レンタル移籍の山中が柏に復帰

山中亮輔選手の期限付き移籍終了について(ジェフ公式サイト)
山中亮輔選手 柏レイソルに復帰(柏公式サイト)


 レンタルでジェフに移籍していた、山中の柏復帰が決まりました。
 シーズン終盤は、なかなかジェフでも出場機会がなかったこと。
 柏にユース時代の恩師である吉田監督が就任したこと。
 左サイドでレギュラーだった橋本が浦和に移籍したことなどからして、柏復帰は濃厚だろうと思われていました。


 しかし、年末に吉田監督の教え子であるはずの武富、中川といったレンタル組が揃って復帰を発表したのにもかかわらず、山中の復帰は発表になりませんでした。
 そのためジェフに残るのか、あるいは他チームへの再レンタルの可能性もあるのか…なんてことも思っていたのですが、結局は順当に柏に戻ったということになりました。
 ジェフに残っても出場機会を伸ばせるかどうかはわかりませんし、柏の体制が代わって吉田監督が就任したことを考えても、山中にとって良い選択と言えるのではないでしょうか。



 2014年の山中は、開幕戦からの4試合にスタメンフル出場。
 第2節岡山戦では強烈なミドルシュートを叩き込み、プロ入り初ゴールを記録しました。
 開幕時のジェフはなかなか連携も整わない状況だっただけに、山中個人の縦への強さというのは大きな武器になっていたと思います。
 しかし、その後は怪我もあって、スタメンから遠のきます。


 また山中にとって悩ましかったのが、2014年に加入しチームのチャンスメーカーとなていった左SB中村との関係だと思います。
 中村は自分で仕掛けてチャンスを作れるタイプではないクロッサーだったために、前方にタメの作れるタイプの選手が欲しい。
 山中もパワフルなドリブルを持っている選手ではありますが、グイグイと自分で持ち込むのが特徴であり、時間を作って周りを活かすというような選手ではなかった。
 そのため、左SHに山中、左SBに中村といった関係では相性があまり良くなく、シーズン途中からはトップ下や右SHなど他のポジションでの起用が増えていったのだと思います。



 関塚監督になって、まだレギュラーが固まらない7月26日の第23節長崎戦〜8月3日の第25節湘南戦、8月17日の第27節熊本戦でもスタメン出場を果たしました。
 この間も左SHだけでなく右SHや前線で使われるなど、なかなかポジションが定まりませんでした。
 結局2014年のリーグ戦では、初めの4試合とこの4試合の計8試合でスタメン出場ということなります。
 23試合に出場した山中ですが、途中出場が多かったため、出場時間に換算すると決して長いものではなく、シーズン終盤は出場するメンバーが固まってきたこともあって、途中出場の機会も減っていきました。


 本来は左SBの選手といえると思うのですが、そのポジションでは同時期にジェフに加入した中村に勝てなかったということになると思います。
 スピードやキック力などフィジカル面に関しては高いポテンシャルを持っている山中ですが、小技に関してはまだまだといった印象でした。
 技術力はあってもビルドアップにおいての細かな繋ぎや周りへのサポートなどにおいては、課題も少なくない選手だったと思います。


 それだけに2列目のどこかにおいて仕掛けさせたり、前線で起用して競らせたりといった形で、ともかく単独で前への強さを活かす形を取るようになっていったのでしょう。
 これは鈴木監督、関塚監督の両者が同じような形で試した手法だったと思います。
 また、昨年はアジア大会にも選出されましたが、アジア大会で日本代表が3バックになったのも山中の影響が大きかったのかもしれません。
 どうしてもビルドアップなど小技が求められる4バックのSBよりも、ウイングバックにしてともかくアップダウンさせた方が、山中のフィジカルは活かしやすいのかもしれませんね。



 山中の今後を考えると、周りに活かされる形で米倉のようにフィジカルを前面に押し出すタイプになっていくか。
 それでも小技も覚えて、総合的に能力の高い選手になっていくのか。
 どちらも目指せる能力はあるのではないかと思うのですが、一方で現段階ではまだ完成度は高くなくどちらのルートかも定まっていない状況ともいえるのかもしれません。


 吉田監督は山中の特徴などは熟知しているのでしょうし、どのような起用法になるのか興味深いですね。
 柏下部組織のメンバーを集めてその頃のサッカーをベースとして、いかにトップレベルまで引き上げられるかが柏のポイントということになるのでしょうか。
 そこがユース年代で成功した指導者のトップチームでの分岐点ともなりそうですね。
 個人的にはユース年代でバルサ風のサッカーをしてきたという吉田監督が、どのようなチームを作るのか楽しみです。



 一方でジェフにとってはレンタル選手の復帰ではありますが、大塚に続いて2列目の候補が退団したことになります。
 もともと2列目の選手は多かったですし、ペチュニク、水野も加入したため人数的には問題ないのかもしれません。
 ただ、2人ともベテランに差し掛かる年齢ですし、また若いレンタル選手を獲得する可能性もあるのでしょうか。


 山中に関しては今後はライバルということになりますが、そのポテンシャルをしっかり発揮できるように成長し、柏でも代表でも活躍できるようになることを祈っております。
 1年間ありがとうございました。