幸野のFC東京復帰が決定

幸野志有人選手の期限付き移籍満了について(ジェフ公式サイト)
幸野志有人選手 FC東京復帰のお知らせFC東京公式サイト)


 今日は更新お休みの予定でしたが、本日サポコミと新体制発表会が行われ多くの情報が公開されることが予想されるため、その前にそれまでのニュースを取り上げてしまいたいと思います。
 次の更新は月曜日になります。


 昨日、幸野のFC東京復帰が発表となりました。
 まだ補強が行われる可能性は残っていますが、戦力としてはかなり痛いのではないかと思います。
 幸野は2014年8月に、FC東京からジェフにレンタル移籍。
 8月24日の第8節岡山戦にこそスタメン出場しますが、それ以降スタメンからは遠ざかり当初の出番はあまり多くありませんでした。
 しかし、9月28日の第34戦岡山戦にスタメン出場すると、その後は右SHのレギュラーとして定着。
 同年代の井出からポジションを勝ち取ったことになります。


 スタメンを勝ち得たポイントは、やはり守備でしょう。
 昨日も話した通り最終ラインが深く守って中盤や右サイドにスペースが出来がちな状況で、右SHで広範囲を守ることができる幸野は非常に貴重な戦力でした。
 考えてみればロンドン五輪の右SH清武も守備で計算できる選手でしたね。
 幸野は守備からタイミング良く中央などに入ってボールを受ける動きも効果的で、相手を背負ってもボールをさばくことができ、的確に技術を発揮できる選手でした。



 ただ、ジェフでの右SHは非常に守備の比重が高く、幸野への負担は大きいものだったと思います。
 そのためプレーオフ決勝などではサイドに貼りつく時間が長く、攻撃に絡める回数は非常に少なかった印象です。
 それだけに幸野が本当にやりたいのはそういった仕事なのか、若い幸野の成長を考えるとそういった役割でいいのかという疑問もなくはありませんでした。
 2012年途中からは大分で2列目のアタッカーとして、2013年には0トップの偽9番などで戦術的に重要な役割を果たしていただけに、守備が専念されるSHで起用されるのは本人のためになるのかどうか…。


 これまでにも幸野は、レンタルで多くのクラブを渡り歩いていることになります。
 そのためJ2なら出場機会を得られるという自信はあるのではないかと思いますし、逆にそれでも完全移籍を選んでこなかったのはFC東京にこだわりがあるのかもしれませんね。
 あるいはJ1の舞台でプレーしたいという思いが強いのか。
 もしジェフが昇格していれば…という部分も、大きかったのかもしれません。



 ジェフとしては田中、井出と右SHがいる状況で水野も獲得したのは意外だったわけですが、幸野のFC東京復帰が想定できていたためにそのような動きがあったということなのでしょうか。
 しかし、幸野のような守備能力の高い2列目の選手は、今のジェフにはいない状況。
 ジェフは長年2列目で守備の計算できる選手が不在で、その結果カウンターを受けやすくプレスが構築できないといった問題があったように思います。


 同じ右SHだと田中も守備に貢献できる選手ではありますが、あくまでもサイドの選手として上下にアップダウンして守る形。
 幸野はもともとボランチで、広いエリアをカバーリング出来るだけでなく、アプローチが非常に鋭く、守備に入るタイミングも正確。
 町田も良く走ってチェイシングでは貢献できますが、フィジカルが弱いためどうしてもボールを奪いきる強さが足りない。
 幸野はその点でも軸がしっかりとしている選手で、総合的に守備力の高い選手だったように思います。
 シーズン終盤は守備を穴を埋める上で、欠かせない存在になっていました。



 ただ、運動量はあっても、スタミナ面には不安があること。
 シュートなどにおける最後の精度などはもう1つだったことなどが、今後改善しなければいけない課題ではないかと思います。
 2014シーズン前半の幸野はFC東京でリーグ戦出場機会は一度もなく、今オフに退団した中盤の選手も少ないはずですが、果たしてFC東京で出番があるのかどうか…。
 武藤が代表に選出されており夏に海外移籍の噂もあるとはいえ幸野とはタイプが違うと思いますし、それでもFC東京に戻りたいという思いが強かったということなのでしょうか。


 
 ジェフとしては山口慶もそうですが、サイドでカバーリングに貢献できる選手の補強というのは簡単ではないと思いますし、非常に悩ましい状況ではないかと思います。
 右サイドからのクロスがもう1つだったから水野を獲得したという話もあるようですが、そもそも攻撃センスのあった井出を外して幸野を起用した流れだったわけですし。
 もちろんチームとしてはなるべく間延びしないこと、右サイドのスペース問題を解決することなどに取り組む必要があるとは思うのですが、クラブとしてはそこがうまくいかなかった時のリスク管理も考えておきたいはずです。


 2014シーズン後半でチームの傾向は分かったはずですから、そこからしっかりと計画を立てていきたいところです。
 …とはいえ、これまでのところ山村か獲得失敗しており、幸野も慰留に失敗したということなのであれば、なかなかフロントのやりたいようにはうまくいっていないのかなという印象もなくはありません。
 それでも最終的に良い選手構成が出来ればいいのでしょうが果たして。


 幸野に関しては半年間ではありましたけど、中盤の基礎的な技術や総合的な守備力など細かなプレーの重要性を改めて再確認できた選手でもあったように思います。
 ぜひともFC東京で試合に出場できるように、頑張ってほしいですね。