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シンガポールの4-1-4-1にはまりスコアレスドロー

 16日W杯アジア予選が行われ、日本代表はホームでシンガポール相手に0-0の引き分けとなってしましました。
 相手GKの活躍、決定機を外したことなども話題になっていますが、そこまで確実なチャンスというのは多いわけではなかったと思います。
 もちろん決定力が高ければ…と思うシーンはありましたが、全体的に見ると攻撃に閉鎖感を感じ、課題の残る試合だったと言っていいのではないでしょうか。



 シンガポールは4-1-4-1で、対人守備でもしっかりと集中していた印象でした。
 1ボランチシステムだとボランチ脇が空くこともありますが、4-1-4が非常にコンパクトで日本のボランチには守備に行かない形をとってきました。
 ボランチには自由に持たせて、パスの出所ではなくパスの出る先を封じる守り方ということだと思います。


 DFラインも極端に下がらないことによって、MFラインとの距離感を狭くする。
 結局DFラインが下がってゴール前を守っても前が空いてはそこからやられてしまいますし、ラインの高さもできる限りもキープするというのがトレンドなのかもしれません。
 攻撃時に相手の間を取るパスワークというものが流行ってきたからこその、対抗策とも考えられるのではないでしょうか。



 シンガポールの守備は特に1ボランチのポジショニングが肝となっていた印象で、トップ下である香川をしっかりマークしつつ、DFラインとMFラインの間を消す仕事をこなしていました。
 ハリルホジッチ監督は就任してから縦パスをFWや2列目が下がって受けて、その瞬間に他の選手が飛び出すといった遅攻を狙ってきましたが、MFラインとDFラインをコンパクトにすることとこの1ボランチの働きによって、日本のFWと2列目の選手が下がって受けるスペースを見事に消していました。
 イラク戦でも書いた通り、今後問題となるのは速い攻撃よりも、守備が整った相手にこの攻撃が通用するかどうかではないかと話しましたが、これがいきなり封じられてしまったことになります。



 縦が封じられたのであれば、横に揺さぶってから縦へ…といった展開などが作れれば良かったと思うのですが、この試合ではほとんど有効なサイドチェンジが作れていなかったと思います。
 ハリルホジッチ監督の初戦となったチュニジア戦ではサイドチェンジに怒るしぐさを見せていたようですし、「遅攻でも縦へ速く攻めきる」といった姿勢を見せていたからこそ、強引な縦パスが目立ったようにも思います。
 シンガポール戦ではサイドチェンジも要求していたような話もありましたが、一度決めた方向性というのはなかなか変えきれないのでしょう。


 特にボランチは空いている状況だったからこそそこから相手を揺さぶれなかったのは残念で、遠藤不在の影響をまた感じることになってしまったように思います。
 柴崎に関しては、ハリルホジッチ監督の速い攻撃にはまりやすい選手であるということは、イラクでも十分見せてくれました。
 しかし、攻撃の変化、アクセントといった部分や緩急を作るという意味においては、やはり遠藤がいると大きいのだろうなぁと。
 遠藤のところでスピードが遅れるという可能性もあるのかもしれませんから、ハリルホジッチ監督の基本スタイルには合わないのでしょう。
 とはいえ、やはりアジアで勝っていくためには、速いだけではダメなのではないかといった印象を受けた試合でした。



 単純に日本の選手は、コンディションもあまりよくなかったように思います。
 直前に行われたイラク戦でベストメンバーを起用し、気持ちよく戦ってしまったこともあって、この試合では疲労が残っていたのではないでしょうか。
 ホームにもかかわらず、コンディションで相手に上回れたように感じたのは非常に残念ですね。
 それだけシンガポールが頑張っていたともいえるのでしょうが、それにしても強化試合より動けなかったというのは、言い訳にはしづらい面があると思います。


 また、先ほど話した通り香川は封じられていたので、大迫を投入し2トップにしたところまではわかるのですが、そこを活かせなかったこと。
 ベンチに速い選手ばかりがいて、豊田などパワープレー要員になれそうな候補が少なかったこと。
 そして、原口をボランチで起用してそこから前に出ていったことによって、結局また相手選手が多い1ボランチ付近に日本の選手が固まってしまったこと。
 これらからして、意外と采配面はあまり期待できない監督なのでしょうか。



 まだ監督が就任して4試合目ですから、これからのチームではあると思います。
 サイドチェンジの形などもこれから精度を上げていける可能性は、十分にあるのでしょう。
 とはいえ、大枠での方向性というか"哲学"は基本的に変えられないのではないかと思いますし、変えるとしても大きな工事になりかねない。
 そういった状況で、いかにアジア相手に勝っていけるかが、重要なのではないかと思います。


 個人的にはどうもハリルホジッチ監督に対して期待先行というか、まだ就任して間もないにもかかわらず随分と評価が高いので違和感を感じていたのですが、これでようやく冷静にチームを見ていく方向に進むのでしょうか。
 例え世界的に優秀な監督であっても、そのチームと環境にはまるかどうかは別問題ですし、今までのチームの良さや伝統というものも加味してチーム作りをしていかなければいけないと思います。
 この試合がまだアジア予選初戦でよかったと思いますし、これを機にさらなる成長を期待したいところです。