2014シーズン後半を振り返る 前編

 例年であればこの時期に今年1年を振り返るわけですが、今年はシーズン半ばに監督交代が起きてしまいました。
 結果的にシーズン前半と後半で、大きく意味合いの異なる年となってしまった印象です。
 シーズン前半に関しては、以前鈴木監督を振り返るエントリーを前編後編に分けて書いていますので、詳しくはそちらに譲ります。
 今回は鈴木監督解任後に関して取り上げていきたいと思います。


 軽くだけ説明すると、今季開幕時はオフに米倉、高橋が抜けた分、ボランチを積極的に攻撃参加させる狙いがあったと思うのですが、それがうまくいかず。
 兵働をボランチで起用し成績を出し始めたましたが、守備には不安があり4月13日に湘南と対戦し大敗。
 さすがにこれは厳しいか…と思われていたのですが、4×4のボックスシステムを作り上げ攻守のバランスに安定感が生まれ、5月は無敗で乗り切りました。
 ここからの巻き返しに期待していたのですが、6月21日の第19節北九州戦に敗れたところで突如監督交代が発表されました。



 その後、斉藤代行監督による2試合(1勝1敗)を挟み、関塚監督がリーグ戦で指揮を執ったのは7月20日の第22節栃木戦から。
 この頃はリーグ戦終盤にレギュラーから外れることになった、大岩、井出、兵働、岡本などがスタメンで出場していました。
 特に鈴木監督体勢で象徴的だったと言えるであろう兵働・健太郎のボランチコンビが、長らく継続されたのは意外でした。
 シーズン終盤にはベンチ入りもできなくなった大塚などもこの頃は試合に出場しており、特に中盤から後方にかけて鈴木監督の作り上げたものが継続されていた印象があります。
 小さな怪我などもあったようですが、大塚は8月17日の第27節熊本戦に出場して以降、天皇杯も含めて公式戦出場が途絶えてしまうことになりました。


 当初大きくメンバーは変わらなかったものの、前線と攻撃面に関しては変化がありました。
 斉藤代行監督2試合目となった大分戦で、2ゴールをあげた森本を積極的に起用。
 栃木戦でも森本とケンペスの2トップにして、森本を前線でデコイとしてケンペスをうまく活かしていた印象でした。
 ケンペスは中盤に下がりたがるため、森本が相手最終ラインをひきつける役割を果たし、下がった位置から前に出ていくケンペスの強さを上手く使えていたように思います。
 このあたりのFWの使い方に関しては、さすがと感じる部分もありました。
 ボール運びに関しても縦に早い攻撃を掲揚し、相手守備陣の穴を見つけたら素早く前線にボールを送る展開を作っていきました。
 それまでのジェフにはない動きだったからこそ、関塚監督就任直後には特にそこが目立ち、相手チームも戸惑った部分があったのではないでしょうか。



 しかし、一方でパスワークからの崩しは、なかなか出来なくなった。
 相手を崩せない分、遅攻では兵働から中距離のロングボールや中村からのアーリークロスなど、アバウトな攻撃が目立つようになっていきます。
 アバウトでもゴール前に積極的にボールを供給する分、相手ゴール前での回数は増えるけれども確率はなかなか上がっていかない印象で。
 関塚監督就任直後はチャンスを作れていたカウンターも、徐々に他チームに警戒されカウンターからの攻撃が作れなくなっていきました。


 守備においても時間が経つにつれ関塚色が出ていき、SBが中央に絞り、ボランチはCBの前を固めることを優先し、CB二人はゴール前で跳ね返すという形になっていきます。
 攻撃でも相手の裏を取ることを重視する関塚監督ですから、守備でもCBの裏を取られないことを重要視しているのではないでしょうか。
 実際それによって、CBが裏を取られる回数は減っていった印象があります。


 しかし、その分低い位置にいる相手のボランチやサイドの外が空いてしまうことが多くなっていき、そこから押し込まれる時間が長くなり、チャンスを作られる回数も増えてしまう。
 この課題はシーズン終盤まで響いてしまったように思います。
 特に当初はボランチが広いエリアをカバーしなければいけないこともあって、兵働のエリアや大岩の外などを狙われるパターンが多く見られました。
 総じて戦術面においては、監督が代わってプラスもあればマイナスもあった印象で、根本的な問題への解決は至らなかったという印象があります。



 9月20日の第32節岐阜戦、23日の第33節愛媛戦では、兵働に代わってナムをボランチとしてスタメンに大抜擢。
 しかし、やはりナムはフィジカル面こそ兵働より期待できるものの、そこまで守備の上手い選手ではなく守備に穴を作ってしまいます。
 愛媛戦では健太郎がナムに代わって後半頭から出場し、見事なカバーリングを見せて守備を立て直しました。
 これによって結果的にボランチ・ナムの課題が浮き彫りなってしまい、ナムもこれ以降は公式戦の出場機会はなく今シーズンを終えています。


 8月3日の第25節湘南戦では途中から1ボランチを、8月10日の第26節横浜FC戦の途中からは3バックを試したように、基本的にじっくり1つの戦術を追及していくというよりも、選手の起用法なども含めて流動的で、選手とシステムの組み合わせでチームを作っていく監督なのだろうなと思います。
 オナイウ、山中、ナムなど調子のいい選手を積極的に使っていこうという意思も感じましたが、シーズン終盤は彼らの出番も激減し逆に見切りの早さを感じる部分もありました。
 縦への早いボールも含めファンやサポの受けは良かったものの、成績では引き分けも多く勝点率では監督交代前と大きく変わらない状況が9月末まで続いていました。
 それでも順位が上がっていったのは、他チームが落ちてきたことが大きかったと思います。



 しかし、そんな中で転機となった試合が、9月28日の第34節東京V戦だったと思います。
 後編に続きます。