森本の奇跡的なゴールで勝利

 昨日もお伝えした通り、1日遅れの大分戦感想です。
 時間的には、やはり1日明けたほうがすごく楽ですね。
 今後検討したいくらいですが(笑)
 あるいは、試合直後の感想をもっと簡略化するか…。
 ある程度まとまった文章量を書かれているライターさんは、試合の見直しなどじっくりとやられているんでしょうか。


 さて、J1も終盤戦に入ってきましたが、今年J1に昇格したG大阪、神戸ともに頑張っていますね。
 神戸は現在9位、G大阪にいたっては2位でリーグ、ナビスコ天皇杯の3冠の可能性を残しています。
 昨年ジェフはG大阪、神戸に負けていませんし、米倉、高橋といった昨年ジェフで主軸だった選手が活躍しています。
 それぞれ状況は変わりましたが、両チームの頑張りはジェフにとっても1つの励みというか、指標となるかもしれませんね。
 もちろん、一方で徳島のように昇格しても1年間順位的に苦しみ、そのまま降格してしまうチームもあるわけですから、昇格が決まったとしてもしっかりとした準備が出来るかどうかで、天と地ほどの差が出来るのだと思います。
 とはいえ、まずは昇格を決めることが大事ですね。
■谷澤の一発からジェフが先制
 天皇杯C大阪戦を挟んでのリーグ戦ですが、ジェフはベンチ入りメンバーを含めて札幌戦から選手を一切変えてきませんでした。
 ジャイール天皇杯でも使われませんでしたが、どのように評価されているんでしょうね。
 対する大分は土岐田、木村がスタメンから外れ、阪田、松本怜がスタートから出場しました。



 大分は立ち上がりから積極的にプレスをかけてきます。
 前半開始直後、大分左サイドから為田が仕掛けて慶を抜き去り、中央に合わせるもシュートは決まらず。
 そこで得たCKを伊藤大介の蹴ると、ボールはニアで相手選手にあたりハイボールとなって、ゴール前で競り合いに。
 GK高木が相手と競り合いもたつきますが、なんとかボールをキャッチします。
 ここまで前への積極性で良さを出し、岡本の穴を十分に埋めてきた高木ですけど、ハイボールの処理は苦手な部分があるのかもしれません。
 後半立ち上がりにも、クロスへの対応が曖昧になってしまうシーンがありました。


 前半5分には大分のカウンター。
 中盤中央でダニエルが粘って右サイドに展開。
 松本がマイナスのクロスを出してみどるシュートも枠外。
 大分がサイドから早い攻撃で攻め込んでいきます。


 その後、ダニエルが一時的に負傷しピッチを離れたことで、大分が前への勢いを落としてきました。
 その分ジェフがボールを持つ時間帯が長くなりますが、なかなか崩しの形は作れない。
 大分が前に出てこず、ラインも深く守ってきたため、早い展開も作れずにいました。



 しかし、前半14分。
 ジェフが右サイドでパスを繋いでいる状況から、町田が長めのボールを中央にいた谷澤めがけてパス。
 これをペナルティエリア前で受けた谷澤が個人技で相手を抜き去り、そのままシュートを放って先制点。
 それまでチャンスの少なかったジェフですけど、谷澤の一発で得点を奪います。


 遅攻でのチャンスが作れないジェフですけど、町田がサイドに流れることによって、サイドでパスをつなぐことはできていると思います。
 そこから先がなかなか構築できていないわけですが、このシーンでは町田だけでなく森本もボールを受けにサイドによっていった。
 それによって、大分の守備が極端にサイドに偏ってしまい、中央の谷澤のマークは1人だけになっていました。


 大分CBとしては「森本をしっかりマークせよ」という指示だったのでしょうが、CB二人が同時にサイドに付いていったのはあまりにも軽率でした。
 谷澤のマークに右SBの若狭が付いていたのでそこは間違いないのでしょうが、そのカバーにいるべき阪田がサイドに寄り過ぎていました。
 久々のスタメンということもあったのかもしれませんが、ちょっとお粗末だったかなと。
 逆にジェフとしては、そこを町田がしっかりと見ていて、谷澤がキレのある仕掛けを見せてくれましたね。



 その後もジェフはなかなか攻撃では形を作れませんが、守備では素早く前線からプレスをかけていき、相手に攻撃を作らせません。
 やはり幸野の素早いプレスと運動量は、プレスの面でかなり効いていますね。
 しかし、前半20分はプレスを交わすように長いボールをジェフの右サイドに蹴りこまれ、ピンチを作られてしまいます。
 そこから為田が下がりながらのクロスを上げられると、これが中央であわずポスト直撃。
 ひやっとする場面でした。


