雨の中でフィジカルを駆使しての勝利
大雨の中行われた京都対ジェフ戦。
ジェフは今シーズン、雨の中での試合が多いですね。
その分気温は下がることが多いので、連戦の中でのコンディション問題や、プレスで消耗するスタミナの問題においてはメリットもあるのかなとも思いますが。
ただ、この日の試合は今まで以上に降雨量が多かったのか、ピッチに水たまりも多くボールが止まるほどの状況でした。
それが試合内容にも、大きく影響を与えた試合だったと思います。
■先に京都がチャンスを作るもジェフが先制
前節C大阪戦の試合途中に金井が負傷交代となったジェフは、右SBで北爪をスタメン起用。
北爪にとってはプロ入り後、公式戦初出場ということになります。
やはり本来前目の選手である田中では、守備面などに無理があったということなのではないでしょうか。
またベンチには岡本、水野が復帰しています。
京都は前節札幌戦から新加入の菅沼がCBに入り、バヤリッツァをボランチで起用。
また前節今季初スタメンとなった山瀬もスタメンに残り、宮吉がスタメンに復帰となりました。
連戦ということもあって、メンバーを入れ替えているのでしょうか。
3分には京都が右サイドからのFK。
石櫃の中央のロビーニョがニアで競ってヘディングシュートもGK高木がセーブ。
5分にはキム・ナミルからの縦パスをロビーニョがワンタッチで落ちして、宮吉が前を向いてドリブルで持ち込みシュート。
前節でも気になりましたが、この場面でも相手ボランチが空いてましたね。
立ち上がりは、京都がペースをつかんでいたと思います。
雨で水のたまったピッチ状況で、パスを回してもボールが止まる展開に。
それに対して京都は積極的に長いボールを蹴って、ジェフのDFラインを押し込んでいき、リズムを作っていった印象です。
特にサイドの裏を狙っていた印象もありました。
しかし、10分に京都GK杉本がキャッチングながら滑って、ペナルティエリア外に出てしまいます。
これでジェフがFKを得て、ペチュニクがシュートを放つも壁にあたります。
このプレーから、ジェフが落ち着いていったように思います。
すると、15分に試合が動きます。
ジェフが右サイドで得た長めのFK。
中村がGKに向かうボールをけると、GK杉本の手前前でバウンドしたボールを杉本がはじいてファーのキムに通る形に。
フリーのキムがしっかりと合わせて先制ゴール。
ジェフとしては、特別に何かをしたわけではなかったように思います。
GKの手前でバウンドさせてしまったこと。
GK杉本がボールをはじいてしまったこと、はじいた方向が悪かったこと。
そして、キムに京都の選手が誰も反応していなかったこと。
京都はここまで2勝2敗1分と成績が伸びておらず毎試合失点をしていますが、このシーンでも守備の集中力に課題を感じました。
キムだけでなく前の谷澤も、完全にフリーでしたね。
その後も雨の影響は続き、ボールの止まるピッチ状況に。
ボールを前に蹴る。
しかし、ボールが止まる。
止まったところで相手がボールを奪う。
そして、また前に蹴る…という展開が両者に続く流れで、試合にならない展開になっていきます。
雨の影響で選手が止まりきれない、ボールがいつも以上に止まることによる影響もあって、ファールも増えてしまいました。
しかし、そこはなるべく賢くやらなければいけなかったと思います。
また、細かなパスワークやドリブルなどが通用しない分、両チームともにセットプレーでチャンスを作るしかない状況に。
22分には京都が右サイドからのFK。
ゴール前でバヤリッツァが高さを見せて大岩に競り勝つも、シュートはゴール右隅をそれます。
44分には京都、左サイドからのFK
最後は石櫃がミドルシュートを放ちますが枠外に終わります。
■後半はしっかり跳ね返して2-0で勝利
前半、得点直後は京都の方がチャンスを作っていたと思います。
前半のシュート本数も京都が8本でジェフが4本。
やや京都優勢と言えたのかもしれません。
しかし、雨は降り続き、後半からますますボールが止まっていった印象を受けます。
ボールが止まることを嫌って、両チームともに前半以上にボールを蹴るプレーが増えていったように思います。
51分には、井出に代わって田中を投入。
雨の影響で、馬力が必要になる展開だったこと。
縦に長いボールを蹴ることが増えるため、前後にアップダウン出来てボールを追える選手が必要だったということではないでしょうか。
そして、田中投入直後の54分。
パウリーニョからのサイドチェンジを受けた、左サイドの田中が左足でクロス。
ペチュニクが中央で合わせてゴール。
これで2-0になります。
このシーンでは対面の宮吉の戻りが遅く、ほぼフリーで田中がクロスを上げることができました。
京都の守備はセット時以外でも不安定な印象でしたね。
