井出の先制ゴールを守り愛媛に1-0で勝利
試合前にも話しましたが、やはり愛媛は一時期の勢いからは落ちてきた印象でした。
ハードワークで結果を残してきた愛媛だからこそ、その反動による疲れも出ている印象があります。
それでも結果を残せている時期はよかったと思うのですが、前節久々に敗戦を喫したこともあって気持ちの面でも影響が出て、以前より頑張り切れないところが出ていた印象でした。
愛媛がプレーオフ進出を目指すためには、もう一度ギアを入れなおす必要があるのかもしれませんね。
逆にジェフはライバルの1つに勝利したことで、プレーオフ出場に一歩前進したことになると思います。
この日の試合では選手たちがしっかりと走って戦い抜いたことによって、勝利をものにできたといえるのかもしれません。
■カウンターから井出が先制ゴール
ジェフは中村が、9月20日北九州戦以来となるスタメン出場。
負傷中だった勇人も復帰し、ベンチスタートとなりました。
一方で森本がベンチにも入っておらず、松田とペチュニクの2トップに。
右SHに水野、左SHに井出という布陣になりました。
またベンチからは岡本が外れて、岡が入りました。
町田も久々にベンチ入りメンバーに。
天皇杯初戦東京国際大戦でゴールを決めた町田ですが、リーグ戦ではスタメン出場した7月26日熊本戦以来ベンチにも入れていない状況でした。
愛媛は右WBのレギュラー玉林がメンバーから外れ、代わりに村上佑介が出場。
1トップで主力選手となっている西田もベンチスタートとなり、シャドーで出場することの多かった瀬沼が1トップに。
代わりにシャドーの一角には、近藤貴司が入りました。
試合序盤はジェフが、ボールを持ち込む展開。
愛媛は攻撃から守備への切り替えこそ早いものの、そこさえ気を付ければ簡単に全体のラインが押し下がってしまう状況。
ラインが下がってからは中村へのマークが甘く、ジェフは中村につなぐ形でボールを持ち込んでいきました。
しかし、ジェフも中村から前へという展開が作れず、アーリークロスや横パスからのロングシュートが目立つ展開でした。
愛媛の攻撃も後方からロングカウンター狙いが多かったですが、縦パスの精度を欠いてチャンスを作れないシーンが多かったと思います。
愛媛はコンディションもよくなかったのでしょうか。
両チーム、低調なスタートだったのではないかと思います。
試合が動いたのは17分。
ジェフがカウンター気味の展開で、先制します。
後方でボールを奪ったところからパウリーニョ、ペチュニク、松田とつないで、ワンタッチで大岩が右サイドを走りこんでいた水野に展開。
そのまま水野が持ち上がってクロスを上げると、井出が触ってゴール。
素早いつなぎからの水野が抜け出した形で、良い流れからの得点だったと思います。
水野、井出あたりは動きもよさそうでしたね。
相手の守備が整う前にシュートまで持ち込めましたが、カウンターでのゴールは久々だったのではないでしょうか。
先制点が生まれてからは、愛媛も動きが良くなっていきました。
愛媛がボールを持つ時間も徐々に増えていきましたが、28分にはジェフのカウンター。
松田が後方でボールを持つと、相手のスライディングをかわし、中盤でももう1人かわして長い距離を持ちあがります。
ゴール前でタメを作って井出に展開すると、オーバーラップした中村が受けてクロス。
これは直接GK児玉が触りますが、こぼれたボールを水野が受けてシュート。
しかし、GK児玉のセーブでゴールならず。
ほぼ松田1人でチャンスを作ったシーンでした。
その直後の31分。
井出が突然倒れこみ、選手交代。
太ももを痛めたようで、代わりに谷澤が入ります。
37分には愛媛のチャンス。
小島からロングボールで左サイドに展開されると、大岩がヘディングで返したところを内田が拾います。
そのまま素早くクロスを上げると、瀬沼が頭から飛び込みますが、もう1つのところで合わせきれず。
試合は時間が経過するにつれて、愛媛がボールを持つ時間がさらに増していました。
愛媛はボランチでのボール奪取ができていて、そこからサイドに展開してシャドーやWBで人数をかけてクロスを上げる形まで持ち込んでいく。
ジェフの方は相手ボランチのところを止めきれない課題は変わらず、37分もボランチをあけたところから大きく展開されてしまいました。
■終盤にラインが下がり押し込まれるも…
後半立ち上がり、ジェフのミスからあわやといったシーン。
GK高木から富澤へのパスが短く、近藤がカット。
そのまま縦に持ち込みセンタリングを出しますが、ここを合わせきれず。
愛媛はこういったシーンでの大事なパスに、ミスが目立っていた印象です。
49分、ジェフの攻撃。
大岩からのアーリークロスに対して、相手DFがクリアミス。
水野が拾ってクロスを上げるとこれに対するクリアも小さく、パウリーニョがヘディングでゴール前に押し返します。
これを谷澤が拾って中央の松田に合わせますが、寸前で愛媛が何とかクリア。
50分にもジェフの攻撃。
水野と健太郎が絡んで中盤でボールを奪うと、健太郎が素早くアーリークロス。
松田に良いボールが上がりましたが、もう1歩のところで合わず。
その直後にもジェフの攻撃。
後方からのロングボールにペチュニクが競り勝って松田につなぐと、ペチュニクが右サイドで受け直します。
中央で合わせようとしたボールは相手DFに当たり、こぼれ球を受けて水野が放ったシュートはゴール右隅をそれます。
愛媛はこの時間帯、かなり苦しい状況。
前からのプレスがはまっておらず、パスコースも限定できず、ラインもズルズルと下がっていた。
守備で後手に回ることが多く、簡単にジェフの選手をフリーにする場面が目立っていました。
中盤の出足も悪かったですね。
