セットプレーからのゴールで天皇杯3回戦進出

 天皇杯2回戦でジェフはホームで岐阜と対戦。
 小雨降る中、カードも決して良いとは言えない状況でしたが、J2同志の対決で3133人は寂しいですね。
 週末開催でしたし、チケットもいつもよりお手頃価格だったはずです。
 2週間J2を休止して開催しているわけですし、天皇杯の動員はもう少し頑張ってほしいところではないかと思います。


 試合の方はジェフの勝利。
 しかし、内容に関してはすっきりとせず、セットプレーからの得点を何とか守っての1-0での勝利。
 ここ最近のリーグ戦同様の試合内容だったように思います。
■CKの流れから松田が先制ゴール
 岐阜は難波、高地がベンチスタート。
 ヘニキ、岡根などその他の主力選手は出場しましたが、攻撃における飛車角を欠いたスタメンでした。
 元ジェフの益山、太田はベンチにも入っておらず、メンバーから外れていました。


 一方のジェフはリーグ戦横浜FC戦から、高木に代えて岡本、金井に代えて大岩、富澤に代わって栗山、健太郎に代えてパウリーニョペチュニクに代わって水野、オナイウに代わって森本が出場。
 天皇杯初戦で結果を残した町田は、ベンチにも入らず。
 パウリーニョに関しては次のリーグ戦で健太郎が出場停止ですので、このスタイルでの勇人とのコンビを試しておきたかったのかもしれませんね。



 試合序盤は落ち着かない展開も、ボールを保持していたのは岐阜でした。
 宮沢とヘニキのボランチが細かくパスをつないで、ビルドアップのリズムを作っていきます。
 ジェフはこの試合でも深く守る分、ボランチエリアへのマークが甘くなりがちで、その分押し込まれている状況でした。


 5分には岐阜の攻撃。
 右サイドからパスをつないでいき、宮沢が中盤でミドルシュート
 しかし、ボールを保持する岐阜でしたが、アタッキングサードの連携はもう1つ。
 そこはやはり高地、難波不在が大きかったのでしょうか。


 攻撃の形が作れていなかったジェフですが、11分には右サイドからのチャンス。
 右サイドで水野が個人突破を図り、マイナスのグラウンダークロス。
 パウリーニョがシュートを放ちますが、ゴールには結びつきません。



 そこから試合は膠着状態。
 しかし、20分頃から再び岐阜がボールを持つ時間が続き、ジェフはブロックを形成し守りの時間に。
 25分には岐阜の攻撃。
 左サイドでレオミネイロ、富士、小野がパスをつないでいって中央へ持ち込み、最後は小野がシュート。
 しかし、これは枠を逸れます。


 岐阜は20分過ぎから、レオミネイロと遠藤の2トップによる4-4-2から、レオミネイロを左サイドに回して宮沢を1ボランチとした4-1-4-1に変更。
 その分ボランチでのパスワークは苦しくなった印象ですが、レオミネイロの攻撃力を活かすために左に移したのでしょう。
 このシーンではそのレオミネイロが、インサイドハーフに移った小野と絡んでシュートまで持ち込んだシーンでした。



 35分にはジェフの攻撃。
 水野がアーリークロスを上げ、森本がヘディングシュートを放つも枠に飛ばず。
 この時間帯のジェフはサイドの深い位置を取れず、アーリークロスが増えていた印象です。


 しかし、43分に試合が動きます。
 水野が右サイドで仕掛けると、鋭いクロスが直接GKまで届きCKへ。
 これを水野が蹴ってニアで栗山が競り勝つと、ヘディングで放ったシュートはバーを直撃。
 その跳ね返りがちょうど松田のところに収まり、松田が合わせて先制ゴール。


 CKのキッカケとなったクロスを蹴った水野は、後方からボールを受けた段階で完全にフリーな状況でした。
 レオミネイロは攻撃ではアクセントになるものの、守備では全く効かずその前から右サイドでチャンスは作れそうな状況でした。
 しかし、なかなかジェフはそこを活かし切れず、ようやく深い位置でクロスまで持ち込めたのがこの場面だったということになります。
■難波の投入に苦しんだジェフ
 右サイドでクロスを上げられたところから失点した岐阜は、後半から4-4-2に戻しました。
 後半に入ってから素早く前線の足元にボールを供給する形で、チャンスを作ろうという攻撃が増えていった印象です。
 ただ、良い形でボールが入っても、なかなか前線でボールが収まりきれないシーンが続きます。


 それでも50分には、岐阜のチャンス。
 レオミネイロが左中央からドリブルを仕掛けてタメを作ると、右前方の遠藤にパス。
 遠藤が後方から上がってきたレナトに繋ぐと、レナトミドルシュート
 しかし、惜しくもシュートは外れます。



