米倉が初出場初アシストを決めた中国戦

 東アジア杯最終戦となった中国戦。
 元ジェフの米倉は初スタメンとなりました。
 今回米倉の背番号はジェフ時代と同じ22番。
 ジェフでは羽生が長くつけていた番号で、八千代高校の後輩である米倉が受け継いだ形。
 阿部の浦和での22番も羽生の意識したものと話しており、レスターでも22番。
 阿部は南アフリカW杯でも2番をつけており、こうやって少しずつバトンが繋がれていくのかもしれませんね。



 しかし、左SBでのデビューになるとは思ってもみませんでした。
 単純に左SBに選手がいなかったことが、大きかったのだろうと思います。
 もともとはフルメンバーでも試合に出場していた太田が、左SBの最有力候補だったはずですが、現在は負傷中。
 藤春は過密日程の中2試合連続でスタメン出場していたし、前方の左ウイングには同じG大阪の宇佐美もいるということで、左SBだったのでしょうか。



 米倉は40分に貴重なアシストを記録。
 槙野からのスルーパスに反応して完全に裏を取り、左足でグラウンダーのクロス。
 試合序盤には左足でのキックをためらって相手に止められてしまったシーンがありましたが、ここではワンタッチでボールを出していました。
 飛び出しまでの流れも含めてよい動いだったと思います。
 後半途中からは疲れのせいか動きも落ちていった印象でしたが、その他のシーンでも積極的にスプリントを見せて攻撃に絡んでいました。


 ただ、守備においてはキックオフ早々に米倉が簡単にボールを奪いに行ったところから裏を取られ、そこで相手が得たスローインから日本が失点しています。
 25分にもDFラインの押し上げで米倉が1人だけ遅れて、ロングボール一本で裏を取られてあわや…というシーンがありましたし、守備での連携面という米倉の大きな課題も見られた試合だったと思います。
 まぁ、そのあたりも含めて懐かしさを感じましたが、ビルドアップ時のミスもありましたし、細かなところが気になるタイプの監督には気になる部分もあったのではないでしょうか。
 SBは海外に多くの選手を輩出しているポジションなだけに、今後の代表定着は簡単ではないと思います。
 それだけレベルの高いものが要求されることになるはずですし、この経験を糧にしてさらなる成長が求められるのではないでしょうか。



 さて、試合全体に関して。
 日本代表は過去2試合で結果が出せていないためか、この日は序盤から積極的に前に出て行った印象でした。
 しかし、その分中盤やDFラインの裏を取られるシーンも見られましたが、中国の方も攻撃に粗さが目立ち1失点で済んだ印象です。


 そして、攻撃においては中国が攻め込むと比較的後ろで構えて守ることもあって、遅攻の面が重要になってくる試合だったと思います。
 しかし、これまでの試合と同様に、そこで課題が見られたように思います。
 後方でパスをつないでいても攻撃の形が作れなかったり、FWにパスをつないでもそこからの連携がうまくいかなかったり。
 結局、米倉も含めたアタッカー陣による単独での仕掛けが、一番の攻撃パターンとなっていた印象です。



 大会全体を通して考えると、コンディションや連携面などの問題は十分加味して考えるべきだと思いますが、攻守にちぐはぐな部分が目立ったチームだったように思います。
 早い攻撃を組み込みたいという意欲は感じるものの、「どこで速さを使うのか」というのがチームとしてはっきりしていない。
 ただがむしゃらに前へというプレーばかりが目立っていたように思います。


 時間がたてば改善していくのならいいのでしょうが、その分逆に落ち着いたパスワークというものが失われてしまっている印象で。
 その結果、結局特徴のないチームになってしまったら…という不安はなくもないように思います。
 ただ、今後どのように舵を取っていくのかを改めて考える機会としては、悪くなかったのではないでしょうか。


 また、遠藤、山口蛍、武藤、米倉など新たな選手が可能性を見せてくれたことも、今後にとっては大きいことだと思います。
 今の日本代表にとっては、世代交代というものも大きなテーマとなっているはずです。
 今回活躍した選手たちを、どこまでAチームに組み込めるかも今後の注目点になるのではないでしょうか。