岡山を押し切って堅実な勝利

 ここまで2勝1分けと好調な、ジェフ対岡山との対戦。
 ジェフはホームで岡山を迎えての試合となりました。
 前半までは均衡状態でともに持ち味を出していた試合だったと思うのですが、後半からは大きく岡山が失速した印象でした。
 ジェフはそこで相手を押し切り、1-0で勝利となりました。
■均衡した試合は0-0で折り返し
 両チームともに結果が出ているということで、スタメンは前節と同じ11人。
 ジェフはベンチから岡本、水野、鈴木隆行が外れ、新加入の岡、リハビリ明けの町田、そして開幕直線に入団の決まった伊藤槙人が入りしました。
 北爪なども含めて、何人か怪我人が出ているのでしょうか。
 昨シーズン終盤もレギュラー組は元気でしたが、控えメンバーに負傷者が多く出ていましたし、ちょっと心配ですね。


 岡山も前線の選手に負傷者が多いそうで、ここ数試合はDF植田が途中交代からFWで起用されている状況です。
 元ジェフの久保裕一は開幕からベンチ入りできていないのですが、久保も怪我ということでしょうか。
 公式の情報やニュースなどでは出ていないようなので、詳しいところはわかりませんが。



 前半4分、ジェフが先にチャンスを作ります。
 右サイドからのCKを一度は跳ね返されるも中村が拾い直しクロスを上げて、ファーサイドのキムへ。
 キムが足元で合わせますが、ポストに当たりゴールならず。


 前半9分にはジェフがスローインからボールをつなごうとしていたところ、岡山の渡邊がパウリーニョからボールを奪取。
 ボールを受けた片山が前へボールをつなぎ、押谷がミドルシュートを放ちますがGK高木の正面。
 岡山のプレスはボールが入った瞬間を狙う意識が強く、それが形となったシーンでした。


 前半11分には、岡山が右サイドでトライアングルを作ってパスをつなぎます。
 そこから前へボールを出し、片山が粘って中央でフリーになった千明へ。
 押谷をめがけた千明のスルーパスは通らなかったものの、サイドで相手をひきつけ中央や前を使う岡山の狙いが見えたシーンでした。
 前半19分には岡山DFラインからのロングボールに対して、片山が飛出しヘディングシュートを放つも高木がキャッチ。



 岡山はスピードのある押谷や片山が裏を狙いつつも、中盤ではボールサイドに選手が寄っていって、テンポよくショートパスをつないでいくスタイル。
 ジェフは前節の反省を生かしてか、井出やペチュニクがゴール前に出ていく動きが増えていたように思います。
 岡山の守備は両ウイングバックが開いて5バック気味に守ることが多く、中央に絞る意識は薄い傾向にあります。
 2シャドーも戻ることは少なく中央から縦へのパスコースが空きがちだったため、ジェフは前節よりも高い位置でボールを持てていたと思います。


 しかし、そこからチャンスが作れない状況に。
 DFラインの前まではボールを持ちこめても、5人並んだ最終ラインを崩せない展開が続きました。
 一方で守備においては、気温が低かったことやホームゲームだったこともあってか、前線からのプレスが復活していた印象。


 岡山もタイミングを見計らってのパスカットは効果的で、ワンタッチを多用したパスワークも見せてはいましたが、ゴール前での技術や粘りがもう1つ足らない印象で。
 プレスに関しても、C大阪戦ほど激しいものはできていなかったように思います。
 試合序盤は何度かチャンスがあったもの、そこから動きが少なくなり、均衡状態になっていきました。



 両チーム通じて、久々のチャンスになったのは前半27分。
 ジェフが得た右サイドからのCK。
 中村が蹴ったボールに森本が頭で飛び込みますが、枠には通らず。
 
 
 前半45分には、岡山の攻撃。
 中盤中央からダイレクトパスを3本つないで、最後は伊藤が受けてミドルシュート
 決まりはしなかったものの、流れるような展開でした。
■金井が飛び出してゴール
 後半から両チームの動きが重くなっていき、スペースが増えていきました。
 後半開始直後。
 井出が左サイドタッチライン際を持ち込んで、中央にへクロス。
 中盤から飛び込んできた勇人が受けてシュートを放ちますが、枠には行かず。
 サイドでスピードを使っていこうという狙いか、井出が左サイドに回って谷澤がトップ下に移っていました。
 その直後には左サイドで中村がボールを持ち上がり、切り替えして右足でシュートを放つもGKがセーブ。


 51分には岡山の攻撃。
 千明からロングキックのこぼれ球を、伊藤が拾ってミドルシュート
 しかし、シュートは枠外となります。



 55分には、早くもジェフが動きます。
 井出に代えて田中を投入、右から田中、ペチュニク、谷澤という2列目の組み合わせになりました。
 井出と谷澤のポジションチェンジも含めて、2列目に不満があったということではないでしょうか。


 60分あたりから岡山の足が止まっていき、ジェフが押し込む時間帯が増えていきました。
 岡山はDFラインも上げられず、中盤も運動量が落ちて、プレスにも行けない状況に。
 攻撃でも選手の距離感も離れて、前半のようなトライアングルが作れなくなっていきました。