 後半立ち上がりは、岐阜の速い攻めに苦しみましたが、それ以降はジェフがボールを持ち込む展開が増えていきます。
 ジェフも後半から勇人などの攻撃参加が増えていき、井出が中央に入っていくプレーも多くなっていったので、後半勝負だったのかもしれません。
 しかし、高い位置まで持ち込むも、最後のところで崩し切れず。
 セットプレーでしか得点の可能性を感じない時間帯が続き、苦し紛れのミドルシュートも多かった印象です。


 67分、岐阜は遠藤に代えて難波、ジウシーニョに代えて比嘉を投入。
 ここからは岐阜のチャンスが増えていきます。
 74分には宮沢に代わって高地を投入して、そのままボランチへ。
 その直後には、岐阜の決定機。
 ロングスローから難波がニアですらすと、レオミネイロが抜け出してシュートを放ちますがこれも決めきれず。


 76分、ジェフは森本に代わってオナイウを投入。
 その直後に難波が右サイドの裏を完全に抜け出し中央につなぎ、最後は難波がシュートを狙いますが合わせきれず。
 この場面で栗山は負傷交代。
 栗山に代わって金井が投入され、大岩がCBに。
 金井が右SBに入りました。 


 その直後に右サイド前方でジェフがボールを奪うと、最後はオナイウがシュートを放ちますが決めきれず。
 85分、難波がうまく中央でつぶれて比嘉が飛び出して行ってシュートまで持ち込むものの、ゴールならず。
 このあたり、岐阜の決定力に救われている印象がありました。


 43分にはジェフの攻撃。
 パウリーニョが、中盤で粘って前方に繋ぎます。
 ハーフカウンター気味の攻撃となり、最後は田中がシュートを放ちますがGK常盤の正面。



 後半アディショナルタイムには岐阜の決定機。
 右サイドのCKを高地が蹴ると、ニアでレナトがヘディングシュート。
 ゴール左隅に放たれたシュートは一瞬やられたかと思いましたが、これも枠外となりジェフとしては救われた形となりました。
ジーコ時代の日本代表に通じるものが
 後半途中からは岐阜に何度もチャンスを作られ、つい延長戦が頭をよぎってしまいました。
 試合後、蘇我地域は竜巻などが発生し混乱したそうですので、90分で決着がついて本当によかったですね…。


 特に難波が加入してから、苦しい時間帯が長くなった印象です。
 難波は決して体が大きいわけではなく、ずば抜けたスピードなどがあるわけでもないと思うのですが、ボールを引き出す動きが非常にうまい選手。
 横浜FC時代から前への飛び出しは得意な選手でしたが、年齢を重ねたことで引いて受けたり体をうまく使ってつないだり…といった動きも出来るようになった印象で、自らがシュートを狙わずとも脅威になっていました。


 ジェフの守備陣はその難波の動きを止め切れず、苦労した後半だったと思います。
 あれだけ難波にやられてしまうと、「うまく守りきった」とは言い難いのではないでしょうか。
 難波自身を止められずともボールの出所を抑えられれば問題なかったのでしょうが、それも出来ておらず何とか試合終了までこぎつけたといった印象でした。
 スタメン出場でなくてよかったですね。



 攻撃においても、ボールを運んでも決定機まで作れる回数は非常に少なく。
 結局、リーグ戦同様にセットプレー頼りになっていた印象でした。
 流れの中での攻撃でいえば、岐阜の方が良い形を作っていたのではないでしょうか。


 守備では何とかゴール前で凌いで、攻撃はセットプレーで得点を狙う。
 どこかで似たチームを見たような気がするなぁ…と思って頭をよぎったのが、ジーコ監督時代の日本代表でした。
 あのチームもアジアレベルのチーム相手に、押し込んでも完全には崩し切れず流れの中ではチャンスを作れず。
 結局、中村からのセットプレーで得点を奪い、ロースコアで何とか勝利する…といった試合が多かったと思います。


 ジーコ監督と関塚監督は鹿島つながりですし、ルーツは近いものがあるのかもしれません。
 鹿島も伝統的にセットプレーとフィジカルを重視するチームでしたし、まったくの偶然というわけでもないように思います。
 あの頃の日本代表のサッカーというと、正直あまり良いイメージはありません。



 ただ、そのすべて否定しても仕方がないので、問題はそこからどうこのチームを発展させていくかということになるのでしょう。
 そこがなかなか見えてこないことが、今はもどかしく感じるところですね。
 少しずつ勝点を稼ぐことは可能かもしれませんが、伸び代が見えてこなければ将来に期待をするのも難しいところで。
 もうワンステップ上を目指せるかどうかが、重要になってくると思います。