関塚監督「もう1点取れる力が必要だった」

「非常に残念な失点だったですけど、その失点の"1"を考えても、もう1点取れる力というものが我々には必要だったなと思っています」と関塚監督が話した千葉。(J SPORTS

 今週はお世話になりっぱなしなJ SPORTSJリーグブログ。
 上記は土屋ADのコラムの一文ですが、ジェフの公式サイトにはアップされていませんので、取り上げさせていただきました。


 先制点後、もう1点を取るべきだったのか。
 それとも、守りきれなかったと見るべきなのか。
 相手に攻め込まれている状況が続いたことを考えると、そこで守りきれなかったことが勝ちきれなかった原因と取れるかもしれませんが、メンバーを見ると4-1-4-1でインサイドに井出、右サイドにオナイウと攻撃的な選手を揃えていたことになりますし、そう考えると点を取りきれなかったことが課題だったともいえるでしょう。
 どちらにせよ、1点を取った後の戦い方が悪く、チームとしての意図も不明瞭だったように思います。



 土屋氏は1点を取った後にカウンターで攻撃を作れなかったことが、問題だったのではないかと分析しています。
 しかし、実際には試合を通じて、なかなか攻撃で良い形が作れなかった印象です。

立ち上がりの15分あまりを耐えられてしまった千葉。以降は相手のパスミスからはチャンスの芽が垣間見られましたが、能動的に崩す形はなかなか出て来ず。
(中略)
サイドの推進力を期待された谷澤とオナイウも後ろに引き込まれてしまい、カウンターの脅威を突き付けられなかったことが最後の失点の遠因だったかなと。無念さの残る勝ち点1の獲得となってしまいました。

 立ち上がりの15分と試合終了間際に失点してからの猛攻以外は、決定的なチャンスが作れない時間帯が続いていたように思います。


 得点シーンのカウンターが久々のチャンスで、それを井出が見事に形にしたといった展開だったといえるのではないでしょうか。

「陣形を整える前にやられたという形。僕たちの一番やられるポイント」(水永)でビハインドを負った金沢。

 これに関しては火曜日にもお話しましたが、やはり金沢はカウンター時の守備に大きな課題があるように思います。
 リトリート時には無理に飛び込まずバランスを考えながら追い込んでいく守備をするため、前に出ていかなければいけないカウンター時にも様子を伺ってしまう癖があるのでしょうか。
 あの時の井出への対応も甘すぎた印象がありますし、今後の金沢の修正ポイントの1つとなるのかもしれませんね。
 逆に井出としてはそこをしっかりと見逃さずに、思い切って仕掛けていけたことが大きかったですね。



 しかし、それ以外の時間帯は、あまり良い攻撃ができていなかったように思います。
 関塚監督は以前にも4-1-4-1にした理由として「両サイドの推進力」を上げており、インサイドハーフがサイドのサポートをする形を狙っているのかもしれませんが、その関係がうまく作れた展開というのは今までもなかったように思います。
 逆に守備においてはアンカー脇を埋めきれずスペースを作ってしまうところがありますし、どうしてもこれに近い形をやりたいというのであれば、攻撃狙いではなく試合を終わらせるためのトリプルボランチの方が良いのではないでしょうか。


 守備においては相手は2トップがいてSHがサイドから中に入ってくるから、アンカーにパウリーニョを固定したかったとのこと。
 相手が中央に人数が多い状況で、ボランチがサイドに引き出される場面があることを、警戒していたということでしょうか。
 しかし、結局のところダブルボランチでもどちらかが中盤の底に残っていることが多いですし、インサイドハーフが降りてくることも少ないため結果的にはあまり変わらない…むしろ常に1ボランチ気味になってバイタルエリアが薄くなることが多かった印象です。
 前からうまくプレスをはめていけるのであれば、中盤の高い位置に選手が増える4-1-4-1でも良さが出るかもしれませんが、ハイプレス状態時以外での前からの追い込みには課題もあるように思いますしね。



 話は戻って、1点取った後ももう1点狙いに行ったというのであれば、やはり失点後の金沢の冷静さが極めて重要な試合だったということが言えるのではないでしょうか。
 あの時間帯にも焦らず冷静にそれまでに近い戦い方を続けたことによって、ジェフに隙を見せなかった。
 逆にジェフの方が、その後に隙を見せてしまった展開ともいえるのかもしれません。


 これによって先制ゴールを上げたジェフを勢いづけず、むしろショートパスをつないでいくことで、ジェフを押し込んでいった印象です。
 あの金沢の安定した戦いぶりが、あの試合を引き分けに持ち込んだということになるのではないでしょうか。
 金沢からすればカウンターで失点はしたものの、決してそれまでの戦い方も悪くはなかったと思いますし、それまで通りの戦い方をすればいいということなだったかもしれません。



 逆にジェフからすれば勢いがある時間帯しか攻撃を作れないため、あそこで勢いを止められてしまったことでもう1点を奪いに行けなかった。
 爆破力はあるものの、勢いに乗れなければ安定した攻撃が作れない。
 そういった大きな課題が金沢と対戦したことによって、見えてきたような気がします。


 安定感の高さはもちろん、その要因とも思われるチームとしての完成度の高さを感じた金沢との試合。
 これほど完成度の高いチームと戦ったのは今季初だったのではないかと思いますし、だからこそ見えてきたものは多数あるのではないでしょうか。
 立ち上がりや失点後の猛攻には迫力がありますが、それ以外の戦い方には課題がある。
 これは近年のジェフによくみられる光景ですし、何とか強みを残しながらもそこから脱したいところではないでしょうか。