しかし、ジェフの方も追加点が奪えない時間が続きます。
完全には相手を崩しきれない場面が続き、攻め込みながらもよい形でフィニッシュまで持ち込むシーンは少なかったと思います。
このあたりが毎試合、追加点を奪えない課題に繋がっているのでしょうね。
55分、愛媛は近藤に代わって西田を投入。
西田がセンターに入って、瀬沼がシャドーに移りました。
もともとどこかで西田を使う予定ではあったのでしょうが、状況的には劣勢の流れを変えたいといったタイミングだったのではないでしょうか。
近藤は前半からリトリート時に、対面の中村をあけすぎていた印象がありました。
ちょっとしたポジショニングの差ではあったと思うのですが、そこが愛媛の守備がはまりきれなかった1つの要因だったようにも思います。
瀬沼が左のシャドーに入ったことでそこが改善。
これによって、試合展開も落ち着いていきます。
後半序盤の勢いが落ちたジェフは、67分に選手交代。
水野に代えて田中を投入し、田中を左SHへ回して守備固め。
直後に愛媛は、CB西岡に代えて白井を投入。
白井が右WBに入り、村上が右CBに、林堂が3バックの中央に移りました。
この時間帯から、ジェフは押し込まれる時間帯が増えていきます。
後方に人数が集まって、セカンドボールを拾えない展開に。
愛媛の方は村上、林堂とパスを出せる選手を後方に並べて、そこからビルドアップを作ろうという意図だったでしょうか。
73分には愛媛のチャンス。
谷澤が低い位置で小島にボールを奪われると、西田が受けて素早くシュート。
GK高木が一度ファンブルしますが、再びキャッチ。
75分、愛媛は藤田に代えて安田晃大を投入。
78分にも愛媛の攻撃。
小島が中盤でボールを奪ったところから、左サイドへ展開。
内田がクロスを上げ、ニアで西田がフリーで合わせましたが、枠に合わせきれず。
押し込まれる時間が長くなってきたジェフは、ペチュニクに代えてオナイウを投入。
しかし、83分にも愛媛のビッグチャンス。
中盤の小島から左サイドに展開されると、先に大岩が触ったもののこぼれ球を内田が拾います。
内田がクロスを上げ、ゴール前で西田がフリーになってヘディングシュートを放ちますが、GK高木の正面に終わります。
小島、内田、西田を捉えきれないジェフ守備陣でしたが、愛媛の勢いもその後は失速。
そのまま1-0で試合終了となりました。
■コンディションで相手を上回り
この日のジェフは普段以上に我慢して、最終ラインを下げずに戦うことができていた印象です。
ラインを下げずに守れれば、大きな課題となっていたリトリート時の守備バランスも隠すことができる。
そして、コンパクトに守れれば高い位置でボールを奪うことができ、そこから攻撃にも転じやすい。
逆に言えば、愛媛は下がりがちなジェフの最終ラインを、なかなか押し下げることができなかった。
効果的にDFラインの裏を突く攻撃が作れていなかったように思います。
前回対戦した時はジェフの弱点を突くことができた愛媛ですが、今回はうまくいかなかったということになりますね。
愛媛は特徴である前で奪ってハーフカウンターという展開も、ほとんど作れなかあったことになります。
実際にジェフのDFラインが下がった70分過ぎからは、苦しい時間帯が続きました。
その時間がいつもより短かったこと、愛媛がいくつかあった決定機を外したこともあって失点を免れましたが、決して良い状態での守り方ではなかったと思います。
田中を投入して守備固めをした時間帯も早すぎた印象がありましたが、なんとか失点せずにすんだといった印象。
チームとしてここからの大きな変化というのは期待薄でしょうし、今後の試合においてはこの日のように押し下げられる時間帯を短く出来るかどうかが、ジェフの鍵となっているかもしれません。
一方、攻撃においては、ロングカウンターでチャンスが作れたことになります。
関塚監督が就任して縦に速い攻撃を目指してきた印象のあるジェフですが、実際にはロングカウンターで得点を奪えた試合は少なかったと思います。
縦に強く速い松田が夏に加入して、この試合では水野や井出などもスタメンで起用されたことによって、ロングカウンターから何度かチャンスを作れたのではないでしょうか。
実際にチャンスが作れた回数は2、3回ではあったと思いますが、今後の武器になって行くのでしょうか。
しかし、試合展開からすれば早々にジェフが先制して、その後攻め込む時間帯があったものの追加点は取れず。
後半に入ってから失点して勝点を取りこぼす、いつものパターンに近い展開になっていました。
そう考えれば、ジェフからすれば決して良い流れだったとは言えなかったようにも思います。
けれども、愛媛の選手たちには疲れもあった印象で、試合終盤にもう1つ攻撃の勢いを上げられなかったこと。
そして、ジェフの選手たちがしっかりと体を張って最後までプレーできたこともあって、勝利に結びつけることできた試合だったといえるのではないでしょうか。
ラインを下げずに我慢できたこと。
試合終盤に守備で粘れたこと。
どちらも選手たちが相手よりも動けていたことが、大きな要因だったのではないかと思います。
そう考えるとコンディションで相手を上回ったことこそが、この試合一番の勝因だったのかもしれません。
このコンディションの良さを、最後まで維持することができるのかどうか。
愛媛も一時期はコンディションも良く結果を出し続けてきましたが、現在は落ちてきてしまった印象がある。
ジェフも昨年10月には好調で成績を上げたものの、11月には息切れしてしまい、プレーオフで敗戦してしまった。
そういった苦い経験を忘れずに、戦っていかなければいけません。
一喜一憂せず、ラストまで見据えた戦いを、これからはしていかなければいけませんね。