11試合勝ちなしの徳島に逆転負け
試合序盤に1点を奪って、試合を優位に進めた前半。
しかし、後半に巻き返されて、そこからの逆転負け。
攻守に課題も感じられた試合でしたし、ジェフにとってダメージの大きな敗戦ということになったのではないでしょうか。
■試合序盤にFKからジェフが先制
ジェフは金井が累積警告で出場停止。
代わりに北爪が入りました。
1トップには前節途中出場だったペチュニクが復帰する形で、森本がベンチに。
徳島は東京学芸大学から今季プロ入りし、レギュラーとしてプレーしていた佐々木陽次が欠場。
ベンチにも入っておらず、怪我などがあったのでしょうか。
代わりに廣瀬がスタメン出場となりました。
また、佐藤晃大も怪我のため欠場中となっています。
キックオフ直後、ジェフのビックチャンス。
左サイド浅い位置で得たFK。
中村が蹴ると大岩がニアでヘディングで合わせますが、徳島GK長谷川徹がセーブ。
6分にはジェフ右サイドからのスローイン。
北爪が町田に投げて受け直すとセンタリング。
このボールは合いませんが、谷澤が左サイドで粘ってボールを奪うと、ドリブルで仕掛けて相手をかわしシュートを放つもGK長谷川に弾き出されます。
このプレーで得た、右サイドからのCK。
中村が蹴ったボールを大岩がファーで足元で合わせて、ジェフが先制します。
徳島は事前の予想通り、セットプレーでの守備に大きな穴がありますね。
開始早々のFKでも大岩がほぼフリーで合わせることが出来ましたが、このシーンでも同じく大岩がフリーになっていました。
しかも、得点シーンではファーで足元で合わせられたということで、「大岩をフリーにしてしまった」というだけでなく「ファーで足元にボールが入る前に跳ね返せなかった」という問題が出てしまった。
中村のボールと大岩の冷静なシュートも良かったですが、さすがにゴール前で2つも大きなミスをしてしまえば得点も当然といった状況だと思います。
このシーンを見ると、どうも単純に高さだけの問題ではなさそうですね。
ジェフの先制ゴール以降は、徳島がボールを持つ時間も長くなっていきます。
18分にはエステバンから、ジェフMFラインの後ろを取った広瀬に縦パス。
そのままミドルシュートを放ちますが、これはゴール枠外。
やはり今季の徳島は、相手のバイタルエリアを狙ったパスワークも作ろうという意図を感じます。
しかし、素早く選手が動いてパスコースを作るような動きが見られないため、ジェフの選手たちに囲まれて潰されてしまう。
単純な運動量も足りていない印象でパスをつないでいても止まっている選手が多く、無理な縦パスからのミスも多い状況になっていたように思います。
また、守備においても一度ジェフに縦へボールを持ち込まれると、ずるずると下がってしまうところがあったように思います。
それに加えて、4-3-2-1で選手が中央寄りに守ることが多いこともあって、ジェフのSBやボランチが低い位置でフリーになりがちな状況でした。
かといって、後方をバランス良く固めるような守り方でもなかったため、そこから後手に回ることが多かったと思います。
守備でリズムを掴みきれないことも、徳島の悪い流れをより一層加速させていったように感じました。
しかし、ジェフもSBやボランチから、ビルドアップの形が作れない。
徳島の守備は遅れがちでしたし余裕がある状況だったと思うのですが、後方から有機的な攻撃は作れずにいました。
守備においては局面でしっかり戦えていたとは思いますが、両チームともに低調な展開だったと思います。
43分には、ジェフの攻撃。
右サイドで得たFK。
ファーに流れた井出の動きにエスティバンが遅れると、井出がヘディングで折り返しますが中であわず。
動きの少ない試合展開で、久々の目立ったプレーだったのではないかと思います。
■2点を取られ逆転負け
両チーム、メンバー交代はないまま後半へ。
48分には徳島の攻撃。
GK長谷川からのロングキックをFW長谷川悠が競り合ったところ、エステバンが拾ってミドルシュート。
54分、徳島の攻撃。
エステバンが左サイドを抜け出し、井出が後ろから倒したところからセットプレー。
中央で一度ジェフが跳ね返すもエステバンが拾い、右サイドに展開すると福元が素早くクロス。
パウリーニョが中央で触るも、あわやオウンゴールといったボールになります。
56分にも徳島の攻撃。
一度右サイドを攻めたところから、中央へ展開。
エステバンが長谷川への長いボールを蹴ると、その落としを濱田が受けて再び長谷川に。
長谷川が反転してシュートを放ちますが、GK岡本がキャッチします。
徳島は後半に入って、動きが良くなっていきました。
前半は無理に難しいボールを縦へ狙おうという意識が強すぎてボールをロストする展開が多かったですが、後半からはサイドへもボールを回せるようになっていった。
これによってボールに集中するジェフの守備陣がサイドに広がっていき、圧力が分散されていきました。
また、FW長谷川の高さを使うボールも増えて、シンプルな攻撃が増えていきました。
一方のジェフは、後半になってプレスが緩くなっていきました。
DFライン、MFラインが低くなりがちで、相手の中盤をフリーにさせてしまう時間が長くなってしまいます。
単純に運動量が落ちていたところもあったと思いますが、徳島の変化に対応できなかった部分も大きかったように思います。
特にエステバンをフリーにさせすぎていた点は、非常に気になるところでした。
64分には、足を痛めた井出に代えて田中を投入。
その直後、徳島は大崎に代えて津田を投入し、長谷川との2トップに。
エステバンと濱田のダブルボランチに、木村を左SHにした4-4-2になりました。
71分、ジェフは町田に代えてオナイウを投入。
町田は足が止まっていた印象もあるので、今回はスタミナ切れでの交代という意味合いも強かったのかもしれません。
