ペチュニクが山形戦で負傷交代

 すでにお伝えした通り、22日にフクアリで行われた山形戦でスタメン出場したペチュニクが、前半40分頃怪我のために途中交代してしまいました。
 シーズン開幕前の大事な時期ですから、大きな怪我ではないことを願いたいと思います。
 しかし、負傷交代するまでのペチュニクのプレー内容は、あまり芳しいものではありませんでした。
 これまで伝え聞く練習試合などでもペチュニクの評価は良いものがほとんどなかったですし、山形戦に限らず苦労している状況なのではないかと思います。



 身長189cmと上背があって、重さもある選手だと思います。
 そのため右SHでの起用でしたが、GKからのロングキックのターゲットになることが多く、ゴールに向けて背を向けてポストになるプレーも目立つなど、FW的な動きをしていたシーンが多くみられました。
 代わりに入ったのがオナイウだったことを考えても、右サイドにターゲットになれる選手をあえて置く形をテストしているのかもしれません。


 森本はサイズの面では並の選手で、昨シーズンも劣勢になるとターゲットになりきれず、試合から消えてしまうことがありました。
 チームとしても山形戦前半は相手のプレスに苦しみスムーズにパスをつなげない時間帯が目立ちましたし、そういった状況で比較的圧力の弱くなりがちなサイドに長身選手を置いて、長いボールなどを蹴ってポイントを作ろうという意図もあるのでしょうか。
 左サイドからのクロスに対して、右SHの選手が飛び込む形なども考えているのかもしれません。
 また、単純に新加入のパウリーニョも含めて、サイズのある選手をピッチ上に増やしたいという意味もあるのかもしれませんね。
 ここ数年は比較的小柄でテクニカルな選手が多かったジェフですが、関塚監督はサイズの大きな選手を好む傾向がある印象がありますし。



 中央を避ける形で長いボールを受ける格好となったこともあり、ロングボールに対してはそれなりに勝てていたと思います。
 また足元でのポストプレーにおいても、体を使ってうまく受けようという意欲が見られました。
 しかし、ボールを保持してからのプレーが良くなかったですね。
 山形の選手に素早く囲まれて、対処しきれずに潰されてしまうというシーンが何度もありました。
 それによって、被カウンターの起点になっていたと思います。


 また前への動き出しが少なく、右サイドの攻撃が滞留を起こしてしまう結果となってしまいます。
 前半はチーム全体の動きが良くなかったという問題もあったのでしょうが、中央の水野が積極的に前に出ようとしていただけに、ペチュニクの前への動きの少なさが目立っていました。
 途中投入されたオナイウもコンディションが良いのか動きが良く、積極的に前に飛び出していただけに、余計にペチュニクが重く感じました。
 オナイウに関しては現時点でそこまで動けていていいのかと思うほどでしたが、試合出場を目指す若手選手としてはそれくらいでもいいのかもしれませんね。
 加えてペチュニクは守備でもアプローチが遅く、大きな穴になっていた印象です。



 単純に連携不足もあって、攻守に機能していなかったというところもあるのでしょう。
 また、コンディションの問題もあるかもしれませんし、調子が上がってくればスピードや運動量も増えてくるかもしれません。
 しかし、少なくとも現状では、アジリティの面で日本のサッカーに対応しきれていないという部分が一番の問題ではないでしょうか。


 南アフリカW杯でも日本代表がすばしっこく動き回りボールに集まる動きというのは、十分通用するということが分かったと思います。
 また、海外で活躍する選手たちも、運動量豊富に素早く動く能力を評価されている部分が大きいのではないでしょうか。
 川崎の風間監督なども日本人選手がフィジカルで劣っているという話に対して、フィジカル面でも日本人のアジリティの部分は長所なんだという話をしていた記憶があります。



 そうなってくると、Jリーグも当然アジリティの面では高いレベルにあるはずで、外国人選手の最初の課題はそこに対処できるかどうかというところになってくるのではないでしょうか。
 実際山形戦で見たペチュニクは周りの選手に比べて動きが少なく重く見えてしまい、スピード感のなさが目立っていたと思います。
 これに関しては歴代のジェフの外国人選手にも見られた部分であり、そこにうまく対応できた選手が成功してそうでない選手が苦戦するとすら言えるのかもしれません。
 海外でいくら実績があったとしても日本ではまた違った難しさがあるのではないかと思いますし、肩書きだけではなく日本のサッカーにフィットするかどうかが重要ということになってきます。
 当然そこには日本サッカーとの相性というものもあるのでしょうが。


 思った以上にFW的なプレーをしていましたし、本来はFWの方が適している選手なのかもしれません。
 あるいは日本のサッカーでプレーするとなると、2列目の選手としてはスピード面に物足りなさがあるということなのか。
 そのあたりもあって、キャンプ序盤に森本が負傷中の時に1トップを任されていたのでしょうか。
 ただ、その1トップに関しても、長崎戦では鈴木隆行に譲ったことになるわけですが。



 怪我明けが理由なのであればいいですが、森本も動きが良くなかったですしちょっと前線の選手たちの出来に気になる部分があったように思います。
 ペチュニクに関しては、どのようにアジリティに対応していくかが重要になってくるのかもしれません。
 単純にスピードを高めていけるのなら良いですが、そこには限度もあるかもしれません。
 テクニックを使って、うまく相手をいなしていくか。
 あるは高さや強さを生かして、相手選手を抑え込むか。


 もしかしたらそのようなプレーは今までのペチュニクとは異なるのかもしれませんが、プレースタイルを一部変えてアジャストしていけるかどうかが求められてくるかもしれませんね。
 ペチュニクポルトガルイングランドでもプレー経験があるそうですが、日本のサッカーはさらに異質な部分があるのかもしれません。



 山形戦で負傷してしまいましたが、それがなくとも日本のサッカーにフィットするためにはもう少し時間がかかるのではないかと感じるプレー内容でした。
 ここまで主力組の選手としてプレーしてきたのもあくまでも"期待枠"であり、現状だと他の選手の方が良いプレーができるのではないかといった印象です。
 もしこの怪我によって一度いろんなものを整理できるのであれば、結果的に良い時間になる可能性もあるかもしれません。


 今は苦戦しており出遅れている印象もありますが、ここから改善していって活躍してくれれば問題ないわけで。
 問題はどれだけ早く対応できるかどうか。
 そして、どこまでうまく対応できるかどうかですね。
 今季のジェフにおいて攻撃陣の目玉となる補強なだけに、頑張ってほしいところだと思います。