山形戦で大卒の北爪がスタメン出場

 昨日お話ししたように、少なくとも22日の山形戦でのペチュニクのプレーはあまり良い内容ではなかったように思います。
 また、同じく新加入のGK岡も、この試合では良さが出せなかった印象でした。
 グラウンダーのパスは力強く可能性も感じましたが、ロングキックのミスが目立ち足元の技術ではやはり高木の方が上なのかなといった印象を受けました。
 高木の課題である空中戦で期待できるGKなのかなとも思っていたのですが、報知にも書かれているように後半40分にサイドからのボールをファンブルし、あわや失点といったシーンを作ってしまいました。


 フクアリ初披露ということで緊張もあったのかもしれませんし、連携不足も影響したのかもしれません。
 しかし、山形戦の内容だとこれまで岡本を差し置いて、高木と交互に主力組に入っている理由はあまり見えてこなかったように思います。
 非常に体格は良いGKですので相手への圧力などは期待できるのかもしれませんが、それをどこまで活かせるかどうかがポイントなのかもしれませんね。



 また、昨年攻撃のカギを握っていた左サイドのコンビも、動きが悪かった印象です。
 谷澤に関してはこの時期毎年のことなので、そこまで気にはなりません。
 しかし、中村のキレも良くないように感じるのは、チーム全体への影響を考えても不安を感じる部分ではないでしょうか。


 考えてみれば昨シーズン後半から失速し、シーズン前半のような活躍を見せられなかった中村。
 シーズン後半の動きの悪さは疲労からくるものなのではないかと思っていたところもあったのですが、逆にシーズン前半の出来が良く後半は本人にとって普通の出来だった可能性もあるのかもしれません。
 戦術的にも周囲との連携で前に飛び出していくタイプですが、関塚監督はそういったタイプの監督ではないと思いますし、中村にとっては合いにくい部分もあるのかもしれません。
 中村が活きてこないという問題もあって、谷澤を1トップなど別のポジションでプレーさせ、別の可能性を検討していた可能性もあるということでしょうか。


 他にも森本の動きが少なくほとんど目立ちませんでしたが、これが怪我明けの影響なのかどうか。
 しかし、少なくとも90分間試合には出場できる状況だったわけで、怪我は完治しているということなのでしょうが。
 鈴木隆行が加入したとはいえ、ケンペスが抜けてCFは不安も残るポジションだと思うだけに、森本の出来は非常に重要だと思います。



 逆に山形戦で動きが良さそうに見えたのは、水野、北爪、パウリーニョ、オナイウあたりではなかったかと思います。
 個人的に一番のサプライズは、専修大から新加入した右SBの北爪でした。
 運動量が豊富でスピードのある選手とは聞いていましたが、大卒新人とは思えないほどSBとしての完成度の高い選手といった印象を受けました。
 特に単純に上下へのアップダウンが多いだけでなく、守備で効いていた面が大きかったと思います。


 ペチュニクが守備で貢献できていなかった状況だったこと。
 そして、昨年からの流れで右サイドにスペースができがちだった状況において、北爪が広範囲に守備で対応していた印象が強く残っています。
 アプローチや相手との間合いのつめ方もよく、右サイドの穴を1人で懸命に埋めようとしていました。
 山口慶が引退して不安視された右SBのカバーリングですが、北爪なら守備面である程度計算できるのかもしれません。
 もっともチーム全体としての右サイドの守備が成立するかどうかに関しては、全体のバランスと右SHの人選というのが非常に大きなカギを握ることになると思いますが…。



 大岩が今季CBでプレーすることになったのも、大岩の適正ポジションかどこかという問題以上に、北爪が加入したからという面が大きかったといった可能性もあるのではないでしょうか。
 さらに言えば昨シーズン序盤に大岩がCBで起用されていたのも、北爪加入を想定した部分があった可能性もあるのかもしれません。
 山形戦でのプレーを見た限りではありますが、それほど期待できる選手ではないかと思います。


 大岩や慶とは違ってSBが本職の選手なだけに、攻守にポジショニングがよく攻撃に移った時のオーバーラップのタイミングなども期待できる選手ではないかと思います。
 北爪の動きによって、右サイドを活性化させることも可能になってくるのかもしれません。
 もう北爪の少しプレーを見たかったので前半45分で交代となってしまったのは少々残念でしたが、交代で入ったのも運動量豊富な田中だったのは北爪を右SBの軸として考えているため、似通った部分のある田中を試したかったということなのかもしれません。
 ただ、田中は上下のアップダウンやスピードなどはともかくとして、守備力やSBとしてのポジショニングなどにおいては課題もある印象ですから、どうしても不安な点も感じましたが。
 右サイド全体の守備が安定している状況ならばともかく、少なくとも現状では右SBの守備の負担は大きい状況ですしね。



 とはいえ、もちろん北爪もまだまだ成長していかなければいけない部分があると思います。
 後方からの細かなビルドアップにおいてはボールの受け方、捌き方において悩んでいるところがあった印象ですし、高い位置での仕掛けなどももっと見たいところがでした。
 また、守備においても周りのサポートが少なかったという面はあったと思いますが、キム・ボムヨンとのマッチアップには苦労している印象もありました。
 キム・ボムヨンの出来が良かったという面も大きいのでしょうが、対人守備に関しては今後プロで多くの経験を積んで成長していく必要があるのではないでしょうか。


 とはいえ、不安視されたポジションの1つであった右SBに、期待できる選手が現れたということは非常にうれしいことです。
 大卒でまだ若く今後の成長も期待できるという点も、ジェフとしては大きなことだと思います。
 この日の山形戦ではなかったですが、新加入の金井とのポジション争いにも期待したいところですね。
 今シーズン中にもいろんなものを経験し吸収して、ハイレベルなSBとして成長していってほしいところです。