2014シーズンを振り返る 谷澤達也編

 昨日ジェフの公式サイトにサポコミの議事録がアップされましたが、特に目新しい話はないように思います。
 強いてあげるとすると、2020年に8〜10人アカデミーから選手を入れたいと、具体的な数字を掲げたこと。
 CBの補強について「高さがあり強い選手を探す」ということで、やはり関塚監督のサッカーだとそうなるのだろうなということ。
 ただ、その後に「たくさんいればいいわけではない」という話もしているので、実際に補強があるかどうかはわからないのでしょうね。
 連携が重要なポジションですから補強するなら、シーズン中より開幕前が望ましいように思いますが…。
 細かく取り上げれば他にもあるでしょうが、大きく気になったのはそんなところでしょうか。



 さて、選手個々を振り返るシリーズを再開します。
 昨年の谷澤は本人が志願して一桁の背番号を希望し、背番号8になったという話だったと記憶しています。
 それだけ気合が入っているのかと思ったのですが、シーズンスタート時はウェイトオーバー気味な印象でした。
 当初は見るからに動きが重く開幕戦こそスタメンでしたが、第2節から3試合はスタメンから外れることになります。


 谷澤、兵働、ケンペスといった主力候補のベテランが開幕にコンディションを合わせきれなかったことも、チームが序盤に苦しんだ大きな原因と考えられるのではないでしょうか。
 しかし、谷澤は途中出場から徐々に調子を戻していくと、第4節の熊本戦ではスタメンに復帰し1ゴール。
 翌戦の水戸戦でも1ゴールをあげる活躍を見せます。



 湘南戦の大敗から、チームは4×4のボックスディフェンスを構築。
 そこで谷澤は攻守に大きな役割を果たします。
 それまでの4-2-3-1の守備では両SHの戻りが遅れがちでカウンターを受けることが多かったジェフですが、4×4のボックスを形成することでSHの戻りの意識が高まり安定感のある守備になっていきました。
 特に谷澤は守備の戻りでサボることも少なくない選手だったわけですが、この時期はしっかりとポジションに戻り守備面でも貢献していました。


 また、この頃から左SB中村との連携が向上していきます。
 4×4になったことで中村との距離感が近くなり、谷澤が上手く中村を活かせるようになっていった。
 中村は前にタメの作れる選手がいる状態で生きるタイプで、谷澤との相性は非常によかったように思います。
 結局この頃に完成した谷澤と中村のコンビが、シーズンを通じて攻撃の要になっていきます。



 そのまま左SHとしてスタメン出場し続け、関塚監督就任後もレギュラーポジションをキープ。
 そして、シーズン終盤には、さらに谷澤の存在が大きくなっていったと思います。
 個人での突破力が重要になってくる関塚監督のサッカーにおいて、自分で仕掛けてチャンスメイクやシュートを狙える谷澤の存在は大きかったのでしょう。


 一方で守備やビルドアップなど細かな点においては、後半からミスも目立つようになっていった印象です。
 特に10月からは右サイドで守って左サイドで攻めるという形がはっきりとしていっていき、その分谷澤は守備を免除される方向になっていき、谷澤の戻りが遅れることも珍しくありませんでした。
 しかし、攻撃面でもシーズン終盤には谷澤へのマークが厳しくなって行き、潰されることも増えていきました。
 谷澤が潰されてしまうと中村も活きなくなってしまい、中央や右サイドでは攻撃が作れないため、チーム全体が苦しくなってしまう傾向があったように思います。
 山形に敗れたプレーオフ決勝も左サイドを封じられ、他でチャンスを作れずに点を取れず敗退となってしまいました。


 特に谷澤はボールを受ける瞬間に相手ディフェンダーに素早くアプローチされると、その一瞬で交わしたりオフザボールで避けたりといった動きが出来ず、攻撃を封じられてしまう傾向にあったと思います。
 シーズン終盤はそういった相手チームの谷澤対策がはっきりとしていき、試合から消されることが増えていったのだと思います。
 結果的に左サイドを活かすために右サイドを守備重視にして攻撃を犠牲にしていた部分もあったと感じるだけに、左サイドでは相手に警戒されたとしてもそれを上回る攻撃力を見せつけなければいけなかったと思うのですが、厳しく言えばそのレベルには達しなかったということになるでしょう。



 成績で言うと、2013年はリーグ戦38試合に出場し4ゴール。
 2014年はリーグ戦39試合に出場し6ゴールでしたので、大きく向上はしていません。
 とはいっても、2013年に比べて2014年終盤は、チームにおいて欠かせない存在になっていたと思います。
 谷澤にとっては相性が良かった中村が加入したことも大きかったですし、やはり基本的には自由にプレーさせた方がいい選手ではあるのでしょう。


 しかし、守備を免除され自由にプレーさせてもらったものの、警戒された状況で攻撃を作れるほどの活躍はできなかったとなれば、チーム全体で言えばマイナス面の方が大きくなってしまいます。
 当然、警戒された状況でもチャンスを作れるレベルに達するのは簡単ではないのでしょうが、そこを超えられるかどうか。
 あるいはより器用な選手になって組織的な動きや守備も出来るような選手になれるかどうかが、谷澤の今後に求められる部分なのかもしれません。


 チーム(というか強化部?)としてもメンバー構成をみると、右サイドの守備的な選手2人が抜けその穴埋めは行わなかったですし、昨年のやり方から変えたいという意思を感じる部分があります。
 そうなってくると、昨年ほど自由には戦えないかもしれない。
 そうなった時に違いを見せられるかどうかが、問われてくるのかもしれませんね。