水野晃樹、ジェフ復帰後初出場

 今年からジェフに復帰した水野晃樹が、栃木戦90分から森本に代わって試合に出場。
 これがジェフ復帰後、初出場となりました。
 水野がセルティックに移籍したのが07-08年オフですから、実に8年ぶりにジェフの選手として公式戦に出場することになったわけですね。
 さすがに感慨深いものがあります。


 栃木戦で途中出場した水野は、キレのある動きで攻撃に勢いをつけていきました。
 スピードある縦に鋭いドリブルと、そこからのキレのあるクロス、精度の高いプレースキックなどは当時のプレーと大きく変わらず。
 水野のプレーを見るとワクワクするのは、そういった切れ味の鋭い攻撃が見られるからなのだなと、久々に見たことで改めて感じることができました。
 あのキレの鋭さ・スピード感を持っている選手は数多くいる日本人アタッカーの中でも、なかなか見られない存在なのではないでしょうか。



 7年間もの長い間、コンスタントに試合に出場できていない時期が続いていた水野。
 それはジェフを退団してから、レギュラーポジションを勝ち得たシーズンが1度もなかったということを意味するわけで、正直戦力としてはあまり大きな期待を抱いていませんでした。
 近年も素晴らしいシュートを決めて話題になったりはしていましたが、そういったセンスは昔から持ち合わせていた選手で。
 それをコンスタントにやれるかどうかが、プロの選手としては大事なのではないかと思っていました。 


 しかし、今季からジェフに復帰して、2月22日の練習試合山形戦でスタメン出場した際も、前への仕掛けにおいて可能性を見せてくれていました。
 チームは劣勢となる時間が長かったですが、積極的に裏へスルーパスを出し、自らが裏に飛び出す動きも披露。
 カウンターの起点になっていた印象で、8年間たってもプレーの鋭さや勢いは大きく劣化していない印象を受けました。



 そして、先日の栃木戦で森本に代わって途中投入。
 短い時間でしたが、ペチュニクがセンターに回って、水野は右サイドでプレーしていました。
 山形戦ではトップ下でプレーしていましたが、基本的にはやはりサイドの方が向いている選手なのでしょう。


 水野は縦への鋭い仕掛けが何よりも武器で、そこからのクロスも高質。
 一方でビルドアップに貢献できるタイプではないし、複数のエリアに顔を出すよりも縦への仕掛けに専念させたいタイプだと思います。
 今季のトップ下は今のところビルドアップに貢献する部分はあまり期待されていない印象があるとはいえ、様々なエリアに顔を出さなければいけないことには変わりないのでしょう。
 水野の場合はプレーエリアがある程度固定化されて、そこから前へ仕掛けることに集中できるサイドの方が良いのではないかと思います。

 
 あれだけ良いプレーを見せてくれただけに、もう少し長く見たかった印象があります。
 これに関しては試合後のインタビューでも、関塚監督が記者の方に指摘されていますね。
 相手に疲労が見えた試合終盤だからこそ、水野の攻撃力が活かしやすかったという面もあるのでしょうが、それまでに攻撃の手立てが見えず相手の攻撃には勢いがなかっただけに、もう少し早く動いてもよかった気がします。



 栃木戦でも十分にポテンシャルを見せてくれた水野ですが、一方でレギュラーを勝ち取るまでに至るのはそう簡単ではないのかもしれません。
 水野は積極的に前に仕掛けることに特徴がある選手だからこそ、そういった選手を右サイドで起用すると、攻撃が一辺倒になりがちになってしまう可能性も考えられるでしょう。
 現代サッカーにおける4バックの右SHには縦への仕掛けだけでなく、ビルドアップからゴール前への飛び出し、プレスや戻っての守備など様々なものを求められることになるはずです。
 

 2列目の選手の動きによって、チーム全体の幅が広がる部分も出てくるのでしょうし、様々なタスクをこなさなければなりません。
 3バックのウイングバックの方がシンプルに縦へ仕掛ける仕事がこなせるでしょうし、水野には合っているようにも思います。
 ですから、オシム親子時代の戦術が水野には良かったのではないかと思うのですが、当時も水野の守備の負担を軽くするために4バックにすべきという意見が少なくなかったですね…。



 まずはスーパーサブとして、攻撃を活性化する役割を期待すべきなのかもしれません。
 チームのメイン戦術として水野の縦への仕掛けを押し出していくサッカーをしていくのであれば状況が異なるでしょうが、そこまでに至るかどうかは現時点ではまだわからないところ。
 それをやってしまうと水野頼りになってしまう可能性がありますから、当然リスクも出てくるでしょうしね。


 ジェフでプロ入りした直後の水野も、まずスーパーサブとして試合に出場して、結果を残していきました。
 当時の監督であるイビチャ・オシム監督は林、水野、工藤といった若く攻撃的な選手を試合途中に起用し反撃を狙うというのが、1つのパターンとして見られました。
 この3人をスーパーサブのセットとして、考えていた印象もあります。
 3人が試合途中に出場すると、ピッチ上だけでなくサポーターも盛り上がり、勢いを増して猛攻を仕掛けていく…と。
 今季の水野もまずはそういった役割を期待して、チームを盛り上げていってほしいところではないでしょうか。