富澤「J2ならでは戦い方の典型的なパターン」
まず、富澤に関して、岡本が「ビルドアップに関しては大きく向上した」と話しています。
確かに富澤は長いボールの精度も高く、視野も非常に広い選手。
特にサイドに良いボールを展開していましたね。
ただし、やはり懸念していたように、富澤が加入したといっても中央で縦にボールが入るようになったわけではなかった。
サイドチェンジももちろん重要だし、サイドには良いタイミングで良いボールが入っていたと思いますが、それだけではチーム全体においてビルドアップが「大きく向上した」とは言いにくいと思います。
金沢戦でもパウリーニョや栗山からサイドにボールは出ていたわけですし、相手も中央よりサイドの方が警戒されることは少なく怖さもない。
やはりビルドアップはチームとして形を作り改善していかないと、大きな向上は難しいと思います。
ビルドアップはパスの受け手と出して、1対1だけで作るものではなくて、その周りも含めての連携が重要になってくるもの。
パスを出すだけでなく、出した後のサポートや展開も含めてのビルドアップと言えるでしょう。
基本的には選手1人が入っただけで解決するものではないと思いますし、富澤の良さを引き出すためにもチーム全体で成長していってほしいところではないかと思います。
また、気になるのは、守備面に関して。
1失点目はカウンターでやられた形だったため、前掛かりな形を取った戦術の問題が大きいと思います。
しかし、23分の松下のミドルシュートや2失点目の吉濱のミドルシュートはDFラインが下がってしまったことで、ボランチが前に行けず相手を中盤の高い位置でフリーにしてしまったところからやられた展開と言えるでしょう。
相手の中盤が空きがちになるのもゴール前を固める関塚監督の守備の特徴の1つではあると思いますが、それにしてもこの日は早い時間からラインが低くなりがちだった。
簡単にカウンターの形を作られてしまっていたから下がりがちだったという面もあるかもしれませんが、23分にはまだカウンターを受けていませんでしたし、最終ラインにも問題はあったと思います。
富澤は深く守りがちな選手なのか、それともそれ以外の問題なのか。
ラインコントロールも重要な役割となるはずですから、そこも今後は注目点になるのではないでしょうか。
富澤自身はこの日の試合を「J2ならでは戦い方の典型的なパターン」と感じたようです。
「カウンターとロングシュートからやられた」とも話しており、それ以外の時間帯では自分たちがボールを持っていたことも含めて、相手が引いて守ってカウンターで勝利した試合という印象が強いのかもしれません。
しかし、この流れにしたのは群馬ではなく、むしろジェフの方だったと言えるのではないっでしょうか。
前に人数をかけて相手を押し込み、ボールを保持するもチャンスを作りきれない展開。
そして、前に人数をかけすぎた結果、カウンターを受けて失点。
さらに、ラインが下がりがちだったことにより、ミドルシュートを放たれて2失点目を浴び1-2で敗戦。
今年のJ2は下位クラブであっても、そこまで引いて守ってカウンターというチームは多くないように思います。
実際、前回戦ったときはジェフよりも群馬の方がボールを支配し、攻め込む回数も多かった。
しかし、今回はジェフが前に人数をかけて押し込む形を狙ったために、このような展開になったということではないでしょうか。
J2の試合だからというよりは、ジェフがああいった戦い方をチョイスした結果、あのような試合になったといった印象が強いように思います。
富澤はJ1経験が長いですし、外から見ればJ2はあのような試合が多いといった印象になるのは仕方ない部分もあると思います。
今後、J2とはどういった特徴があり、どんな相手がいるのかを学んでいくことになるのかもしれませんね。
ともかく、個人的にデビュー戦で気になったは、ビルドアップよりもラインコントロールの方でした。
ラインコントロールが富澤の加入でどう変わっていくか、注目ではないかと思います。