山口智「うちの選手は戦っていない」

 さすがに山形戦後のコメントは、今になって読んでいても辛いものがありますね。
 しかし、辛い現実でも直視しなければいけないのが、敗者のなすべきこと。
 このままクラブが変わらず、同じ過ちを繰り返していいというのなら構わないでしょうが、それは今以上の辛さを伴うものだと思います。
 しっかりと今を見つめ直し、変わる努力をして行く必要があるということではないでしょうか。

山口智「皆さんが見てわかるようにうちの選手は戦っていないですよね。今日の試合ももちろん大事ですけど、常日頃やっていることが出ます。そこができていないところはそのままできていない状態で出る」(J's GOAL

 山形戦、低調な試合内容だったと思うわけですが、智は常日頃からの問題が出たと見ているようです。
 そして、「戦っていない」とも話しています。


 サッカーにおいて「戦う」という言葉は、精神的に強い気持ちを持ってプレーすることを言うことが多いのではないでしょうか。
 確かにこの試合では、失点後に気持ちが落ちてしまったところがあった気もします。
 加えてスタジアムの雰囲気も前半から内容が良くなかったせいか、試合前から飛ばしすぎたのか、後半開始時には勢いが落ちていた印象でした。


 また、個人的には90分を通じて集中して戦いきれなかったこと、チームとしての戦い方がはっきりしなかったことも敗因としてあげられると感じます。
 そういった意味でも、「戦えなかった」と言えるのかもしれません。

山口智「うちはロングボールを入れてというスタイルじゃないし、不得意なので。それをやると中盤が空いてきてしまったので。練習からもっとやっていかないといけないと思います」

 ロングボールを蹴り込む形は、練習でやっていなかったようです。
 やはり自発的にああなったというより、ボール回しで相手のプレスをかわせなかったため、蹴るしかなかったという側面が大きかったのでしょう。


 健太郎はこのようなコメントを。

佐藤健太郎「個々にやりたいことがあるんだけど、それをチームとしてどう機能させるかというところがうまくいかなかったかなという印象があります。勇気を持ってプレーするということを掲げてというかイメージしてやるんですけど、縦に急いで、縦、縦とやることもそうかもしれないけど、切り返して中にボールを付けることも勇気を持ったプレーだと思います。そういう使い分けをうまくしながらやらないと」

 このコメントは山形戦だけの話をしているのかもしれません。
 しかし、智も言っているように、基本的にはあの試合が特別悪かったというわけではなく、今までの課題が出た試合だったと思います。
 チームとしてどう戦うかはっきりせず、縦へという思いばかりが先行して、焦ってしまった部分もあったのかもしれません。



 山形も同じように長いボールが増えてしまった前半ですが、それでも相手を押し込むためにジェフのSB裏や、高さのないボランチ付近を狙うなど意図のあるロングボールが多かったと思います。
 ディエゴがいない分、足元のポストプレーでは苦しみましたが、それでも高さに特徴のある1トップの林が落として、2シャドーが受けて、縦に仕掛けるかサイドに展開という形はできていたと思います。
 ようするに、普段通りの人とボールの動かし方ができていた。
 そして、守備においても運動量をベースとしたハイプレスと、全員守備による粘り強い対応を90分間やり続けていました。


 そういったサッカーが山形のスタイルであり、山形のベースとなる戦術だった。
 ベースとなるスタイルを築き上げているからこそ、あのような難しいシチュエーションでも根底となる部分はぶれなかったと言えるのでしょう。
 だからこそ、ベース作りが重要だったわけですが、今のジェフはそこを軽視して目先の結果や勢いばかりを見ている部分があるように感じます。



 山形の石崎監督は智と同様に、戦うこと、気持ちの部分の重要性を説いています。
 そして、このような話も出ていました。

今のJ2の勝負を分けるポイントみたいなものがあれば教えてください。
石崎信弘監「一つは湘南にしても松本にしても継続があったんじゃないかなと。特に湘南の場合、J1に上がってJ2に落ちたら普通は(監督が)クビになるけど、そのまま継続して監督を代えずにそのままやった結果が今季は本当に素晴らしい成績でダントツの1位で上がれた。やはりそれはフロントの力が良かったんじゃないかなと、考え方とかですね。やはりそういう継続が松本の場合も反町監督がずっと継続してやられている。やはりそういうところが今回の2位という昇格につながっているんじゃないかなと。まあ、千葉の場合は今季で(J1昇格プレーオフは)3回目だと思うんですけど、3回とも監督が違うというというところ。やはりそういうところにもしかしたら大きな問題があるのかもわからない」(J's GOAL

 ごく当たり前の話ではあると思うのですが、逆に言えば今のジェフはそういった当たり前の問題を抱えたクラブだということ。
 継続性のなさ、方向性の曖昧さ、我慢弱さ。
 そういったものが、改めて浮き彫りになったシーズンだったとも言えるのかもしれません。



 智や健太郎のコメントと合わせて、石崎監督のこの話も非常に重いものですね。
 また振り出しに戻ってしまった印象がありますが、そういった話に耳を傾けながらどのようなチーム・クラブを目指すのか、今一度真剣に考えていかなければいけないのでしょうね。