失点パターンをグラフ化してわかる強みと弱み

 岐阜戦でCKから失点し、0-1で敗れたジェフ。
 それでも今季「セットプレーからの失点」は4つ目だったようで、極めて少ない数字と言えます。
 これがチーム状態が長らく好転しない中で、まだプレーオフ出場圏を争うポジションに留まれている要因と言えるのかもしれません。


 ジェフの「総失点」は、第38節終了時点で39。
 J2で11番目の成績ですから、決して良い成績とは言い難い結果となっています。
 しかし、その中でも「セットプレーの失点」に関してだけは、好成績を収めていることになります。



 失点パターンのデータなどは、Football LABでチェックすることができます。
 こちらのデータを基に、グラフ化してみました。
 まずは「総失点」から。
 
 わかりやすくジェフを黄色にしてみました。
 ジェフは「総失点」の数で、J2のちょうど中間付近に位置していることがわかります。


 続いて「セットプレーからの失点」です。
 Football LABでは「セットプレーから」と「セットプレー直接」と「PK」と別れていますが、今回はその3つをまとめてグラフ化しました。

 ジェフが断トツで少ない数字ことが、一目でわかると思います。
 数字から見てもこれがジェフの守備における強みと言えるでしょうし、試合中もセットプレーの守備に関しては安心して見ることができる印象です。


 しかし、「セットプレーからの失点」がこれだけ少ないにもかかわらず、「総失点」では11番目と決して良い成績とは言えない…。
 逆説的に考えると、「セットプレーから」以外の「流れの中での失点」は多いということになるのではないか。
 ということで、「総失点」から「セットプレーからの失点」を引いたデータをグラフ化してみました。

 思った以上に、課題が如実に出た印象です。


 ジェフは「流れの中での失点」においては、J2で下から4番目の成績。
 しかも、このデータではジェフは35失点ですが、群馬は36失点、岐阜は37失点、栃木は38失点となっており、下3つのチームと大差のない成績ということになります。
 岐阜、栃木は現在の順位でも下位に苦しんでいる状況ですし、昇格を目指すチームとしては非常に気になるデータと言えるのではないかと思います。



 では、流れの中でもどのパターンでの失点が多かったのかを見ると、「クロス」、「ドリブル」、「ロングパス」、「こぼれ球」などの項目がある中で、一番多かったのは「ショートパス」からでした。
 「ショートパス」からの失点12はJ2で単独最下位で、他に「ショートパス」から二桁失点しているのは失点10の群馬だけとなります。
 「流れの中での失点」が課題と言えるジェフの中でも特に「ショートパス」からやれることが多い点が、ジェフの守備の弱みと言えるでしょう。


 一方で「スルーパス」からの失点に関する項目もありますが、こちらは2失点しかしておらず他チームと比較しても多くない数字となります。
 ジェフの守備は後方を固める傾向にあるため、「スルーパス」で裏を取られてやられることは少ない。
 しかし、その分中盤や前のスペースが空きがちで、そこからパスワークで崩されているということが言えるのではないでしょうか。
 これは関塚監督が就任した当初から、このブログでも指摘してきた内容です。



 もちろん総合的に強いチームになればいいわけで、「弱み」があっても「強み」を作って勝てるチームになればいいという考えもあるでしょう。
 しかし、決して総失点数が少なくないことを考えると、総合的に見ても守備の優れたチームになっているわけではない。
 「強み」があるのはいいことですが、それ以上に「弱み」が浮き彫りになったデータとなっていると言えるのではないでしょうか。


 なお、FootBall LABでは得点面でも同様に項目分けしたデータが出ていますが、ジェフは平均的なデータとなっている印象です。
 「セットプレー」からが多いもののJ2では5番目でそこまで偏ったものではなく、次いで多い「クロス」からの得点も一般的な数字に収まっています。


 強いて気になる点を上げるとすれば「スルーパス」からの得点が1点もないことで、「スルーパス」から得点をあげていないチームは今季断トツで総得点の少ない讃岐とジェフのみとなるそうです。
 それだけ中盤のパスワークから、裏に飛び出すような展開が作れていないということが言えるのではないでしょうか。
 実際の試合でも今季はそういった展開を作れた記憶が、ほとんどないですね。