土壇場の失点で1-1の引き分けに
雷の影響で、キックオフが約50分遅れとなったC大阪対ジェフ戦。
応援に行かれた方々、お疲れ様でした。
試合の方は、あまりC大阪の出来がよくなかった印象があります。
結果が出ていない状況が続いているジェフですが、やはり選手の動き自体は悪くなくコンディションでは相手を上回っていたのではないでしょうか。
それだけに勝ちたい試合だったと思うのですが、非常に残念な引き分けに終わってしまいました。
試合展開も悪かったですね。
■ジェフが押し込むもシュートまで持ち込めない前半
ジェフはオナイウがスタメン出場となり、井出がベンチへ。
森本とオナイウの2トップで、ペチュニクは右SHに戻りました。
水野がベンチから外れ、移籍間もない松田力が控え組に入りました。
C大阪は今夏加入したエジミウソンがスタメン出場し、玉田がベンチスタートに。
新加入のマグノ・クルスもベンチに入りました。
また、これまで全試合フル出場を果たしていた丸橋が出場停止で、代わりに椋原が出場。
ボランチは報道の通り橋本と秋山で、扇原はこの試合でも欠場となっています。
試合はジェフが、キックオフから積極的に前に出ていきました。
しかし、先にチャンスを作ったのはC大阪。
4分にGK丹野からのロングキックの流れから、エジミウソンが頭で落として田代がシュートを放つもGK高木の正面。
ジェフは5分に左サイドからCK。
中村が蹴ったボールがゴール前中央のペチュニクの足元に入りましたが、シュートに持ち込めず。
9分にはC大阪のチャンス。
中央でパブロが囲まれながらもキープして、右サイドに展開。
谷澤はボールが切れると思ってスルーするも酒本に奪われ、そのままセンタリング。
橋本が放ったシュートはジェフDFにあたり、こぼれ球を田代が拾ってシュートを放つもGK高木が片手でセーブ。
高木の良い反応で失点を免れます。
立ち上がりはジェフが前へ圧力をかけていきましたが、10分以降は落ち着いた流れに。
しかし、ボールを持つ時間はジェフの方が長く、ジェフが若干優勢で試合を進めていった印象でした。
C大阪はやはり守備に課題があって、前線からのプレスも効いていなければ、後方で待ち構えるような守備でもない。
C大阪としては前に出ていける状況なら良いのでしょうが、押し込まれると弱さがあるのかもしれません。
特にこの日は加入後初スタメンのエジミウソンの動きが重かったこともあって、さらに守備面で弱さが出たところがあったように思います。
以前から太りやすい印象のあるエジミウソンですが、少なくとも現状ではまだ絞り切れていないといった印象を受けました。
それに対してジェフはスタートから積極的に前に出ていくことで、相手を押し込もうという狙いだったのかもしれません。
森本、オナイウ、ペチュニクと高さのある選手を同時起用し、キックオフから長いボールを多用していきました。
ロングボールで相手を押し込んでから、パスをつないでいこうという意図だったのではないでしょうか。
しかし、この試合でも相手を押し込むことはできても、チャンスを作れないジェフ。
逆にC大阪はボールを持つ時間は短かったものの数少ない攻撃機会でもチャンスを作ることができ、シュート数ではジェフを上回っていました。
26分、ようやくジェフの攻撃の形ができます。
富澤からのロングキックを右サイドの金井が頭で落とし、ペチュニクが裏を取ります。
マイナスのパスを健太郎が受けてシュートを放つも、相手選手にあたってスローイン。
そのスローインから金井が左足でセンタリングを放ち、谷澤がヘディングで合わせるもプッシングを取られゴールならず。
逆に31分にはピンチを迎えます。
関口が右サイドからドリブルで長い距離を持ち込むと、そこからパスを受けたパブロが狙い澄ましたシュートを放ちますが、GK高木がセーブ。
この辺りから、C大阪がボールを持つ時間に変わっていきました。
逆にジェフは、徳島戦のような後方に引いて守る時間帯が増えていく展開に。
35分にもC大阪の攻撃。
椋原からのセンタリングを田代がダイレクトボレー。
これはジェフDFに当たりますが、パブロが拾って橋本とパス交換をし、パブロがミドルシュート。
これもGK高木がセーブします。
しかし、31分にも関口のドリブルを止められませんでしたが、ジェフの守備はSHが中に入ってくると誰が見るのかはっきりしないところがあったように思います。
■先制するも土壇場で失点し引き分け
お互いメンバーを変えずに後半へ。
47分にはジェフの攻撃。
