井出の温存とクローザー田代の喪失

 昨日のエントリーからの話の流れで。
 井出をベンチスタートとしたジェフですが、代わりに右サイドのコンビとなったのが金井と田代でした。
 金井はスタメンでSH起用となったのは今季初で、田代のスタメン出場も初めてということになりました。


 キックオフ直後こそ金井からのクロスと中村のクロスに金井が飛び込む形がありましたが、それ以降はSHとして目立った動きはなかった印象です。
 前への動き出しやクロス、ゴール前に飛び出す動きなどは優れている金井ですが、SHとしての細かな動きは決して得意なタイプとは言えないのかもしれません。
 また田代も今季初スタメンで本来とは違うポジションでの起用ということもあって、あまり良いプレーは見せられませんでしたね。
 総じて井出を温存できたという点以外では、あまり効果的な形は作れなかったように思います。



 田代は慣れないSBでのプレーということで、ボールを持っても戸惑うシーンが多かったように思います。
 SBでボランチ的な動きをしていた印象で、ボールを受けるポジションも中央寄りになってしまっていました。
 これに関してはSHとして起用された金井が外をアップダウンする仕事を任されていた分、田代が中央寄りにプレーしてボールを供給する役割だった可能性もあるかもしれません。


 けれども、実際には田代がボールを持っても反応する選手が少なく、ビルドアップの起点にはなりきれませんでした。
 それに加えて、金井が大外でポジション取りをすることが多かったため、オーバーラップコースが消されており攻撃参加もできなかった。
 その結果、田代は攻撃面でなかなか良い部分を見せられなかったのだと思います。
 SBが北爪ではなく田代だったのも、金井と北爪のコンビでは動きが被る可能性があったということでしょうか。



 それでも試合途中まではこのメンバーで耐えて、井出を途中投入して点を奪うというゲームプランだったと言うのであれば、井出を投入して得点を奪うまでは予定通りと言うことが言えるかもしれません。
 しかし、このゲームプランになったことで、今度は試合終盤に守備に問題ができてしまった印象です。

Q、68分ぐらいにパウリーニョ選手がアンカー気味になって
4-1-4-1みたいな形で佐藤選手が1列上がったと思いますが
あのあたりから自身のプレーに対してはどういう意識の変化がありましたか?
A、攻撃になった時には前へのサポートと
守備の時にはパウリーニョが1人になってしまって
両脇が空いてしまうので、なるべく絞りながら
そこから出て行くことを意識しました。
J SPORTS

 健太郎のコメントにもあるように、関塚監督は井出と健太郎のインサイドハーフによる4-1-4-1にしていきました。
 しかし、井出をインサイドハーフに起用してのこの形は、昨年からうまくいかなかいことの方が多い。



 ここ数試合、田代をクローザーとして起用して守りきる展開を見せてきたジェフですが、その場合は4-1-4-1というよりはトリプルボランチのようなフォーメーションとなる印象です。
 3人のボランチが中盤の低い位置に構えて、ともかくCB前を人数で固める守り方。
 しかし、1ボランチの場合はサイドにインサイドの1人が引き出され、アンカーもサイド寄りになって逆サイドのアンカー脇が空いてしまう…という問題が昨年から見られ、金沢戦でも全く同じ問題が出ていました。
 組織的にそこをアンカー脇を逆サイドのインサイドハーフが埋める、あるいは同サイドでサイドチェンジをさせないといった形が作れていないということになります。


 それによって特に秋葉が空いてしまい、何度もアンカー脇を取られていました。
 バイタルエリアが空くから、相手に押し込まれるし、攻撃にも転じられない…。
 そして、その秋葉のミドルシュートから実際に失点してしまった。



 4-1-4-1も機能していなかったし、井出のインサイドハーフとしては対人守備に課題があり、オナイウのサイドでの守備にも甘さが見られました。
 結局のところ田代をスタートで起用することで井出を温存する形は、結果的に守備のできる選手がベンチからいなくなることにつながり、試合終盤に苦しんでしまったと言えるのではないでしょうか。
 例えば勇人などが復帰している状況であればまだなんとかなったかもしれませんが、今季はボランチ候補が少ない状況で田代をあえてSBで起用するというのはリスクが大きすぎたのかもしれません。
 ジェフとしては、詰めの甘い試合だったといえるのではないでしょうか。
 金沢が冷静に試合を進めていた分、ますますそう感じる部分がありました。