2014シーズンを振り返る 高木駿編

高木駿選手 期限付き移籍期間延長のお知らせ(ジェフ公式サイト)


 長くなってしまったこともあって、別枠で。
 遅くなってしまいましたが、川崎からレンタルでジェフに移籍しているGK高木のレンタル延長が発表になりました。
 川崎はGK杉山の清水移籍が決定的と報じられただけに心配していましたが、ジェフに残ることになってよかったです。
 できれば完全移籍での獲得したかったところですが、それは来年以降に期待ということになりますね。


 レンタル加入組では天野や幸野、山中の動向もまだ発表されていません。
 すでに柏は他のレンタル組の復帰を発表しているだけに意外ですし、天野もジェフでは活躍できなかったので残念ですが退団となるのかなと思っていましたが…。
 幸野に関してはFC東京が積極補強に動いているだけに、どうなるか分かりませんね。



 さて、ここで今シーズンの高木に関して振り返っていきます。
 岡本のエントリーでも話しましたが、9月28日の第34節東京V戦からそれまで正守護神として戦ってきた岡本が戦線を離脱。
 岡本の離脱中に活躍した高木は岡本復帰以降もレギュラーの座を離さず、リーグ戦、天皇杯、そしてプレーオフ決勝山形戦とゴールマウスを守り続けました。


 高木は開幕前のちばぎんカップでも、試合に出場。
 レンタル移籍元の川崎では公式戦出場機会はなく、当初はまだ不安定なプレーぶりではありましたが、その時点ですでに可能性は見せてくれていました。
 振り返ってみると、ちばぎんカップで試合を経験出来たことは、高木にとってもチームにとっても大きかったのではないでしょうか。


 特にビルドアップ能力の高さは、この時から際立っていたと思います。
 単純にフィードキックの精度が高いだけでなく、視野も広いのでショートパスもつなげることが出来る。
 それによってGKの位置から細かくつなぐといった選択肢が増えることになり、カウンター時などにも攻撃の起点になっていました。
 特に関塚監督になってからは相手守備陣に隙があればどんどんFWに蹴りこむサッカーをしていましたから、高木からのフィードは重要だったように思います。
 プレーオフ決勝山形戦のようになかなか細かくつないでチャンスを作ることが出来ない試合では、高木からFWへのロングフィードが攻撃の一端を担っていました。



 また、高木は守備範囲が広くDFラインの裏をカバーすることが出来る。
 ジェフは第34節東京V戦以降レギュラーメンバーを変えて最終ラインを高く上げられるようになっていったわけですが、それには高木のカバーリング能力も大きく影響していたと思います。
 高木が後方をカバーしてくれるという信頼があるからこそ、最終ラインの選手たちが積極的にラインを押し上げることが出来る。
 シュートへの反応も良く高木のセービングによって失点を免れた試合も多かったですし、特に10月の4連勝では高木の活躍が目立っていました。


 しかし、公式戦を経験するにつれて、徐々に課題も見えてくるようになっていきました。
 正面からのシュートへの対応はすぐれている高木ですが、サイドからのボールへの対応が不安定なところが見られたと思います。
 クロスに対する飛び出しだけでなく、CK時などのポジショニングも中途半端なところがあり、シーズン終盤におけるチームの課題となっていた印象です。



 プレーオフ決勝山形戦でも、相手左サイドからのクロスをファンブルしてCKにしてしまうシーンがありました。
 また宮阪のCKでは直接ゴールを狙われるなど、相手チームに意図的に狙われている印象もありました。
 身長も181cmとGKとしてはあまり高くなく、空中戦への対応も含めてサイドからのボールにどのように対応するかが、今後の課題となってくるのではないでしょうか。
 川崎入団からこれまでの2年間で公式戦出場の機会に恵まれなかったのも、そのあたりに弱さが見られていたからなのかもしれません。


 また、ビルドアップ能力の高いGKにありがちですが、ボールを持ちすぎて相手のチェイシングにあわててしまうこともありました。
 とはいえ、そこで相手のチェイシングを怖がって、簡単に長いボールを蹴るようになっては進歩とは言えないはずで。
 このあたりはDFとの連携も重要な部分だと思いますし、経験を積んで素早く良い判断が出来るようになっていってほしいところです。
 


 高木はビルドアップ能力の高さと広い守備範囲ということで、モダンなGKと言えるのではないでしょうか。
 一方でこれまで長く正守護神を務めてきた岡本は、どちらかと言えば後方でどっしりと構えるクラシカルなタイプのGKと言えるのかもしれません。
 双方に良さがあると思いますし、モダンなGKだと言っても総合的奈能力で優れていなければ、ポジションは得られないものだと思います。
 それだけシーズン終盤の高木は、十分な能力を見せてくれたということが言えるでしょう。


 今シーズンの高木は岡本の戦線離脱からチャンスを得て、結果的に新たな可能性をチームに示してくれたことになると思います。
 ビルドアップ能力の高いGKがいればそこからチャンスが作れるし、GKが広範囲を守れれば全体のラインを高めることが出来る。
 それだけGKというポジションは重要な存在だということが言えるのかもしれません。


 しかし、一方でシーズン終盤には課題も感じられた。
 もし1シーズンフルに戦うということになれば、さらなる課題も出てくるかもしれません。
 そこで課題を克服しさらに上のGKを目指せるかどうかが、来季のポイントとなってくるのではないでしょうか。



 ジェフとしては新たな可能性を引き延ばすという意味でも、高木の来季残留は重要なポイントだったと思うので、高木の契約延長は非常に明るいニュースだと思います。
 完全移籍とはいきませんでしたが、高木はまだ若く将来性が期待できるという点も、ベテランが多いジェフにとっては大きいのではないでしょうか。
 もちろんシーズン終盤にポジションを奪われた形となる岡本の逆襲にも期待したいところで、新シーズンに向けて激しいポジション争いを期待したいですね。