浮き球のボールを中盤で谷澤が受けると反転して関口をかわし、浮き球のパス。
これに反応してオナイウが相手DFの裏を取りますが、相手GK丹野も前に出てきたため、足を延ばしてゴールを狙うも枠外。
49分、今度はC大阪の攻撃。
パブロがジェフのボランチ前でフリーでボールを受けて、前方へスルーパス。
エジミウソンがジェフDFの裏を取り、GK高木も交わしますが、足がもつれてシュートならず。
ここでもジェフは、パブロの前を止められませんでした。
後半からは、C大阪がボールを持つ時間帯が長くなっていきました。
前半のC大阪は前からのプレスも効いておらず、ジェフがハーフウェイライン先まで自由にボールを持てるような状況でしたが、後半からはプレスにもいくようになっていきました。
DFラインも積極的に押し上げ、全体のラインの高さが変わっていきます。
逆に後半に入ってからは、ジェフの方が全体のラインが下がる時間帯が増えてしまいます。
攻撃でも相手を押し込めず、深い位置まで持ち込めない状況が続いていました。
50分にはC大阪の攻撃。
田代が落として橋本が受け、パブロ、エジミウソン、椋原とつないでクロス。
こぼれ球を橋本がミドルシュートを放ちますが枠外。
しかし、それ以降は両チームともに疲れが見え始め、試合は停滞状態に。
C大阪は良い形でボールを持てても、エジミウソンの動きが少なく他選手がどこにパスを出していいのか迷う展開が多かったように思います。
ジェフも良い形で攻め込めず、60分には森本に代えて田中を投入。
ペチュニクが中央に、田中が右SHに入りました。
68分、ジェフのチャンス。
後方から金井のロングキックから、ペチュニクが裏に飛び出しキープ。
オナイウが走り込んでいきシュートを放ちますが、相手DFにあたってCK。
このプレーで得たCKを中村が蹴ると、中央でフリーになったペチュニクの足元に入ってシュートを放ちゴール。
ペチュニクのマーカーはエジミウソンだったようですが、完全にマークを見失ってました。
C大阪としては、守備で大きな穴を作ってしまったシーンだったように思います。
その直後には、C大阪のチャンス。
中盤でパブロと関口が繋いで、関口が健太郎をかわしてシュートも枠に飛ばず。
しかし、ここも簡単にボランチが交わされたシーンでした。
72分にはジェフのチャンス。
カウンターでパスをつないでいき、右サイドのオナイウへ。
オナイウはオーバーラップした金井を使うと、金井はマイナスのクロスを選択。
健太郎が受けてシュートを放ちますが、GK丹野がセーブして追加点ならず。
74分、C大阪はなんと3枚替え。
酒本を下げて茂庭を投入し、山下を右SBへ。
橋本に代えて、前節スタメンの吉野を。
パブロに代えて、新加入のマグノ・クルスを起用しました。
そこからはジェフの防戦一方に。
77分、C大阪の攻撃。
関口が一度右サイドで仕掛けたところから、一度はジェフは防いだもののボールを奪い返されます。
そこからマグノ・クルス、吉野、秋山とつながれて、浮き球のパス。
エジミウソンが落として、田代がシュートを狙いますが、なんとかGK高木が対応。
78分にはCKの流れから、PA付近ゴール正面でC大阪のFK。
関口が直接シュートを放ちますが、枠に飛ばず。
80分にも椋原のクロスが逆サイドの関口まで流れ、PA内から中央のエジミウソンを狙ったパスを出しますが、富澤が何とかクリア。
82分、ジェフはペチュニクに代えてパウリーニョを投入。
久々の起用となったパウリーニョは1ボランチに入り、4-1-4-1のようなシステムになりました。
直後にC大阪が右サイドからCK。
田代がゴール前でキムの前を取りヘディングで合わせますが、GK高木の正面。
84分、ジェフは谷澤に代えて新加入の松田を後退。
松田を1トップにして、右SHにオナイウを、左SHに田中を回しました。
その後は攻め込んでくるC大阪に対し、ジェフはゴール前を人数で固める展開になっていきます。
何とかゴール前で粘っていたジェフの守備陣ですが、後半アディショナルタイム。
関口からのアーリークロスを一度は跳ね返すものの、中盤の高い位置でエジミウソンに拾われます。
そこから秋山、マグノ・クルスとつなぐと、マグノ・クルスが田代とのワンツーで抜け出しシュート。
これが決まって土壇場に1-1にされ、そのまま引き分けで試合終了となりました。
■偶然とは言い難い中盤からの失点
試合途中までは、C大阪の自滅のような展開かなと思っていました。
