若く勢いのある大分相手に浮上のきっかけを

 前節福岡戦で2-2の引き分けで終わったジェフは、これで5試合勝ち星なしとなってしまいました。
 ただ、この5試合も大敗といえる試合は少なかった印象があるので、チームとしてどこか吹っ切れきれないところもあるように思わなくもありません。
 前々節の札幌戦後のコメントを読んでも、意外なほど監督と選手が前向きで不思議な印象を受けました。


 ただ、ゴールデンウィーク連戦の頃に比べれば、確実に成績は落ちてきている。
 個人的にはあの頃からすでにハイプレスが効かなくなり、チームは下降気味な印象を受けていました。
 ハイプレスが効いていたから相手に長いボールを蹴らせて跳ね返し、攻撃でもハーフカウンターに移れていた。


 そのハイプレスにクロスからの展開をプラスする形で今季序盤は成績を伸ばしていたわけで、気温が上がるにつれてそのハイプレスが失われてチームの攻守の軸がなくなってしまった。
 その頃から夏場に向けてコンディションが苦しくなった時が心配だと言っていましたが、それが現実になってしまったということではないでしょうか。
 比較的単純な話ではないかと私は思います。


 現在のJ2の順位表を見ていくと、大宮が4連勝と勢いに乗っており、首位とジェフとの勝点差も10に広がってしまいました。
 自動昇格を考えれば2位との差が重要とはいえ、順位も6位にまで後退。
 じりじりと上と距離が離されつつある状況だと思います。



 ただ、今週末の大分戦は、相手が13試合勝ち星なしで現在は最下位。
 大分は田坂監督が解任され、前々節から柳田監督が指揮を執っています。
 翌戦対戦する徳島も、ここ10試合勝ち星なしで現在18位。
 続く岐阜も最近の4試合の成績が3敗1分で、現在20位となっています。


 ジェフからすれば、下位チームとの対戦が続くことになります。
 順位だけで相手を見るのは良くないでしょうが、3チームともここ数試合結果が出せておらず現在の調子が良くないと思われるところが重要ではないでしょうか。
 大分戦、徳島戦とアウェイゲームが続く難しさはあるものの、ジェフは大銀ドームとの相性もいい。
 ジェフとしては久々の勝利をものにするチャンスと言えるのかもしれませんし、この3試合で勝点を稼いで上位争いから後れを取らないことが求められます。



 大分は監督が変わってメンバーを入れ替え、積極的に若手を起用している印象です。
 守備では4-4-2でコンパクトに守り、DFラインを高く設定。
 MFラインとDFラインで連携して相手を囲っていくスタイルだと思います。
 前からのプレスも、頑張っている印象を受けました。


 攻撃では田坂監督時代のサイドで繋ぐ形も見せつつ、後方からの長いボールが増えた印象。
 ただし、単純に長いボールを蹴って空中戦で競り合うというよりは、相手DFラインの裏を狙ったロングボールを使おうという意図ではないかと思います。
 前線の選手の前への姿勢を活かそう、ということなのかもしれません。



 守備ではラインを高くコンパクトに。
 攻撃では相手の裏を狙って前線を走らせる…。
 攻守に若い選手を活かすように、スピードと運動量を活かしたアグレッシブなサッカーをやっていこうということなのかもしれません。


 ただ、現時点では荒削りなところも多い印象です。
 攻撃でのイージーなミスが多いだけでなくロングボールを蹴りすぎてリズムを悪くしたり、守備でも相手に仕掛けられるとマークに混乱が見られたり。
 それでもがむしゃらに戦うことで局面で頑張り、監督が代わってからここ2試合は2引き分け。
 前節は3位金沢を相手に、1-1で勝点1をものにしています。



 ジェフとしてはその勢いに負けずに、落ち着いたサッカーをしていきたいところではないでしょうか。
 前節の大分は51分に1点を奪って1-1にしてからは集中して守れていた印象がありましたし、相手が守り慣れてしまうような状況にはならないようにしたいところではないかと思います。
 現在のジェフの状況を考えれば、素早く攻めきるか上からガツンと叩いて、先に点を奪いたいところです。


 ジェフはチーム状況が下降気味なだけに、浮上のきっかけが欲しいところだと思います。
 そのためには勝つことももちろん重要ですが、その後に繋がるような試合内容が必要になってくるのではないでしょうか。


 昨年も関塚監督が就任して一時は良かったものの徐々に停滞していきましたが、東京V戦で幸野、町田、慶など運動量豊富な選手を起用して、彼らが走ることで全体をカバーする形が作れていった印象でした。
 東京V戦自体は0-0の引き分けではありましたが、浮上の兆しは見えた試合だったと私は感じました。
 そういったその後のチームの形が感じられる試合が、今のジェフには求められるのではないでしょうか。