森本「悪気はなく一生懸命になっていた証拠」

森本選手の検査結果について(ジェフ公式サイト)


 いろいろと取り上げるネタはあるのですけど、まずはやはり森本に関して。
 香川市内の病院で検査を行った結果、異常はなかったという発表が公式に出ています。
 改めて確認できて良かったです。
 当日はクラブ公式サイトに記載された森本のコメントにもあるように、ジェフサポーターだけでなく讃岐サポーターからも森本コールが起こりました。
 試合後、ジェフ選手が讃岐サポーターに挨拶に行ったことも含めて良い光景…と言っては、負傷した森本に悪いですけど、感動的なシーンだったのではないかと思います。


 そして、今回発表されたコメントでは、森本が「相手選手も悪気はなく一生懸命になっていた証拠」と話しています。
 このコメントも非常に大事ですね。
 こういったアクシデントが起こった場合、怪我をしてしまった選手はもちろん痛いわけですけれども、怪我をさせてしまった相手選手にも精神面などにおいての傷が残る可能性もある。
 そこをしっかり森本が「相手も悪気がなかった」と公式なコメントとして出したことは、相手選手はもちろんこと、相手選手周囲への影響も含めて重要なことなのではないでしょうか。
 クラブがコメントを促したのかどうかはわかりませんが、コメントを読むと森本らしい素直さが出ている内容だと思いますし、少なくとも文章は本人によるものなのではないかと思います。
 森本の素直な部分が出た印象も受けます。



 改めてアクシデントが起こったシーンを思い返すと、前半28分に高木からのクリアボールを森本が相手選手と競り合い、後方から相手の頭部が森本の頭部と接触。
 森本は地面に倒れ込んだ瞬間にまったく受け身の体勢を取れなかったことから考えて、空中で意識を失ったのだと思われます。
 すぐに勇人が駆け寄り、メディカルスタッフを呼びます。


 その後すぐには意識が回復せず、江尻コーチがAEDを持って駆け寄る事態に。
 ただ、テレビで見る限りですが、呼吸はしていたように見えましたし、AEDも使われなかったのだと思われます。
 その後、森本の腕などが動くことが確認でき、意識が回復した模様です。


 本人は問題ないと思ったのではないでしょうか、頭を上げたがる仕草を何度か見せていましたし、この辺りで個人的にはある程度安心しました。
 もちろん一度意識が回復しても、その後大きな問題が見つかる可能性はあるわけで油断はなりませんが、頭痛や吐き気、めまいなどがあれば頭を上げたがるということはあまりしないでしょう。
 今回発表されたコメントの「救急車で運ばれるとは想定しなかった」というのは、この時の思いだったのではないかと推測します。
 中村によると、その後森本はロッカールームに帰ってきたとのことで、それほど状態は軽いものだったと考えていいと思います。
 日刊によると飛行機で千葉に帰れたほどだったようです。



 救急車で搬送されたのも、念のためという部分が大きかったのではないかと思います。
 ちょうどスポーツ界の脳震盪に関してはフィギュアスケートなどでも話題になっていたので、万全を期した可能性もあるのかもしれませんね。
 また、JFAが発表している「Jリーグにおける脳震盪の指針」を読むと、以下のように書かれています。

受傷時に数秒単位以上の意識消失や健忘があった場合には、たとえ意識が正常に復したと思われても病院へ搬送をする事が望ましい。

 これは「24時間以内の対応」ということであり、即座に救急搬送せよというものではないですが、どちらにせよ病院に搬送した方がいいという一文が書かれています。
 頭部における激しい接触があればCTなどで確認すべきでしょうから、当然の措置とも考えられるのかもしれませんが、先ほどの日刊の記事にはこのような情報も出ています。

千葉関係者によると、森本は検査で軽い脳振とうと診断され、試合終了前には会場へ戻った。「ぶつかった時の記憶はない」と話しているが意識ははっきりしており、チームと一緒に空路で千葉へ戻った。

 意識消失もあったのだろうと思われますが、この記事が確かならば健忘も見られたということになります。
 それらもあって、病院に搬送されたということになるのでしょう。



 しかし、救急車の到着が遅かったのが、気になる部分ではあります。
 救急車の到着時間は、2013年で全国平均8.3分とのこと。
 今回は軽く10分は越えていましたから、平均より時間がかかってしまったことになります。
 都市部ではないためなのか、あるいは救急車の要請までに時間がかかったのか。
 当たり前ですが、あくまでも平均8.3分は要請からの到着時間ですしね。
 それまでに容体の確認、救急車の必要性の有無などをチェックする必要性がありますし、重症ではないと判断されたからこそ要請に時間がかかった可能性もあるかもしれません。


 ただ、もし脳梗塞などが発症していた場合は、発症してから処置までの一定時間が「ゴールデンタイム」とも呼ばれるほど早期処置が重要と言われているだけに、考えると怖いものがありますね。
 今回の場合は現場で緊急性がないと判断されたからこそ時間がかかった可能性もありますが、万が一そうでなかった場合は今後の対応方法なども考え直すべき部分があるのではないでしょうか。
 ちなみにJリーグのライセンスでは、スタジアムに救急車を待機させなければいけないという規定はありません。
 近年、救急車の出動要請過多が社会問題となっており、先ほどの平均到着時間がここ数年伸びているのも、それが原因とされているそうです。
 そのような状況でJリーグの全スタジアムに救急車待機を義務付けるのは、無理があるということなのでしょうね。
 このあたりも色々なことを考えさせられるところではあります。



 先ほどの指針によると森本は今後復帰プログラムを受けることになり、最低でも1週間は復帰までに時間がかかることになります。
 それによって、プレーオフには影響がありませんが、26日の天皇杯山形戦は欠場が決定しました。


 これまで天皇杯ターンオーバーで戦ってきた関塚監督なので、森本の欠場自体は大きな影響はないかもしません。
 それよりも讃岐戦でケンペスを長い時間プレーさせることになったために、そちらの方が気になるところではないかと思います。
 ケンペススーパーサブとはいえ、もはや"12番目のレギュラー選手"といった立ち位置ですし、当然プレーオフにおいても重要な存在になりうる選手ということになります。



 そのケンペスを中2日の天皇杯で使うかどうか。
 しかも、讃岐戦、山形戦と遠方での試合ということになります。
 その後、1週間半試合はないわけで休養は取れるとは思いますが、どういった判断になるか注目ですね。


 改めてプレーオフ初戦がないという点が、ありがたく感じる部分でもあると思います。
 森本に関してもプレーオフ決勝に向けて時間はありますから、焦らずしっかりと体調をあわせていってほしいところですね。