何とか徳島の攻撃を凌いでいたジェフですが、74分ついに失点。
徳島のエステバンが絡んで中盤で奪ったところから、下がってきた長谷川に木村が縦パス。
キムを引き連れた長谷川がうまく反転して前を向くと、先ほど中盤でからんだエステバンが完全に裏を抜け出します。
エステバンのクロスを一度は跳ね返しますが、右サイドでボールを拾われ、廣瀬からのボールを受けた広瀬が鋭いセンタリング。
これを岡本が触りますが、ファーでフリーになった長谷川が拾って同点ゴールを決められてしまいます。
まず裏を取ったエステバンを、フリーにさせてしまったこと。
そして、右サイドのクロス出所に対応したのが、釣り出される形になった大岩だけだったこと。
最後に長谷川がフリーになっていったこと。
エステバンに完全に裏を取られたのも良くなかったですが、エステバンのクロスの質はそこまでではなかったですし、その後の守備バランスも大きな問題だったと思います。
80分、徳島は広瀬に代えて元ジェフのアレックスを投入。
その直後、ジェフの中村からのアーリークロスをオナイウがヘディングシュートもGK長谷川正面。
これがジェフにとって、久々のシュートということになりました。
反撃を狙いたいジェフでしたが86分。
エステバンが左サイドでボールを奪ったところから、ボランチ濱田に展開。
濱田は素早く裏を突いた津田へ、ロングボールを供給。
GK岡本が前に出てクリアしますが、長谷川にボールが渡ってしまい、津田につながれます。
そのまま津田はフリーでシュートを放ち2-1に。
岡本が濱田のパスに反応して前に出なければ裏を取られていた可能性がありますから、その判断は問題なかったと思います。
しかし、そこでのクリアミスが長谷川に渡ってしまったのが致命的でした。
岡本が前に出てクリアしたため、キムがカバーするためゴール方向に戻ったことによって、オフサイドラインがゴールマウス付近に。
そのため津田はフリーでボールを持つことができ、そのままシュートを打つことが出来ました。
また、このシーンでもボランチの濱田が、フリーでパスを出すことが出来ていた。
パウリーニョが大きく遅れて濱田に行こうとしていましたが、ジェフは2トップにして誰がボランチを見るのか曖昧な状況でした。
にもかかわらず、前への姿勢は強いため、DFラインは高くなっていた。
その裏を一本で狙われて、やられたことになります。
88分、ジェフは勇人に代えて森本を投入。
後半アディショナルタイムには、中村のクロスを攻撃参加していた大岩が合わせてシュートを狙いますが枠内には放てず。
そのまま1-2で敗戦となりました。
■攻守に課題の多い状況に
前半は両チームにとって、低調な試合でした。
その中でもジェフは、守備で何とか頑張れていたとも言えるでしょう。
しかし、相手もあるのがサッカー。
徳島が無理に縦パスを狙いすぎていたところに対して、ボールに集中して潰すジェフの守備との相性が良かったと言えるのではないでしょうか。
徳島の出来が悪すぎて、評価の難しい状況だったともいえると思います。
そして、後半は徳島がサイドへのボールも供給できるようになっていった。
早めに長谷川を使う、裏を抜ける津田を使う攻撃も増えていったことにより、ボールに集中しがちなジェフの守備が分散されていった。
それによって、ジェフの圧力が低下していったように思います。
特にエステバンや濱田といったボランチの選手をフリーにさせすぎたことが、大きな問題だったと思います。
関塚監督になってからゴール前を固める意識が強くなったため、低い位置の相手選手をフリーにしてしまうことが多い。
それでもボールの出し先を抑えられていればいいのかもしれませんが、実際にはバランスの良い守備ブロックも作れていないし、前に出ていった後のリスク管理にも問題がある。
結局、選手が動けて圧力で相手を潰せるか否かだけで、守備の強度が決まってしまうといった状況になっているように思います。
毎試合、90分間、強い圧力をかけ続けられればいいのでしょうが、長いシーズンをそれで戦い抜くのは至難の業と言えるのではないでしょうか。
その結果、ここ数試合ゴール前で凌げるかどうかといった展開が、続いてしまっているように思います。
そして、攻撃においても大きな問題があった。
ジェフは長い時間状態で続き、80分にオナイウのシュートが放たれるまで、総シュートが3本の状態が続きました。
スカパーの放送ではその直前にパウリーニョのミドルシュートを計測していましたが、大きく逸れたためシュート扱いにはならなかったと思われます。
シュート3本というと、試合開始直後の大岩のヘッド。
得点前の谷澤のドリブルシュート。
そして、先制点となった大岩のシュートで3本と言うことになりますので、実に6分から80分まで74分間シュートがなかったことになります。
守りのチームで1点を先制したから…と考えるにしても、あまりにもシュートの形までが作れなさ過ぎている。
それだけ守備に負担も増えるでしょうし、流れも悪くなってしまいます。
実際の試合を見ても、1点取ったから攻めなくていいという考えよりは、単純に攻撃の形を作れていないといった印象を受けました。
後半に入ってから相手の空きがちなサイドを縦に狙う、あるいはそこから裏を狙うといった動きも増えていったと思います。
それも工夫と言えなくもないかもしれませんが、実際には細かな攻撃を構築できないので、単純なサイド狙い、裏狙いになったのでは…と思わなくもありません。
試合展開を考えると、前半のうちに追加点を取れなかったことが大きかったようにも思います。
しかし、後半の守備バランスも大きな課題を感じましたし、攻守に課題の多い試合だったように感じました。
11戦勝ちなしの徳島相手でしたが、負けるべくして負けた試合だったと言えるのかもしれません。