ハリルホジッチ監督就任とメンバー発表
だいぶ時間がたってしまった印象もありますが、アギーレ監督の後任としてハリルホジッチ監督が就任しました。
個人的に話題になった多くの監督候補の中では、スパレッティ監督が見たかったですね。
0トップを生み出した監督で、ハイプレスをかけていくスタイル。
ハイプレスはアギーレ監督のサッカーにも通ずるところがありますから、それを貫くというのも面白いのかなと思いましたし、0トップは日本人のサッカーにもあっているのではないかと。
ただ、やはり西欧の名門クラブ候補にも挙がっている監督で、年俸もお高いという話が出ていましたから、現実的ではなかったのかもしれません。
実際にリストアップされていたのかどうかすらわかりませんし。
ハリルホジッチ監督に関しては、ボスニア出身の監督ということでブラジルW杯でも注目してみていました。
アルジェリアを率いてW杯を戦ったわけですが、比較的守備的なサッカーを実施していた印象で。
話題となっているドイツ代表戦もドイツが前後ほどの良いサッカーができなかったこと、アルジェリアが守備を固めて守ったことがアルジェリアの健闘に結びついた印象で。
守備的なサッカーが悪いわけではないですが、戦術的に何か目立ったサッカーをしていたわけではなかったように思います。
アルジェリアの選手にハードワークさせることに成功したことも含めて、戦術的な部分よりもしっかりと練習から厳しく指導していくことの方が目立つ監督なのかもしれません。
もっとも北アフリカのチームで献身的なイメージがないとはいっても、アルジェリアのことをそこまで詳しく知っているわけではないですが。
また、アルジェリアでは守備的でしたがコートジボワールやクラブチームでは攻撃的なサッカーをしていたということもあって、日本代表では守備的なサッカーをするわけではないのかもしれません。
しかし、これに関してもハリルホジッチ監督に関してそこまで詳しくないですから、まだ様子見するしかない状況ですね。
例えばこれが岡田監督なら第一期日本代表、札幌、横浜とチーム作りを見てきましたから、第二期日本代表就任直後の攻撃的なスタイルに関して「やっぱり無理をしてたんですね」「岡田監督なら守備的なカウンターだよね」という見方もできると思います。
けれども、「コートジボワールでは攻撃的だった」という話だけ聞いても、そちらが特別だったかもしれないし、その逆かもしれない。
その情報だけで「柔軟に切り替えることができる」と言ってしまうのも安易すぎるでしょうし、どこかにその監督の軸というか、変わらない特徴というものはあるものだと思います。
逆にそういったものがない監督の方が、信用できないとも思いますしね。
その軸や変わらない特徴というのがいったい何なのかが気になる部分であり、監督選びにおいても重要なところなのだと思います。
先日、日本代表メンバーが発表になりましたが、そこまで目立った人選はなかったように思います。
宇佐美、永井などが招聘され大ベテランの遠藤が外れたと聞くと若返った印象もありますが、広島の水本、青山といった選手も復帰しており、全体的に見ると決して世代交代主体といったイメージはありません。
むしろ乾、昌子、今野などが招聘されているところからしても、かなりアギーレ監督時代のメンバーが残った印象があります。
アギーレ監督もアジア杯までは、遠藤を招集していなかったわけですしね。
ハリルホジッチ監督就任から時間がなかったことも考えると、まだ色は出せていないのかなといった印象です。
改めて考えると、ハリルホジッチ監督にいったい何を求めるのか。
それ以前として、日本代表に何を期待するのか。
過去の日本代表監督人事を振り返っても、良いか悪いかは別として、それなりに意図はあったと思います。
トルシエが組織的に戦って一定の成果を出したものの、組織はもういいでしょうと個を主体としたジーコ監督が就任し。
ジーコ監督が大きく失敗すると、一から作り直すという意味でオシム監督に丸投げし。
オシム監督が倒れられた後の岡田監督が守備的なサッカーで結果を残すと、攻撃的なサッカーを目指してザッケローニ監督を招聘し。
ザッケローニ監督が攻撃的なサッカーを作れないと、メキシコでパスサッカーを実践したアギーレ監督を招聘し。
ジーコ監督、オシム監督の招聘理由は強引で問題ある部分はあったとはいえ、流れははっきりしていたと思います。
しかし、今回はアギーレ監督が途中解任となったこともあって、招聘理由がぼやけた状態になっている部分もあるのかなと。
W杯直後ならそのW杯の反省も生かした次期監督選びということになりますが、ブラジルW杯の内容も忘れられがちな時期に入り、アギーレ監督のチーム作りも途中のまま明確な判定もしにくい中、次期監督を探さなければいけなくなってしまった状況だと思います。
アギーレ監督のサッカーに可能性を感じる部分もあっただけに、なおさら…というところも大きいでしょう。
だからこそ、改めて過去のチームに関しては考えずに、まっさらな状況で日本代表監督に望むのは何か、日本代表チームに何を期待するのかといったテーマを考えるキッカケにはなるのかもしれません。
簡単なテーマではないのでしょうが、個人的には言葉の通り日本を代表するチームということになるわけですから、1つのお手本になるようなサッカーを目指してほしいかなとは思います。
日本代表の与える影響というのはいまだに大きいものがあると思いますし、具体的にどんなサッカーを目指すのかも非常に大事ですが、国内のサッカーチームが指標となるような、あるいは目指したくなるような戦いをしてほしいなと思います。
もっと言えば、夢を与えるようなチームになってほしいところですね。
というのも、残念ながらACLでのJリーグの成績は今年もかなり厳しいものになっています。
真剣舞台で世界と日本チームが対戦するためには、日本代表が頑張らなければいけない。
日本人のサッカーが世界のチームに対していかに戦うのかを模索するという流れはそれ自体が非常に夢のあるものだと思いますし、そのためにも希望ある内容にしてほしいところではないかと思います。
逆に言えば、日本代表に関しては、正直そこまで心配していないというのもあります。
油断するわけではないですが、大きく監督人事に失敗しなければW杯まではいけるだろうし、W杯まで行けば何らかのモノは得られるだろうと。
世界との接点も、そこで生まれることになる。
それよりも、不安視すべきはJクラブのACLでの苦戦ではないでしょうか。
広州恒大のクラブ規模の大きさは言うまでもなく、東南アジアのクラブも健闘している。
その中でJクラブは、今後どのような発展を目指していくべきなのか。
そちらの方が極めて深刻で、難しいテーマでもあるように思います。
ということで、ハリルホジッチ監督に関してはまずは様子見。
細かい指導を大事にする監督のような印象も受けるので、じっくりそのあたりも見ていきたいところではないでしょうか。