ムルジャ対ペチュニク 元レッドスター選手の対決

 今週末は土曜日の開催となるJ2。
 ジェフは大宮とホーム・フクアリで対戦です。
 土曜はまた雨の予報となっていますね。
 何とか天気に持ってほしいところですが…。 



 大宮はここまで3勝1敗2分の成績。
 昇格候補の1チームとしては、決して芳しいとは言えないスタートとなっているのではないでしょうか。
 先週の3連戦も、1勝2分となっています。


 前節熊本戦も2-0で勝ちはしましたが、苦労した上での勝利となった印象です。
 前半は熊本の方が決定的なチャンスを作っていて、熊本の決定力不足が目立った試合展開でした。
 後半に入ってから熊本に疲れが見えて、大宮が2得点を奪っての勝利。
 そのゴールも1点はムルジャが1人で粘ってゴールまで持ち込んだもので、もう1点はセットプレーによるものでした。



 大宮は4×4のブロックで守ろうという守備戦術なのだと思うのですが、熊本戦の前半は中盤にスペースが空きがちでした。
 ボールの奪いどころがはっきりとせず、対面の選手がボールを奪いに行っても、他の選手が連動してこない印象で。
 4×4だと選手のポジションバランスが極めて重要だと思うのですが、そこが曖昧でボックス全体がずるずると下がってしまうところもあったように思います。


 後半からは運動量で相手を勝り、前でボールを奪えるようになって状況が好転していった印象です。
 しかし、90分間相手を運動量で上回るのは難しいと思いますし、前から奪いに行けない状況での守備の在り方が現在の課題なのかもしれません。
 中盤の球際の強さにおいても、もう1つといったところがあるのではないでしょうか。
 このあたりが、ここまで苦しんでいる原因なのかなといった印象を受けました。



 攻撃においてはムルジャポストプレーを活かして、トップ下の選手を飛び出させる展開。
 あるいはサイドの深い位置を縦に仕掛けてクロスを上げ、ムルジャを狙うワイドな展開が狙いなのかなと思います。
 基本的にはボックスで守ってムルジャをターゲットとして2列目を走らせる、あるいはSBが攻撃参加をするカウンターサッカーを作りたいといったところなのかもしれませんね。
 

 やはり注目はムルジャということになるのではないでしょうか。
 体幹が強くてテクニックも正確で、ボールをキープすることができ、決定力も高い。
 身長もあってヘディングでの強さもあり、総合的に前線でターゲットになれるFWだと思います。
 チームの主軸候補である家長が負傷のため離脱中ということもあって、ますますチーム内でのムルジャの存在は大きくなっているのかもしれません。



 ペチュニクとはレッドスターでチームメイトだったことになりますが、体格もプレースタイルも似通った部分を感じるところがありますね。
 ムルジャの方がよりどっしりと最前線中央で構える選手で、ペチュニクの方が中盤の仕事もこなせる選手と言えるのかもしれません。
 しかし、13-14シーズンにレッドスターで戦っていた2選手が、J2で戦っているというのは改めてすごいことですね。


 以前にも紹介しましたが、長束恭行さんによると、財政難のレッドスターからムルジャ獲得の流れが成功したため、日本側がペチュニク獲得に動いたのではないかという見方もあるようです。
 ペチュニクも今のところ真面目で判断力が高く、技術や強さもある優秀な選手といった印象を受けますし、このままコンスタントに得点を積み重ねていければこの補強は大成功と言えるのではないでしょうか。
 結果的にレッドスターからムルジャを獲得しその流れの成功例を作った大宮には、感謝しなければいけないところもあるように思わなくもありません。



 ジェフは開幕からここまで順調に来ていますが、ここ2試合はFWでペチュニクを起用していることによって、相手ボランチが空く課題が見受けられます。
 考えてみればロンドン五輪では、永井が前線で走り回って相手2人をマークするような状態で戦い、しかも得点も奪えるような選手だったため1トップが成立し、トップ下に東を置くことで相手ボランチを封じることができていた面があったのではないでしょうか。
 しかし、現在の森本は守備面では頑張っているものの得点力には課題が出ているため、得点能力の高いペチュニクと前線で並べて2トップに"しなければならない"状況になっている印象です。


 その結果、相手ボランチが空く問題が出てしまっている。
 その守備面を2トップのまま改善できるかどうか。
 あるいは、ペチュニクの1トップなど形を変える方向に行くのか。
 または、そこをごまかしながらやっていけるのかどうかが、今後の1つ注目ではないかと思います。



 お互いに西欧代表レベルの非常に興味深い選手が、前線に構えていることになります。
 しかし、一方でその後ろの中盤の守備においては、両チームとも課題もあるといえるのかもしれません。
 大宮は戦力を考えれば今後成績を伸ばしてくる可能性も十分にあるチームですし、ここまで好調のジェフとしては今のうちにしっかりと大宮を叩いて、シーズン中盤から後半を楽に進められるようにしていきたいところですね。