ジェフ経営情報'14前編 「チーム人件費」増加で赤字に
Jリーグが昨年度の各クラブ経営情報を発表しました。
ここ数年のジェフはJ2暮らしが長引いている影響もあって経営規模の縮小化傾向が見られたものの、基本的な経営は安定していていました。
しかし、昨年度は一転して、赤字に転落しています。
単年での赤字ですからそこまで問題視することもないと思いますが、それでも気になるところですね。
Jリーグクラブライセンス制度によって、3年間赤字が続けばライセンス剥奪となる。
前年度に続き今年度も赤字となれば来年度は無理な補強ができない、確実に利益を出さなければいけないなど、様々な負担がかかることが予想されます。
今年度の経営が重要になってくるのかもしれませんね。
それでは今年も発表された昨年度の経営状況を、前年までのデータと比較しながら見ていきたいと思います。
まずは『営業収入』。
データが増えてきて見づらくなってきたことと、11年度のデータから公開項目が変わったこともあって2種類の表を作成しております。
表からも分かるように昨年度の『営業収入』は前年に比べて、3000万円減少していることになります。
また「広告料収入」は2200万円ほど増加していますが、「入場料収入」が3800万円減となっています。
J2に降格してからの、ジェフのホーム平均観客動員数は以下の通り。
なお、J1時代となる07年〜09年にかけては、1万4000人を超える数字となっていました。
13年度こそ健闘して1万人を超えましたが、昨年は再び減少しています。
2010年 11,689人
2011年 9,680人
2012年 9,281人
2013年 10,004人
2014年 9,334人
昨年度は9,334人で12年度の動員を上回っていますが、「入場料収入」は3億1500万円となっており12年度の3億4100万円を下回っただけでなく、経営情報が公表された過去10年間で最低を記録。
昨年は夏以降タダ券を配布したり、格安でチケットをさばいたりといった事例があったと言われていますが、それを裏付けるデータとなったのではないでしょうか。
今季はスタートダッシュに成功したこともあり、第26節終了時で平均11,308人となっています。
しかし、7月に入ってからは、チームの不調もあって動員も一気に低迷。
7月12日の群馬戦では8,123人、7月26日の熊本戦では8,499人となっており、今季の平均どころかJ2に降格してからの平均動員数も下回る状況になっているだけに、今後の推移が気になるところです。
また、「その他収入」の項目でも昨年から2200万円ほど減少していますが、11年度、12年度と14年度を比較すると安定して2億8000万円程度になっていることがわかります。
13年度が例外だったということにいなりますが、14年1月期ということは13年2月から14年1月末までの決算。
「その他収入」には「移籍金」が含まれるのではないかと思われるので、米倉の移籍金が発生し増加した可能性があるのかもしれません。
『営業収入』では昨年から約3000万円減っているとはいえ、全体の収入が20億円以上あることを考えると、さして大きな減額ではないように思います。
注目は『営業費用』ということになるのではないでしょうか。
昨年に比べると、『営業費用』は約1億2100万円も増加していることがわかります。
「トップチーム運営経費」で約1700万円、「アカデミー運営経費」で約1900万円、「販売費及び一般管理費」で約1800万円増加。
ただ、過去4年間で増加傾向の「アカデミー運営経費」に関してはJ1平均で1億1600万円であることや、「アカデミー関連収入」も増加傾向であることを考えると、大きな問題はないように思います。
むしろこれまでが、少なすぎたと言えるのではないでしょうか。
一番の増加分は「チーム人件費」で、ここだけで約7100万円も増えていることになります。
『営業収入』、『営業費用』の項目の中で一番大きな変化が出ているのが「チーム人件費」で、これが赤字転落の大きな原因となっています。
過去4年間で見ても、「チーム人件費」は昨年が最も多くなっています。
12年度のチームと13年度のチームを思い返すと大きく選手構成は変わっていないのに、これだけの費用がかかったのはなぜなのか。
考えてみれば先ほど話した通り、15年1月期決算ということは14年2月から15年1月末の決算なので、14-15年オフの「移籍金」がここにかかっている可能性がある。
今季開幕前のオフで大きくメンバーが大きく入れ替わっているため、それが影響を及ぼしているのかもしれません。
ペチュニクこそ「移籍金」がかからなかったという情報も出ていましたが、パウリーニョや金井などの「移籍金」は発生した可能性があります。
逆に前年の米倉のようなジェフから他チームへの完全移籍は少なく契約満了後の移籍が多かったと思いますので、今オフは収入が少なく支出ばかりが発生してしまったのかもしれない。
それが赤字の発生に繋がったということでしょうか。
もし今季開幕前のオフで赤字覚悟の補強をしていたのであれば、今季は結果が重要なシーズンということなのかもしれません。
今季昇格できさえすれば例え今年度の経営は厳しくなったとしても、来年度はJ1で運営できるため「広告料収入」や「入場料収入」など様々な項目での収入増加が期待できるでしょう。
そうなれば、3年間赤字に対する不安も薄れることになります。
しかし、当然その計画が失敗すれば来年度以降は堅い経営を余儀なくされ、より一層の規模縮小化も考えられます。
またそれだけ開幕前に無理をしたのであれば、その分今夏の補強ではそこまで積極的に動けないかもしれない。
それでも富澤、安はしっかり獲得したわけで前年度で赤字を出したことを含めて考えると、これ以上望むのは難しいということになるのではないでしょうか。
経営情報に関するお話。
続きは来週ということで。