幸野が磐田戦で移籍後初ゴールを記録

幸野志有人「(得点シーンは)モリくん(森本貴幸)が自分を見えているか見えていないかというところもあって、パスが出てくるかこないかどっちだろうというのがありました。ボールが来てからもトラップするかしないかというのもあったんですけど、ただ、左足で打つよりもトラップして落ち着いてシュートを打ったほうがいいかなと思ったし、狙ったというよりは振り抜いた結果という感じなので。(J's GOAL

 幸野は磐田戦でのゴールが、移籍後初ゴール。
 レンタル元のFC東京では今年出場機会がなく、J-22で参加したJ3でも得点はなかったので、幸野も大岩と共に今季初ゴールということになりました。


 あのシーンは、シュート以上にあのポジションにいたことが重要だったように思います。
 レギュラーポジションを確立して、他選手との関係も良くなってきた印象があります。
 GK八田が前に飛び出していたこともあって、コースを「狙う」ことよりもゴール方向に「蹴り込む」ことが重要だったということでしょうか。



 磐田戦では得点シーンでも何度かボールにうまく絡めていたと思いますし、全体的に良い出来だったと言えるのではないでしょうか。
 しかし、前節の群馬戦では、ほとんど目立たずに終わってしまいました。

佐藤勇人「やりきることがもっと必要かなと思いました。コーナー付近でボールをつないで終わって相手にボールを取られることが多かったので、そこだったらCKを取ることが必要だったし、磐田はうちが裏に出すパスを嫌がっていたので、もう少しそこを狙っても良かったと思います。

 これは磐田戦での感想とのことですが、「コーナー付近でボールをつないで終わって相手にボールを取られることが多かった」というのは、この試合に限らず起こることですね。
 要するになかなかサイドでボールを繋げても、そこから相手を崩す形がなかなか作れていないわけですが、それでも磐田は守備に課題もあったのでチャンスを作ることが出来た。
 しかし、前節の群馬戦では群馬がしっかりと守備の準備を整えていたので、サイドからの攻撃がチャンスにもならなかったと。
 守備に関しては磐田よりも群馬の方が安定していたと思います。


 ジェフはサイドでパスをつなぐ時間帯は良くないんですよね…と言うような話を、最近ジェフ戦での解説が多かった興津大三も述べていましたね。
 ずいぶんと関塚監督贔屓なコメントをしているなとtwitterでも言われていましたが、それでもあのサイドでのパスワークに関しては評価していませんでした。
 まぁ、縦に速い攻撃が好みなのかもしれませんが。


 ジェフ戦での群馬のようにしっかりと準備をして安定した守備組織を崩すことが現チームの課題になっている印象なのですが、そういった試合展開になるとパスをつないでも崩せないので"動き"の中で生きるタイプの幸野などは良さが出てこない。
 これはパスワークには非常に大きく貢献している町田などにも同様のことが言え、勇人にも似通った部分があるでしょう。
 攻撃が行き詰った時に自分で仕掛けてチャンスを作れないという課題が、幸野、町田、勇人あたりには言えるように思います。



 それもあって、群馬戦では後半9分という早い時間帯に、幸野に変わって井出が投入されたのだと思います。
 しかし、井出も出場機会が減ったこともあってか、一時期の勢いはなくなってしまった印象で。
 群馬戦でもいいボールの持ち方をする機会は1,2度あったかと思うのですが、そこからの仕掛けのキレはあまり感じませんでしたね。


 10月上旬に幸野と井出のポジション争いに関する話をした頃には、まだ井出にも勢いを感じていたのですが、ここ数試合はそれまでのような仕掛けを見せられていません。
 井出のようなアタッカーというのは勢いが大事だと思うので、ポジションを失ってしまった影響は大きいのではないかと思います。
 チームに勢いのある状況だからこそ、自信が乗りきれていないことによって、悩みのようなものを抱えている部分もあるのでしょうか。
 確かに井出には守備の課題もあるとはいえ、鈴木監督の頃のようにチーム全体で組織的に守る状態が作れさえすれば、井出も十分に守備で貢献できることは証明できています。
 大岩もですが、井出もまた監督交代に影響されてしまった部分がある印象です。



 磐田戦では井出ではなく、ジャイールが途中交代のカードとして使われました。
 しかし、ジャイールも出来はあまり良くなかった。
 サイドの奥でボールを持って、相手が接近して来たところをぬるっと交わすのがジャイールの良さだと思うのですが、そこで抜き切れずにボールを失ったシーンもありました。
 守備の方でも、ポジションに戻ってもそこからのアプローチが遅く、相変わらず穴を作っていました。
 井出の出来も良くないとはいえ、あの出来のジャイールを選ぶというのはちょっと意外に思うほどでした。
 基本的なジャイールの出来は今までと変わっていない印象でしたし、今後を考えても井出の感覚を戻すために積極的に使うべきではないかと思うのですが…。


 怪我などもあって山中、大塚、ナム、田中など2列目の有力候補が、なかなかベンチにも入れていないのが現状です。
 そのため、町田、幸野、谷澤の次の選手が考えにくい状況となってしまいますね。
 もっとも関塚監督は積極的にチーム・選手を動かしたがる監督なので、候補が減ったことが逆にチームを固める上では良かったのかな?とも思わなくもないですが、結果的に選手層が薄くなってしまっているのは今後の不安材料だと思います。



 ケンペスジャイールといった選手たちは一発はあるのでしょうし、特にケンペススーパーサブとしての期待も大きいと思います。
 けれども、それはあくまでも試合途中からのオプションということになるのでしょうから、スタメンでケンペスなどを使うとまたサッカーが大きく変わってしまうことになるでしょう。
 井出はケンペスなどに比べれば現状のスタメン3人に近いプレーが出来る選手だと思いますから、残り試合も少ない状況ですけれどもここから巻き返していってほしいところですね。