下位チームが押し上げる中、好調水戸と対戦

 夏休み連戦に入ったJ2リーグ
 連戦初戦は下剋上の多い展開となりました。
 まずC大阪が京都に0-1で敗戦、横浜FCは熊本に0-3で敗れ、長崎も大分に1-2で負けています。
 札幌も讃岐に1-0で敗戦し、岡山も徳島に0-3で敗北。
 また、金沢も岐阜に1-1で引き分けとなりました。


 その結果、ジェフの順位も5位と、変わらずに済んだことになります。
 ただし、大宮、磐田と1,2位のチームは、しっかりと勝利しています。
 このまま上位2チームが、調子を上げていくのでしょうか。


 特に京都、大分、徳島といった本来は力のあるチームが今後上がってくれば、中段争いはより混戦となってくるのではないでしょうか。
 ジェフとしては上位を追いつつも追われる立場にもなりかねませんから、より厳しい戦いとなってくる可能性があります。
 群馬や讃岐あたりも良いサッカーをしていると思いますし東京Vも6位に上がってきましたから、プレーオフ争いは非常に予測の難しい状況になっている印象です。



 明日ジェフは水戸と対戦するわけですが、水戸も調子を上げてきているチームの1つと言えるでしょう。
 水戸は6月7日に、柱谷哲二監督を解任。
 その時点で7試合勝ち星なしとなっており、21位まで順位を落としていました。


 柱谷監督の解任で西ヶ谷ヘッドコーチが代行監督として昇格し、その後正式に監督に就任しました。
 西ヶ谷監督は2000年選手時代に、ジェフに在籍経験があります。
 ジェフOBは指導者の道を進む方が多い印象ですが、それがジェフ本体にうまく還元できていないのが残念ですね…。


 西ヶ谷監督が指揮をとってからの水戸は、3勝3分1敗と好成績を記録。
 同時期のジェフは2勝2分3敗と、水戸より悪い成績となっています。
 まだ水戸は17位ではありますが、現在の順位は気にせずに挑まなければいけませんね。


 監督の変わった水戸ですが、サッカーは大きく変わっていない印象です。
 攻撃では2トップのポストプレーを攻撃のスイッチとして、2列目が前を向いて仕掛ける形を作ったり、サイドにつないでクロス攻撃を狙ったり。
 守備でも4-4-2からプレスをかけていく、オーソドックスなサッカーといった印象です。
 柱谷監督時代も決して状態は悪くなかったように思いますし、西ヶ谷監督になって一度頭の中をリセットしたというか"再起動"して整理された感じなのかもしれませんね。



 対するジェフは、2連敗でアウェー水戸戦に臨むことになります。
 攻撃の形が作れていないジェフは金沢戦、群馬戦と前に人数をかけた攻撃で押し込むも得点は遠く。
 前節は磐田相手ということでバランスを戻したものの、全体の試合内容も元に戻ってしまい、うまくシュートまで持っていけなかった印象です。
 結局、ジェフはこの3試合で、1ゴールしかあげられていないことになります。


 中村の離脱は確かに気のなるところで、中村が帰ってくれば大外からチャンスを作れる機会は増えるでしょう。
 以前にも話しましたが、メインとなる戦いとは少し離れた位置で、飛び道具的にクロスやセットプレーでチャンスを作ることができるのが中村だと思います。
 それだけに中村が復帰しても、メインの戦い方に関しての諸問題が解決できるわけではないと思います。


 実際、中村が出場していた頃から苦戦していたことには変わりないですし、現状の課題は勇人の復帰や富澤、安の加入で変わらなかったように、もっと根が深いところにあるのだと思います。
 とはいえ、中村は流れに関係なく一発でチャンスを作れる選手ともいえると思いますし、1つの武器が増える可能性は期待できるのかもしれません。
 中村はJリーグのデータを扱うFootball LABでも、J2前半のベスト11に選ばれていますが、これはジェフから唯一の選出でした。



 しかし、その中村もマークが厳しくなっている印象があり、サイドで崩し切れないこともあって良い体勢でクロスを上げる機会はシーズン序盤に比べて減っているようにも思います。
 その分、ゴール前への距離も遠くなって、確実性も下がっている印象です。
 そうなってくると、やはり誰が大外からのクロスに合わせるのかというところが重要になってきます。
 相手チームがジェフのクロス攻撃に警戒する中、わかっていても止められないレベルのクロス攻撃が作れるかどうか…。


 ペチュニクも良いヘディンガーだとは思いますが、基本的にはタイミングで勝負するテクニカルなFWではないと思います。
 ジェイのように相手選手より頭1つ抜けた跳躍力を持っているとか、ケンペスのように相手DFのマークを振り切るパワーがあるわけでもない。
 足元でのシュートなど含めて個人で勝負するタイプではなく、本来は組織の中で戦う選手なのではないでしょうか。



 振り返ってみれば、昨季終盤も後半途中からケンペスを投入してパワープレーで勝った試合が多かったと思います。
 そう考えるとケンペスのようなストライカーが重要だったのでは…と思うのですが、今季序盤のハイプレスやサイドでパスを回すようなタスクはケンペスには合わない。
 そのため、スタメンでは使いこなせなかったのでしょう。


 かといって、後半途中まで何とか粘って、残り数分で勝負を仕掛けるというようなサッカーを開幕前から計画するのは無理がある。
 実際、昨季終盤も残り数分までは苦しい試合内容が多かったですし、ケンペスのモチベーションももたなかったのではないかと思います。
 あの戦い方はシーズン終盤の一時だからこそ、可能な戦い方だったともいえるのかもしれません。



 基本的に組織的な攻撃を作れていないチーム名だけに、どうしても個の能力に期待せざるを得ないところはあると思います。
 とはいえ、いかに個の能力を活かせるようなチームを作れるか。
 最低限のベースは必要なのではないかとも思いますが。


 ともかく厳しいチーム状況なのは事実だと思います。
 まずはそれをしっかりと受けとめてから、課題克服とチームの成長を目指していかないといけませんね。