水野を投入し攻め込むも無得点

 愛媛戦、相手に先制ゴールを奪われた直後の69分に、井出に代えて水野を投入。
 そこからは1点をリードした相手がより後方に引いて守ったこともあって、ジェフが攻め込む回数が増えていきます。
 しかし、水野からのアーリークロスばかりの展開になってしまい、得点を奪い返せずに終わってしまいました。


 水野は確かに積極的に攻め込む、どんどんクロスを上げる姿勢がウリな選手と言えるでしょう。
 そういった前への姿勢が、周りの選手にも勢いを与え、良い流れに進む可能性もある。
 また、自分のクロスに自信を持っているところがある。
 これもプロの選手としては、非常に重要な分部だと思います。



 ただ、実際の水野はピンポイントのクロッサーというよりも、エリアにスピードあるボールを蹴って誰かが触ればチャンスになるといったタイプのクロッサーではないかと思います。
 単純なクロスの精度という意味では当時のジェフの中でも、現在においても水野より上と言える選手は何人かいると思います。
 そのため、相手が対応しにくい姿勢となるセンタリングのボールやサイドをえぐってからのマイナスのクロスが有効だと思うわけですが、この日の水野は工夫のないアーリークロスが多い展開となってしまいました。


 また、水野のクロスは曲げて落とすというような弾道ではなく、どちらかと言えばストレート系でスピードのあるタイプのボールを蹴る選手だと思います。
 愛媛戦でも相手DFの山を越えられずに、ニアで跳ね返されてしまうことが多かった印象です(このあたりは中の動きの工夫にも、課題が感じられましたが)。
 特にアーリークロスでは相手のDFを一山越えて落ちるボールが有効と言えるでしょうが、水野はそういったタイプのクロッサーではないといえるのではないでしょうか。
 どちらかといえば中村の方がアーリークロス向きの選手と、言えるのではないかと思います。
 実際中村はアーリークロスからでも、チャンスを作るシーンが多いですしね。



 では、水野の何が優れているのかと言うと、クロスだけでなくドリブルなどでの鋭い仕掛けも持ったアタッカーだということではないでしょうか。
 クロスだけでなく、縦へのドリブルもあるから相手チームもプレーの予測がしにくい。
 また仕掛けからクロスまで、素早く持ち込める俊敏性がある。
 そのため仕掛けた直後の相手の準備が整っていない状況でクロスを上げられることが出来る選手だと思うのですが、この日の水野は高い位置での仕掛けというのはほとんどなく、相手守備陣にとって予測しやすいプレーが多かったのではないかと思います。


 1点を取りたい状況で、水野がどんどんアーリークロスを蹴ってしまい、単調な攻撃になって苦しんでしまう…。
 こういった展開は、以前水野がジェフに在籍していた頃にも見られた光景でした。
 水野は良い意味では動きのキレが変わっていないなかったわけですが、悪い意味でも工夫が足りないという点で変わっていなかったということが言えるのかもしれません。


 なまじ中盤でも相手をいなせてしまうからそこから簡単に蹴ってしまうところがあるのかもしれません。
 しかし、相手選手としても水野のクロスを簡単に跳ね返せる状況が続けば、無理に水野にはついていかず蹴らせた方がいいと判断するかもしれませんしね…。
 水野もベテランの域に差し掛かっているわけで、もう少し賢く工夫あるプレーを増やせるようになってほしいところですね。



 また、そうった状況において、周り選手も水野にボールを集めすぎていたところがあったように思います。
 FWを3枚に増やした状況などからして監督の指示などもあったのかもしれませんが、水野のところを警戒させつつ他の選手を使うような動きはほとんど見られなかったのではないでしょうか。
 確かに他のチャンスメーカーを考えると谷澤は途中から消えていましたし、中村なども疲れが見えていたところはあったと思います。


 とはいえ、攻撃を水野に頼りすぎていた印象が強かったですし、選手個々の工夫だけでなくチームとしての工夫も足りなかったですね。
 パウリーニョすらも水野にボールを回してしまったシーンなどがあり、非常に残念な印象を受けました。
 そこはやはり真面目な選手ということで、相手の裏を突くようなパサータイプではないということなのでしょうか。


 また、右SBの金井と水野との連携も、もう1つだった印象です。
 手探りでやっているような印象を受け、2人で攻撃を作るようなシーンはほとんどなかったように思います。
 このあたりは、選手を固定してきたことによる問題もあったということなのでしょうか。



 昨日も話したように「ビハインドで攻め込む」という展開がこれまでなかったことによる、焦りや細かな連携不足を感じた時間帯だったように思います。
 今後も試合をリードし続けるというのは簡単ではないでしょうし、1点を取りたい状況での攻撃パターンの構築というのも今後は重要になってくるのかもしれませんね。