またゴール前では山口智がペチュニクに対応したのですが、完全にペチュニクに遅れていました。
智らしく相手との間合いを取って対応しようとしていましたが、その分競り合いに遅れてペチュニクがフリーでヘディングを合わせることができていました。
フリーだったとはいえ、田中は素晴らしいボールを上げましたね。
それ以降も懸命に走って、ボールを自分のものにしていました。
この日は左SHでしたが、やはり田中はSBではなくSHの選手だなといった印象を受けました。
ペチュニクもマークが甘い中で、確実にヘディングで合わせてくれました。
その後もボールが大きく行きかうことの多い展開ではありましたが、若干ジェフが押し気味でチャンスを作ります。
ジェフは森本、ペチュニクの2トップでフィジカル面が強く、ロングボールに対して粘ることができる。
一方の京都は相手との駆け引きで裏を取る大黒と、ドリブラーのロビーニョのコンビ。
裏を取るためのパスワークも作れるようなピッチ状況ではなく、ドリブルすらも止まってしまう展開。
フィジカルが重要になる展開で、ジェフの方が戦いやすい環境になっていたのではないかと思います。
加えて守備陣もジェフのキム、大岩、パウリーニョはロングボールに強い。
一方、京都の智は昨年までのジェフでのプレーを思い返しても、決してロングボールには強い選手ではない。
裏を狙ったボールに対する対応も課題があり、後半から攻められるとずるずると下がってしまう問題も見受けられました。
ただ、75分あたりからは、ジェフの攻撃も落ち着いていった印象です。
相手が2点ビハインドで、前に攻め込んできたこと。
京都の守備への戻りの意識の薄さが目立っていたこともあって、ロングボールを蹴ればチャンスを作れるような状況ではありましたが、基本的にはかなり守備意識の強い時間帯になっていったと思います。
しかし、京都の攻撃も雨による影響に苦しんで、チャンスを作れない状況でした。
京都は57分に宮吉に代わって有田。
76分には山瀬に代わって佐々木と前目の選手を変えていきます。
テクニカルな選手よりも前に強い選手を使っていこうという意図だったのかもしれません。
ジェフは88分には谷澤に代わってオナイウ。
後半アディショナルタイムには、森本に代わって田代を投入。
最後は守備固めをして試合終了となりました。
■雨で際立ったフィジカルの強さ
雨の影響で非常にボールが止まることの多い試合展開となってしまい、まるでサッカーではない別のスポーツを見ていたような印象すら受けました。
ロングボールも増えて、よく比喩として使われる「ラグビーのような試合展開」だったようにも思います。
降雨量がかなり多かったのかもしれませんが、西京極はあまり水はけが良くないんでしょうか。
久々にあそこまで酷い状況での試合を、見たような気もします。
そういった状況で、改めて鮮明になったのは今年のジェフはフィジカル面で強さを発揮するチームだということ。
今までのジェフとは、異なるチームになったのだなぁと再確認した試合でした。
相手守備陣との兼ね合いもあるでしょうが、森本、ペチュニクは普段以上にフィジカルを駆使してボールをキープできていました。
雨で濡れたピッチ状況でも、簡単には滑らず、踏ん張ることができる。
あるいは裏へ蹴りこんで止まったボールに対して、体を使ってぶつかっていき、自分のボールにすることができる。
そういった形で、前で時間を作ることができていました。
また、中盤でもパウリーニョを中心に、球際で競り勝つことができる。
途中交代で起用された田中もよく走っていたし、終盤まで足を止めずに戦えていました。
一方の京都はベテランも多く、フィジカルコンタクトやスタミナの面でも厳しそうでしたね。
その点においては、去年までのジェフを思い起こす部分もありました。
そして、最終ラインも今季のジェフは、フィジカル面で強さを発揮することができる。
ロングボールを蹴りこまれても、パウリーニョを含めた中央の3人は簡単にはやられない。
そこを信頼することができるので試合終盤は全体のラインも若干下がりがちな印象もありましたが、怖がらずに後方を固めて跳ね返すことに専念できるところがあるように思います。
やはりこの3人の貢献は、今季これまでのジェフにおいて非常に大きい部分があるように思います。
雨によるピッチ状況の問題が大きすぎて、サッカーとしては何とも言いづらい試合だったように思います。
チーム、選手としては仕方のない状況だったと思うのですが、もう少しサッカーらしい試合が見たかったというのが、正直な感想です。
とはいえ、しっかりとその試合をモノにできたことは、ジェフとしてよかったですね。
前節C大阪戦で4-4と荒れた試合をした後だっただけに、内容はどうあれここでしっかりと勝てたことは今後において重要なことだと思います。