関塚監督「2トップに変えてコンパクトする狙い」

 徳島戦後の試合後のコメントです。
 4-4-2の3ラインに関しては、偶然にも金曜日にお話ししていました。
 簡単に言ってしまえば1トップよりも2トップにした方がラインの数が少なくなって、コンパクトに守れるという考え方ですね。


 ただ、昨年終盤もそうでしたが、ジェフの守備は綺麗なポジショニングによるバランスの良い4-4-2のラインディフェンスという形ではないと思います。
 どちらかと言えば、後方を人数で固めて人に付く意識の強い守り方。
 徳島戦でも2トップではありましたがペチュニクが下がってFWラインとMFラインの間に位置するような時間帯もありましたし、マンマークの意識が強いため選手がサイドに引き出されてバランスを崩すシーンも少なくなかったと思います。
 2トップの追い方に関しても課題も見られましたし、ペチュニクの守備力にも課題があってそこから攻撃を作られていた印象です。



 ただ、そこはFWだけの問題ではなく、全体のラインが低いという課題も大きかったように思います。
 金曜日に話した通り、4-4-2で2トップが相手のボランチとCBの間にポジショニングする。
 そこからプレスに行けそうならFWが相手CBにプレスに行き、いけない状況ならCB前に立ってパスコースを消すというのが最近のトレンドではないかと思います。


 しかし、ジェフは一度攻め込まれるとDFライン、MFラインが低く待ち構えるため、2トップが相手のボランチとCBの間に位置取りできない。
 その結果、ジェフのFWは2人で相手CBと相手ボランチの合計4人を見なければいけないような状況になるため、どうしても後手に回ってしまう。
 するとパスの出所が抑えられなくなるわけで、4-4-2とはいえゴール前に人数を固めてCBが個人能力で来たボールを跳ね返すという展開が多かったように思います。



 確かに以前よりはコンパクトになっており、それによって後方には穴が少ない状況になったと思うのですけど、守備のスタート位置も低く4-4-2全体が後方のエリアでコンパクトに守る状況だったと言えるでしょう。
 これは基本的には昨年の戦い方同様に、まずはゴール前を固めるという意識が強いからだと思います。
 熊本戦で裏を取られて2度もやられてしまったこともあって、こうせざるを得なかったという部分もあったのかもしれません。


 この守備が今後はベースになるのだろうとは思いますが、どこまでこれでやり通せるかどうか。
 昨年を思い返すと、この戦い方に代えて10月の4試合こそ良かったものの、11月には苦戦を強いられるようになってきました。
 決してバランスの良い戦い方とは思えないだけに、これでどこまで長続きするか。
 この守備で粘っているうちに新しい戦い方を作れれば…と言いたいところですが、さすがにそう何度も新たな戦い方に期待するのは無理があるでしょう。
 戦い方を変えるたびに、調整し直さなければいけない部分も出てくるでしょうし。



 守備においての目下の課題は、2トップをどのようにするかではないでしょうか。
 4×4が低い状態であることを考えると、今のところ2トップにこだわる守備的なメリットというのはあまり感じないように思います。
 ただ、攻撃面で違いを作れる選手であるペチュニクをどこかにおいて置きたくて、2トップの一角で起用したということではないでしょうか。


 しかし、このまま4-4-2の形で守るとなると、ペチュニクの存在も難しくなってくるように思います。
 守備に課題があってもその分攻撃面でうまく使えていればいいのでしょうが、現状だとペチュニクの良さも生かし切れていない印象があります。
 去年は後方に下がってゴール前を固めたところから、幸野、町田、慶などが広範囲を守って成立させていたところがあるだけに、今季はここからどう修正するのか。
 タイプは違うとはいえ、守備のできないケンペスは外されていたわけですし…。



 後方に下がって守る、割り切って守るにしても、その時の守備バランスが良ければ問題ないとは思います。
 良い時の金沢や前節の徳島も前からのプレスは決して厳しくなかったですが、後方のポジショニングは整っていてCBだけで跳ね返して守るというような守備ではなかったと思いますし、そういった形が作れれば安定したチームになっていくのではないでしょうか。
 しかし、現状のジェフの場合CBへの負担が大きく、パスの出所を終えられずにゴール前で跳ね返す回数が増えるだけに、事故的な失点の不安も高まるように思います。


 基本的には、このサッカーをベースとして戦うしかないだろうと思います。
 しかし、そこからどこまで改善できるか。
 そして、この戦い方でどこまで勝ち点を稼げるのかといったところが、今後の注目点ということになりそうですね。