2014シーズンを振り返る 佐藤祥編

 例年、出場時間の短かった選手は見送る方針でやってきたこのシリーズですが、今オフは加入直後ということで天野、田代に関して取り上げ、移籍が決まったために碓井、戸島、ナムに関しても触れてきました。
 昨年は登録選手が非常に少なかったこともあって、ほとんどの選手に関してお話してきたことになりましたので、2種登録選手の仲村、浦田、岡野以外は全員取り上げることにしました。


 ちなみに浦田に関しては、U-18日本代表のロシア遠征で左SBとして活躍し、スロバキア戦では2ゴールに絡む結果を残してゲキサカでも取り上げられました。
 仲村は新体制発表会の写真を見ても体が絞りきれていない印象がありますし、練習でチラッと見た感じからしてもトップの速さ、強さに慣れるところからスタートなのかなと思います。
 仲村の方がトップレベルで戦うまでには、時間がかかるのかもしれませんね。
 岡野は新体制発表会でも名前があがっていましたし、ジェフU-18期待の1人ということになるのでしょう。



 佐藤祥は昨年ジェフでは天皇杯3回戦柏戦、4回戦長崎戦の2試合に出場。
 またJ-22からJ3リーグに8試合出場しています。
 しかし、ジェフでのリーグ戦出場は2011年、顔見せ的な起用となった神戸監督代行時代の2試合にとどまっています。


 同年にジェフU-18から昇格した井出が昨年飛躍の年となったため、残念ながら若干差がついてしまったことになります。
 個人的には近年SBで起用されていますが、ボランチとしての印象が強い選手です。
 ユース時代にもインサイドハーフやCBなど様々なポジションでプレーしていたはずですが、メインポジションはボランチだったはずです。
 フォアリベロ的な役割を任され、DFライン前をカバーし、状況によっては最終ラインに入ったり、そこから前に出ていって相手を潰したりといったバランスをとれる選手といった印象でした。



 しかし、トップに入ってからはボランチにベテラン選手が多いこともあって、ここ数年はSBに転向せざるを得なくなったといったところでしょう。
 これが11年以来リーグ戦出場から遠ざかっている、1つの要因となっているのではないでしょうか。
 一般的にベテラン選手たちは豊富な経験からそつなく仕事をこなせて、試合を成立させてしまうことが出来てしまう。


 将来性では若手の方が期待できたとしても、ある一定の仕事を果たせるよう選手に求めるのが指揮官でしょうから、そのボーダーラインをこなせてしまうベテラン選手の起用が優先してしまうのは仕方のないところではないかと思います。
 「こういった動きが出来るように」と指示している手前、それが出来ていない若手選手を優先しては、チームの統率がとりにくくなってしまう。
 特にボランチやCBはバランスや状況判断能力が求められるポジションですから、ベテラン選手の経験がものをいうポジションでしょう。
 ジェフはそのボランチに数多くのベテラン選手を補強した結果、なかなか若手が経験を積めない状況になっているのではないかと思います。
 これがジェフのボランチが育たない、1つの原因となっているのかもしれません。



 そんな中、昨年の天皇杯2試合で、佐藤祥は左SBで出場しました。
 SBに移ってからは右SBとしてのプレーが多かったはずですが、左SBで出場し続けていた中村を休ませたかったこと。
 柏戦では山中を前で使いたかったことなどが、起用理由だったのではないでしょうか。


 意外な起用法だったので心配もあったのですが、予想よりもしっかりとこなせていた印象があります。
 柏戦では前半途中から両SHが下げられて6バック気味に守るような状況でしたので、本来のSBとしてのタスクはあまり見られない状況でした。
 また、長崎戦も前半はかなり苦しい展開で、評価の難しい試合ではありました。


 しかし、守備でも大きな穴にはならず、攻撃でも回数は少なかったもののタイミングよく前に飛び出して、足元の技術も見せてくれていました。
 特にポジショニングが非常に綺麗で、CBバックにうまく合わせてラインを保っていたところが印象的でした。
 競り合いの面ではまだまだ課題も感じられましたが、可能性は見せてくれたのではないかと思います。



 とはいえ、現状だとまだ可能性の段階であり、特別な強みという部分がま足りないのかなという印象もあります。
 言わば器用貧乏的な状況になりかねないのかなとも思います。
 それだけに2014年はレンタル移籍させて経験を積ませる可能性もあるのではないかと思ったのですが、アカデミー出身の選手は大事に育てたいという思いもあるのでしょうか。
 単純に山口慶も引退となって、DFラインの人数が足りないという面も大きいのかもしれませんが…。


 今年からMF登録がDF登録となりましたし、SBに専念することになるのかもしれません。
 大岩、北爪といった選手たちと右SBを争いつつ、中村に何かあれば左SBでもプレーできるように準備していくといったところでしょうか。
 ジェフにとっては貴重な若手期待の選手の1人とはいえ、今年でトップ昇格4年目になりましたし、まずはリーグ戦出場を目指して頑張ってほしいですね。