健太郎「攻撃のバリエーションが少なかった」
マスコミには決定力不足という話も出ていますけど、磐田戦で決定的なチャンスがあったのは3回程度だったのではないでしょうか。
前半、CKからの攻撃でカミンスキーが中途半端に飛び出し、パウリーニョがその裏でシュートを放てたシーン。
68分に谷澤が前でタメて中村がサイドで受け、クロスを上げて井出が繋いでペチュニクがシュートを放たシーン。
72分に後方からのロングボールをオナイウが胸トラップで落として、ペチュニクが広いシュートまで持ち込んだシーン。
後半はカミンスキーがセーブするシーンが目立ちはしましたが、68分のペチュニクのシュートは完全にGKの正面で相手のビックセーブというものではなく、ペチュニク側の問題だと思います。
関塚監督が得点できなかったことに関して「GKが最も手を出しやすい高さを外す」と試合後に指摘したのは、このシーンのことではないでしょうか。
72分のペチュニクのシュートの方が対応が難しそうには見えましたが、カミンスキーが若干前に出すぎていた印象もあって、難しい態勢になったようにも思わなくもありません。
シュートを16本も放ち押し込む時間が長かった割にはチャンスが少なかった印象がありますし、結果的に決定的なチャンスの数ではそこまで磐田と大差がなかったようにも思わなくもありません。
逆に磐田の2ゴール目などは明らかにジェフの選手たちの戻りが遅くれた裏を突いたことになり、その分非常に確率の高いチャンスということになりました。
ですから、金井が「ワンチャンスを決めてきた」と話し、佐藤健太郎も「崩されたシーンが少なかった」と言ってはいますが、特に2点目はその崩され方が非常に悪く、ゴールを決めた松井としては余裕をもって確実にシュートを打つことができたはずです。
今季のジェフは前半から飛ばすスタイルで、試合終盤にスタミナが切れてしまったこと。
前半飛ばした状況で相手にリードを許してしまい、選手たちに焦りが出始めたこと。
そして、押し込んでも得点が奪えない状況が長く続いたことによって、気持ちが折れてしまったことなどが、試合終盤の失速原因として考えられるのではないでしょうか。
ジェフは今季守備を軸として戦ってきたわけで、その分粘り強く丁寧に戦っていかなければいけないように感じるわけですが、一方で前半からハイプレスで戦うために後半から失速してしまう試合が少なくありません。
夏場になればもっとそれが顕著に出てくるかもしれないわけで、これが1つのジレンマとなっていく可能性もあるかもしれません。
決定的なチャンスがなかなか作れない点に関しては、前節の試合後に関塚監督が話しており今回も佐藤健太郎がコメントしているように、「攻撃のバリエーションが少ない」という問題が大きいのではないでしょうか。
基本的に左サイド大外からのクロスとセットプレーが主体の攻撃。
この試合ではクロスを上げられずに中央に繋いでミドルシュートという展開も多く、その分「攻めている」感覚は強まっていった部分があったようにも思います。
しかし、相手ボランチなどの前から離れた距離でのミドルシュートを放っても確率は低いし、相手としてもそこまで怖くないでしょう。
確かにミドルシュートを積極的に打っていくことも重要な状況はあるとは思いますが、サイドから上げられず中も崩せず仕方なくミドルシュートを打つという展開が多かったようにも思います。
「ミドルシュートを打つことで相手を引き出す」、「攻撃のリズムを作る」というような話もありますが、その分確実なチャンスからは遠のいてしまうことも多い。
そして、「ミドルシュートもパスもある」というような状況を作れれば相手も怖く感じることがあるでしょうが、ジェフは中央から縦パスへのパスからの展開が作れていない。
そのため、ミドルシュートも相手に読まれていた印象もありました。
試合終盤の谷澤のシュートも、ミドルシュートでしたね。
一方で磐田の一点目を思い返すと、まず井出の裏を取った松浦がカットインしてバイタルエリアで斜め前を向いてドリブルを開始した。
そして、中央の深い位置で構えていたジェイにパスを出し、ジェイはゴール前で大岩と一対一になった。
バイタルエリアと、ゴール前と2度も危険なエリアで仕掛けられたことになるわけですから、そこからゴールを決められても驚きはないように思います。
一方でジェフの攻撃はサイドの大外にしろミドルエリアにしろ、そこからゴールには距離があってゴール前までには相手DFが2人、3人といるわけですから、どうしても確率は下がってしまうことになると思います。
関塚監督は去年から中距離のラストパスが多かったですし、こういった展開は予想できたところがあると思います。
だからこそ、ゴールから多少離れた状況でも2人、3人と相手をドリブルで抜ききって、ゴールまで持ち込める選手が必要だと思っていたわけですが、そういった選手の補強はなかった。
ペチュニクも決して悪い選手ではないのでしょうが、本来は東欧の選手らしく組織的に戦うチームで生きるタイプなのではないでしょうか。
しかし、ペチュニクを使っての組織的な崩しというのはまだ作れておらず、むしろペチュニクがうまく相手の背後を取るというような個人技で変化をつけているような印象もあります。
打開力のあるドリブラーなどは補強しなかった一方で、ガツガツと戦えるフィジカルの強い選手は増えた印象ですが、それでどれだけゴリ押し出来るかどうかということになっていくのでしょうか。
その中心人物であるパウリーニョがちょっと疲れ始めてきたのかな?と思うところも、ちょっと気になるところですね。
試合終盤、磐田にチャンスを作られてしまったのも、いつもなら広範囲をカバーし潰してくれるパウリーニョが動けなくなっていたというところが大きかったようにも思います。
それだけパウリーニョに守備を頼ってしまっているともいえるのかもしれませんし、攻撃だけでなく守備面に関してももう一度気合を入れ直さないといけないかもしれませんね。