 ジェフはパウリーニョペチュニクを中心としたスタミナや中盤での強さによって相手を押し込み、試合をリードしていきます。
 岡山は押谷を狙った長いボールを積極的に使ってはいきましたが、そこにはキムが立ちふさがります。
 押谷はスピードもあってボールを受ける動きもうまい選手だと思うのですが、キムは非常に落ち着いて対応していました。



 61分には長い距離のFK。
 パウリーニョが蹴り、跳ね返されたところを金井が拾ってシュート。
 惜しくもゴール右脇をそれます。


 64分には岡山が右サイドからのクロスをあげ、高木がファンブル
 これを岡山の田所が拾ってクロスを上げて、押谷が合わせますがゴールならず。
 66分にはジェフ右サイド深い位置からのFK。
 ゾーンで守る岡山に対して、ニアで金井が合わせますが、中央には合わず。



 ジェフが相手を押し込み、セットプレーからチャンスを作っていく展開に。
 しかし、なかなか得点が決まらなかったため嫌な流れかとも感じたのですが、岡山の運動量は戻らないどころかさらに苦しい状況になっていった印象です。
 守備に戻ってもただ立っているだけで、足が動かせていない状態となっていました。


 すると、得点が動いたのは80分。
 左サイドで谷澤が切り替えし、右足で放ったクロスに反応したのは大外の金井。
 フリーになった金井がヘディングで合わせて、先制ゴールを上げます。
 前半はほとんど攻撃参加できていなかった金井でしたが、相手の動きが落ちたこともあって、あの位置にいることが出来たのでしょう。
 しかし、よく飛び出してゴールを決めてくれました。



 失点した岡山は3分後に千明に代えて染矢、片山に代えて植田を投入。
 岡山は怪我人もあってベンチ入りメンバーが厳しく、動きにくかったというのもあったのかもしれません。
 しかし、選手の動きは非常に重かったですし、さすがに動きが遅すぎた印象があります。
 この交代もあって、岡山がようやく息を吹き返します。


 86分、中盤で岡山がボールを奪い、押谷が粘ってミドルシュート
 89分には岡山が左サイドで細かくパスをつないで、最後は途中投入の関戸がシュートを放ちますがGK正面。
 ジェフの方もカウンターでチャンスをうかがいますが、得点は決まらず。
 そのまま1-0で試合終了となりました。
■相手のスタミナ切れを見逃さず
 しっかりと粘って1-0の勝利。
 開幕戦の時にも話しましたが、やはり今年のチームは守備主体ということになりそうですね。


 その中で安定して良いプレーを見せているのが、キムではないでしょうか。
 相手が前線をめがけてロングキックを蹴ってきても、非常に安心して見ていられる。
 試合をこなすことによってパワーやスピードで相手に勝るだけでなく、しっかりと相手の動きを予測してプレーできるようになった印象で、プレーに安定感が身についてきました。
 また、大岩も前節はミスが2度あったものの、それ以外の試合では昨年のようなミスも少なく、DFラインをコントロールしている。
 そして、その前にはしっかりとパウリーニョが戻ってきて、大型スクリーン役も果たしている。


 ここまで失点数が少ないのも、この3人の頑張りが非常に大きいでしょう。
 押谷へのキムへの対応などは、この日一番の見どころだったのではないでしょうか。
 3人が強さを見せているからこそ、昨年のようにカウンターで簡単にやられることも減り、ずるずるとライン下がってしまうこともなくなったのだと思います。
 ラインが下がらないからこそ前にプレスに行けるし、相手を押し込むことができる。
 逆もまた然りでしょうが、昨年まではあまりにも簡単にラインが下がっていた印象がありましたし、そこがなくなったのは非常に大きいと思います。



 一方、攻撃に関しては、今節も苦労した試合だったと思います。
 前節対戦した栃木は、4×4のボックスで中央にボールを入れられなかった。
 しかし、岡山は5バックが広く開いて、シャドーも高い位置にポジション取りすることが多かった。
 そのため中盤には選手が少なく比較的楽に縦へボールを持ち運べたものの、今度はそこから最終ラインの5人を崩せなかった。


 結局、最後は相手が先に息切れを起こして、集中力を欠いたところを仕留めた展開だったとも言えると思います。
 パウリーニョペチュニク、金井、勇人、森本などに加え、途中投入の田中も含めてタフな選手たちを起用したことで、相手を押し切った印象です。
 そういった意味でも、やはりこの試合は粘り勝ちといえるでしょう。



 栃木戦との一番の違いは、ホームかアウェイかだったのかもしれません。
 前節とは違って森本など前目の選手もしっかり動けて、前からのプレスも効いていたし、90分間のスタミナでも相手を上回っていた。
 一方で岡山は前節C大阪戦ほどのプレスや球際の強さを見せられなかったし、完全に後半は足が止まっていました。


 ジェフとしては、しっかりとそこで勝ち点3をものにした試合と言えるでしょう。
 パワーで相手を押し込んで勝ち点を稼ぎつつ、攻撃の細部を詰めていくことが今後の目標ということになるのでしょうか。