佐藤祥が11年以来のリーグ戦出場

 群馬戦の75分から、佐藤祥が今シーズン初出場を果たしました。
 田中に代わっての投入で、本職のボランチとしての出場でした。
 佐藤祥のリーグ戦での出場は、実に4年ぶり。
 2011年以来で、あの時はまだ2種登録。
 リーグも終盤で顔見せのような形で、あの年は2試合に出場していました。



 群馬戦での出場を思い返すと試合後のインタビューで、「佐藤祥の投入は前へボールを奪いに行く意図だったのか」と聞かれた関塚監督が「疲労度というか中盤をもう一度パワーアップするため」と答えています。
 単純にスタミナ的な問題が出ていて、フレッシュな佐藤祥を入れたかったということでしょうか。
 個人的には田代に代えて北爪を投入し、金井をボランチに起用したもののあまりうまくいかなかったために、金井を1列前に上げるために佐藤祥を起用したのかなといった印象を受けていました。
 様々な理由はあると思いますが、他にボランチはいない状況でしたしね。


 金井がボランチに入ったのも、関塚監督は「ゴール前でもう1枚競らせる選手を作りたかった」と答えていますし、ボランチの位置からゴール前に出ていってほしかったという意図があったのではないでしょうか。
 しかし、この試合は前半から押し込まれる時間が長く、ボランチの位置から金井が前に出ていけるような状況ではなかった。
 金井はボランチとしては無難にこなしていた印象もありますが、求められた仕事はそれだけではなかったのだと思います。



 そこで佐藤祥をボランチに入れて、金井、オナイウ、井出が3トップになる4-2-3のようなフォーメーションになっていったのではないかと思います。
 中盤やサイドが薄くなる不安もあるフォーメーションではありましたが、0-2で負けていた上に全体的に試合の流れが非常に悪い展開でしたから、博打を打つしかない状況だったのだと思います。
 ポジションは曖昧な状況だったと思いますが、金井は右ウイングの中央よりでプレーすることが多かったのではないでしょうか。
 右サイドが薄くなる不安のある布陣でしたが、上下に何本もアップダウンできる北爪がSBとSHをこなすような動きをすることで、このフォーメーションを成立させていたような印象でした。
 北爪の運動量とスピードはやはり目を見張るものがありますね。
 クロスをもう少し丁寧に上げられるといいのでしょうが…。


 それまでのジェフは、4-4-1で中盤以下が押し込まれる状態だったために1トップが孤立状態に。
 群馬としては低い位置から攻め上がるジェフの中盤から後方を見ればいいだけの状態となっており、守りやすい状況だったと思います。
 しかし、ジェフが4-2-3になって、3トップも見なければならなくなった。
 そこからジェフは、ようやく攻撃で前線も使えるようになっていったように思います。



 加えて、群馬としてはすでに2点リードで1人多い状況。
 しかも、この日は気温29度にも関わらず、13時キックオフという過酷な状態での試合でした。
 スタミナ的にも厳しく、無理をする試合展開でもなかったため、群馬は深く守る時間帯が長くなっていった印象です。
 佐藤祥はそういった状況で75分から出場したわけですから、比較的やりやすい状況ではあったと思います。
 特に3トップが前に構え群馬の最終ラインはそれに引っ張られる形で後方に下がっていたため、相手の中盤にスペースが出来がちな状況だったことが大きかったように思います。


 それを差し引いてもパスワークにもしっかりと顔を出していましたし、何よりも投入直後に相手のボールをカットして金井につないだ展開は良かったと思います。
 数多く見ているわけではないですが、佐藤祥の良さはそういった前への出足の良さなのではないかと思います。
 そのために、SBでの起用もされてきたのではないでしょうか。



 しかし、この試合での前への出足やパスワークへの絡み方などを見ると、やはり本来はSBよりもボランチの選手なのかなといった印象を受けます。
 それでも勇人や慶、健太郎などに比べると持ち味が弱く、結果的にSBに回される形になっていたのではないでしょうか。
 今季はボランチが手薄というチーム状況に加えて、パウリーニョの出場停止と勇人の怪我もあって、本職でのチャンスが巡ってきたということがいえるのでしょう。
 

 可能性は見せてくれたと思いますが、あのプレーがスタメン出場で同じことができたかと考えると、そう簡単ではなかったのかもしれません。
 確かに投入直後のボール奪取は素晴らしかったですが、欲を言えばそういった動きをもっと見せてほしかった。
 加えて佐藤祥も4年目ですから、いつまでも可能性というレベルで生き残れるわけではないでしょう。
 まずまずの動きは見せてくれたと思いますが、大きなアピールとまではいかなかったと思いますし、次のチャンスに向けてまたしっかりと準備をしていってほしいですね。