ジェフ経営情報'14後編 「特別損失」で赤字が増加

 前編では、『営業収入』と『営業費用』の項目を見ていきました。
 後編では、それ以外のデータに関してみていきたいと思います。


 まずは、収益の部。

 『営業利益』では3800万円の赤字。
 『経常利益』では4100万円の赤字となっています。
 しかし、それだけではなく「特別損失」で4800万円が発生しているため、さらに最終赤字は8900万円まで膨れ上がっています。


 この「特別損失」は、監督交代による違約金などではないかと思われます。
 2011年にもお話ししましたが、過去のデータを見ても監督交代が行われた年は、大きな「特別損失」が発生する傾向にあります。

 なお、05年度は監督交代がありませんでしたが、フクアリ移転の費用を「特別損失」に計上した可能性があるのかもしれません。
 毎年のように「特別損失」を計上していることがわかりますが、江尻監督が最後まで指揮を執った10年度は「特別損失」が発生せず、逆に「特別利益」が出ています。


 その後、11年度は1億6700万円の「特別損失」が発生していますが、その年はドワイト監督が途中解任。
 12年度は3200万円の「特別損失」が発生。
 この年は木山監督が1年間指揮を執りその後の契約はオプションという話だったと思いますが、もしかしたら何かしらの契約があったのかもしれません。
 そして、鈴木監督が指揮を取り翌年も継続した13年度では、「特別損失」が100万円となりほぼ0に近い数字となっています。



 例年のように監督交代を行っているジェフですが、これがチームだけでなく経営面においても悪影響を与えているということが言えるのではないでしょうか。
 「特別損失」もそうですが、監督を変えると選手も大幅に入れ替わる可能性が高まり、「チーム人件費」などに負担がかかる可能性が出てくる。
 そうなると、いかにジェフがJ2の中では経営規模が大きいと言っても、無駄な費用にばかりお金を回すことになり、効率の良い運営・経営が出来なくなってしまう。
 逆に言えば経営規模が小さくともコツコツと運営していけば、経営規模以上のチームが作れるかもしれないということも言えるのでしょう。



 改めて『営業収入』等のデータを見ると、赤字が発生したことだけでなく、昨年までとの差額が大きいことが目に付くように思います。
 『営業収入』、『経常収入』は前年比で約1億5000万円減、『当期純利益』は前年比で約2億円減となっています。
 昨年までの3年間が比較的安定して黒字を出せていただけに、落差が大きくなっているところも重要ではないかと思います。


 ジェフも08年度から10年度までの3年間で赤字を計上しているように、経営は一度揺らぐと翌年度以降にも影響が出るケースが考えられます。
 今後は経営面での立ち直しにも、期待したいところではないかと思います。
 もっとも監督交代による影響や「入場料収入」なども含めて、チーム運営と経営は直結するところがあると思うので、経営面を立て直すためにもチーム運営の立て直しが必要になってくるのではないかと思いますが…。



 最後に資本面に関して。


 前年度は赤字が出たとはいえ、ここ数年は安定していたため、資本面ではさほど問題はないと思います。
 J2降格直前に経営的に大荒れだった頃に比べれば昨年度の赤字も大きな額ではなく、債務超過などへの心配もまだないと思います。



 とはいえ、ライセンス制度を考えても、やはり出来る限り黒字化を目指してほしいところ。
 度重なる監督交代や方向性の変更が経営面によって悪影響は出ているジェフとしては、まずはしっかりとした長期的ビジョンを作って安定したチーム運営を目指すこと。
 それがチームの成長だけでなく、クラブ経営の安定化にもつながっていくのではないかと思います。