今オフの補強ポイントを考える 前編

 今シーズンの総括で話した通り、今オフは前回以上に補強が来季に向けて重要になってくるのではないかと思います。
 それだけに補強ポイントをどのように考えるかが気になるところですが、その前にまず今季後半チームの軸となっていた選手は誰なのか、ここだけは変えられないといったポイントはどこなのかを考えてみたいと思います。
 それがわかりやすく出ていたのが、天皇杯での起用法はないかと思います。


 週の中日となる天皇杯ではレギュラーメンバーを休ませ、大幅にメンバーを変えることが多かった関塚監督。
 ジェフでの初陣となった天皇杯2回戦長野戦は、週末に行われた試合だったこともあってほぼベストメンバーでした。
 3回戦柏戦から大きくメンバーを変えていき、当時のレギュラー選手では若いキム、大岩のみがスタメンで起用されています。
 続く4回戦でもレギュラー選手でのスタメン出場は大岩のみで、その他のスタメンは普段控え組となっていたい選手たちでした。
 大岩の起用に関してはDFラインの選手が全体的に少なく、怪我人もいたために使わざるを得なかったといった事情があったのではないかと思います。



 しかし、10月15日に行われた天皇杯準々決勝C大阪からは、一部レギュラーメンバーが出場するようになっていきました。
 当時はレギュラーメンバー以外に怪我人が増えていたために仕方なく起用していたのではないかと思っていたのですが、天皇杯準決勝山形戦でも同じようにレギュラー選手を起用。
 準々決勝からは主力メンバーを休ませるだけでなく、勝ちたいという欲も出てきたところがあったのではないでしょうか。


 その準々決勝で起用されたレギュラー選手というのが、高木、キム、勇人、中村、谷澤。
 そして、準決勝で起用されたレギュラー選手が、高木、キム、健太郎、中村、谷澤。
 ボランチに関しては違うもののその他の4選手は固定ということで、このあたりが今季終盤における軸と考えられていた選手なのではないかと推測します。



 実際の試合を思い返しても、キムはここ2年間で大きく成長し、今シーズン終盤はキムが相手のエースを封じ込め、試合に勝てたというケースも少なくなかったと思います。
 左サイドの中村、谷澤のコンビも相手チームの監督に名指しで警戒されていたことが多く、今年1年を通じて攻撃面の重要なポイントだったと言えるでしょう。
 また、GKの高木は岡本復帰以降もポジションをキープし続けていました。
 これらの選手は来季も有力なレギュラー候補と考えられることになるはずですし、ぜひともジェフに残って欲しい選手たちということになると思います。


 この中で特に心配なのが、川崎からレンタル中のGK高木の去就ということになるのではないでしょうか。
 川崎も今季1年で見ると、確固たる正GKが定まっていない印象です。
 ロンドン五輪のGK安藤など若手選手もいるので、そういった若手選手をどのように評価しているのか。
 来季の川崎はACL出場権もなくなりA契約枠も狭まる中で、今年ジェフでA契約となった高木を戻すのかどうか。
 もし高木が川崎復帰となれば、ジェフとしては当然レギュラー候補のGKをまた探さなければいけなくなると思います。



 レンタル組という意味では、シーズン終盤にジェフでポジションを勝ち取った幸野の行方も気になります。
 FC東京も監督は変わらず中盤の層は厚いと思うのですが、クラブとしては幸野への期待も高いものだったと思われますし読みにくい状況ですね。
 今までにも大分、町田、長崎と武者修行を積んできた選手ですし、FC東京以外への移籍の可能性も否定はできないと思います。
 ジェフでの幸野は攻撃面ではあまり目立ちませんでしたが、シーズン終盤は守備面で大きく貢献。
 右サイドのスペースが出来てしまうチームの穴を埋めるために、SBのようにプレーしていた試合もありました。


 来季も同じような守備の問題が続いてしまうとなれば、右SHに守備の出来る選手は必須になると思います。
 関塚監督体制になってからは、右SH、右SBに守備の出来る選手を起用することによって、左サイドの中村と谷澤が攻撃に重点を置けたという面も大きかったのではないかと思います。
 井出はその点で難しく、田中は技術面などに課題がありますので、総合力の高い幸野は残したい選手の1人だと思います。
 ただ、その守備重視のSHという仕事に幸野が満足して、ジェフを選んでくれるかどうか…。
 現状のままなら右SHをこなせる選手は多いので幸野が残れば補強の必要はないかもしれませんが、もし残せなければまたレンタルなどで守備が出来て走れるSHの補強を考えないといけないかもしれませんね。



 より悩ましいのが、右SBだと思います。
 山口智がDFラインを統率すると最終ラインが左サイドに寄る傾向にあったため、智が退団することになり多少その点で改善される可能性はあるのかもしれません。
 しかし、それでも鈴木監督は5月以降そのバランスを改善していましたし、関塚監督になって極端にSBが絞りスライドする意識の少ない守り方になったため、右SBにはカバーリング能力がより大きく求められるようになったのだと思います。


 そのためシーズン終盤はカバーリング能力に長けた山口慶がレギュラーで、練習でも一度勇人が試されるなど右SBにボランチ的な守備能力が要求されていました。
 しかし、慶は高さや強さには不安があり、セットプレーでの失点も増えてしまった印象です。
 そこで11月9日の第40節松本戦では大岩がSBとして一試合スタメン復帰したわけですが、やはり広いスペースを守りきれず相手にやられてしまいました。


 そう考えるとカバーリングもできて高さ・強さのあるSBが欲しいところですが、そういった選手はJ1チームも含めてどのクラブも欲しがるところでしょうし、慶、大岩が残るのであれば中途半端に補強をしてもあまり意味はないようにも思います。
 期待の北爪も加入しますが、新人にカバーリングなどを求めるのは難しいところがあるのではないかと思います。
 運動量豊富にアップダウンできて攻撃力のあるSBという話だそうですので、現状の守備組織が続けば右SBとしては難しいかもしれない。
 むしろ右SHの方が、伸び伸びとプレーできる可能性もあるのかなと思う部分があります。