エジミウソンは確かにシュートまでのイメージを持っている印象で、ゴール前でうまくボールを持てさえすれば一発はありそうなイメージがありました。
しかし、あまりにも動きが重く、ボールを引き出す動作も全くなかった印象です。
ハーフタイムで交代でもおかしくないと思っていたのですが、結局90分間プレーすることになりました。
そこはブラジル人のアウトゥオリ監督ということで、動けなくてもゴール前で1つ仕事をしてくれれば良いということだったのでしょうか。
けれども、結局失点シーンでもペチュニクのマークを外してしまい、大きな穴を作ってしまったことになります。
試合終盤に1点を奪い返しに来た場面でも、エジミウソンが前に動き出さないために、前線で渋滞が起こっていた印象です。
それもあって、攻めきれない場面も少なくなかった。
あるいはクロスを上げても、ジェフとしては守りやすい状況だったように思います。
しかし、ジェフは最後で凌ぎ切れなかった。
「詰めが甘い」と言えばそれまでなのでしょうが、かといってジェフが完全に試合をリードしていたかと言えばそうでもなかったと思います。
まずは前半にあれだけ相手を押し込んでボールを持てても、チャンスまで作れる回数はほとんどなかった。
後半も含めて、攻撃の細部が作れていなかった印象です。
C大阪は攻撃的なチームで、攻撃には怖さがある分、守備には不安があるチームだと思います。
それだけにそのチーム相手に1点だけしか取れず、終盤に1点リードで守りに入ってしまった状況というのは、あまり良くなかったように思います。
動きの良かったマグノ・クルスも含め、一発はある選手が並んでいる上、パスレンジも長いため後方で凌ぐ格好には不安もあった。
ジェフからすれば、攻撃においてはやりやすい相手だったと思います。
ジェフ戦となると相手チームには必ずと言っていいほど中村が警戒されることになりますが、そういった特別なジェフ対策をしているようには見えなかった。
特に立ち上がりは中村への対応が1歩、2歩と遅れることが多く、楽にジェフの形が作れるような展開でした。
しかし、それでもシュートまで持ち込む形が作れず、決定機も2,3度ほどしかなかったと思います。
また、ジェフは守備においても、前半から中盤に不安があった。
ボランチエリアにスペースがあって、パブロ、関口といったSHが中に入ってくると止められず、簡単にシュートまで持ち込まれていた。
最後にマグノ・クルスにやられたのも、決して偶然というだけではなかったと思います。
例え相手SHが中に入ってきたとしても、コンパクトに守れれば中盤にもスペースがなくなり守りやすい状況が作れると思うのですが、この日のジェフはそうではなかった。
前から追いかけられている時は良かったのですが、後方でサイドチェンジをされると全体のラインが下がってしまう。
それによって、中盤にスペースができて相手SHを自由にさせてしまった。
4-4-2はサイド後方にスペースが出来がちなわけで、そこにボールが入ったところから相手に前を向かれて、ラインが下がる状況になってしまっていたように思います。
パウリーニョを久々に投入したことからも、ボランチエリアの守備に不安を感じていたのでしょう。
勇人か健太郎のどちらかが前に出て行って、残り2人が引く形でボランチエリアの守備を厚くしようとしていた印象があります。
しかし、全体のラインが低すぎるという状況は変わらず、ボランチ前で相手選手に前を向かれて仕掛けられていた。
そこが守備の大きな課題だったように思います。
非常に残念な引き分けだったと思いますが、思い返せば昨年終盤の試合もこういった展開が多かったと思います。
相手を押し込んでもチャンスを作れず、徐々に引いて守る時間も多くなっていく中で、一発のチャンスをものにする。
守備では決してバランスの良い形ではないものの、ゴール前に人数を固めて何とか守る。
やられる時も今回のようにゴール前にいる選手からマークをしていくために、後方の選手が空いてそこから失点というパターンが多かったと思います。
やはりスタイルは、あの頃に戻りつつあるのかなと思います。
問題はそこからどうプラスするのか。
最後まで粘れる守備を作るのか、それとも終盤に攻め込まれた時でもカウンターで攻め返すことで押し返すような展開を作るようになるのか。
一度実施していた無難なスタイルに戻してある程度の勝ち点は稼げるようになったとしても、それだけでOKとはならないでしょうから、ここからスケールアップできるかどうかが重要なのではないでしょうか。