのない東京Vからすると、本来は前から積極的にプレスをかけていって、守備の流れを作りたいところがあるのだろうとは思います。
 しかし、ジェフは早い段階で前にボールを蹴り込むので、プレスをかける前に後方でフィジカル勝負に持ち込まれる。
 素早くFWのフィジカル勝負に持ち込み、そこで競り勝つことで試合を優位に進めたと言えるでしょう。
 ジェフは松田、田中と合わせて、4トップに近いような状況に見えた時間帯もありました。


 加えて東京Vは雨の影響もあってパスミスが多く、攻撃でもリズムを作れない状況でした。
 抜かるんだピッチに軽い選手たちは踏ん張れず、ショートパスも速度が止まってしまうことが多かった。
 東京Vとしては、戦いにくいコンディションだったとも言えるのではないかと思います。
 フィジカルに勝るジェフが雨による重場を味方にしたという意味では、アウェイ京都戦を思い出す部分もありました。



 後半からのジェフは運動量も落ち、簡単に中盤のスペースを明け渡すなど、守備バランスも崩れていった展開。
 しかし、東京Vはこれまでの試合でも見られたように、この試合でも得点力不足を露呈してしまった。
 ジェフは前節も試合途中から失速していましたし、2得点目を奪えない嫌な流れでもあったと思うのですが、東京Vの決定力に救われた面もあったのではないでしょうか。


 ジェフが押し込む時間の長い展開でしたが、合計でのチャンスの数でいえば大差はなかったように思います。
 それだけパワーで押し込んでも、そこからの細かな攻撃が作れない課題が見えた試合でもあったのではないでしょうか。
 実際のゴールシーンも森本得意のミドルシュートが決まった展開で、うまく攻撃を作れたとは言えない形でした。
 それでも何とか攻守に選手たちが体を張って、勝利に結び付けた試合だったと言えるのではないでしょうか。



 久しぶりの白星となったジェフ。
 しかし、このロングボール展開が、他のチームにも通用するかどうかは微妙なところだと思います。
 今季のジェフの特徴であるサイズやパワー面の強さが、ちょうど東京Vの弱点にはまった試合だったといえるでしょう。
 また東京V自体も出来が悪かったと思います。
 それだけに次の試合でどう戦うのかに関しては、また考え直さなければいけない部分があると思います。


 ただ、関塚監督が率いる限りは、このパターンしかないのかもしれません。
 攻撃では完全に崩す形は作れなくとも、前に圧力をかけて相手を押し込みゴール前までなんとかボールを持ち込んで、最後は個人技での得点を期待する。
 守備ではゴール前で人数を固めて、押し込まれながらも跳ね返す。
 結局アバウトなサッカーには変わりませんから、パワーや勢いなどで相手を押し込めるかどうかにかかってくると言える部分があるのでしょう。


 ともかく、これでまたプレーオフ出場権の可能性は残ったということになります。
 今後の戦い方が注目されますが、基本的には1試合1試合、集中して戦っていくしかないですね。