 それ以降、徐々に大分が攻め込む時間帯が増えていきます。
 大分は左サイドからのビルドアップでは幸野が前方にいるので形を作れず、この時間帯は自然と右サイドの若狭や中央でタメの作れるダニエルから攻撃を作る展開が増えていました。


 前半24分には、大分による右サイドからのCK。
 一度ジェフが跳ね返したボールを中盤で拾われ中央に合わせられると、最後はファーでシュートを放たれますがゴール右隅を逸れます。
 前半26分にも智から右サイド高い位置にいた慶へのロングキックを、相手にヘディングで跳ね返されてカウンター。
 慶の裏を為田に取られ中盤中央に合わせられるも、智が前に飛び出してシュートは枠外。
 智が自分で火消しをしたことになりますね。


 前半34分、大分左サイドからの距離のあるFK。
 伊藤大介が蹴ったボールに対して、高木が競り勝ちポスト直撃のシュート。
 これも決まらず、大分としては2度もポストに泣かされたことになります。


 その直後にはジェフの攻撃。
 右サイドで町田、幸野が絡んでパスをつなぐと、中盤で勇人がボールを受けて森本にアーリークロス
 相手がマークを外しフリーな状況で、ピタリとタイミングも合いましたが、森本が放ったヘディングシュートはGK正面で決まりません。
■試合終盤に点を取り合う
 先制点を取るも、前半途中からやや大分ペースだったかなと思います。
 後半立ち上がりには、大分がCKからの流れでクロスをからチャンスを作るも決まらず。
 後半5分、今度はジェフが左サイドからのFKで中村が鋭いボールを蹴りますが、中央に合わず。
 後半10分にはジェフのカウンターから幸野が右サイドを抜け出し、速いクロスを蹴りこみますが森本が合わせきれません。


 後半序盤は大分の前からのプレスが弱まり、ジェフがボールを持ち込む時間が長かったですね。
 ただ、前半同様に中央での崩しは作れず、サイドにボールを追い込まれるようなパターンが多いため、なかなかチャンスというところまでは作れませんでした。



 後半25分には、為田が慶を交わして中央にクロス。
 中央ではじかれたボールを、伊藤に代わって途中投入された風間が拾い、シュートを放ちますがGK正面。
 為田は右サイド低い位置でボールを保持して、一度慶をひきつけるためにドリブルのスピードを落としてから、加速してスカッと交わしていきましたね。
 キレのあるドリブラーだと思います。
 これが両チーム通じて、久々のチャンスでした。


 ここからはまた大分のペース。
 ジェフは全体のラインが下がって、中盤での守備が機能しなくなっていきました。
 後半28分には谷澤が若狭にかわされ、風間がバイタルエリアで受けてGK正面のシュートまで持ち込みます。
 その前にもダニエルへのチェックに行けず、バイタルエリアを相手に取られるなど、プレスが効かなくなっていました。
 大分は4-1-4-1でしたが、後半からジェフはダニエルを誰がマークするのか、対応が曖昧になりがちだったと思います。



 後半31分、ジェフは勇人を変えて、大岩を投入。
 大岩を右SBで起用して、慶をボランチに回しました。
 続いて後半34分には幸野に変えて井出を投入し、状況の改善を図ります。


 しかし、後半36分には大分の決定的なシーン。
 一度攻め込まれたジェフが、GKを含めて後方低い位置でパスを回し、なかなか前方にパスを回せない状況が続くと、ダニエルが慶の横パスを奪い、そのままGKと1対1のシュート。
 これは決まったかと思ったもの、ゴールネット左脇をかすめて得点はならず、ジェフとしては命拾いしたシーンでした。
 高木はなまじパスを繋げてしまうから、こういったシーンになりがちなところがありますね。
 高木だけの問題ではないですけど、チーム全体で無理ならクリアをするといった判断が必要になってくると思います。



 そして、後半44分、大分の攻撃。
 大分が右サイドでパスを細かく回していくと、為田が完全に抜け出してそのままシュート。
 これが決まって、1-1とされています。
 前方には慶がいましたが、疲れていたのか久々のボランチで戸惑った部分があったのか、ついて行けずに交わされてしまいました。
 

 この同点弾で苦しい展開になったかと思いましたが、後半45分。
 前線から少し下がってボールを受けた森本が反転して相手を交わすと、そのまま豪快にシュート。
 相手GKは反応して触っていましたが、そのまま弾いて勝ち越しゴールが生まれます。



 今度こそこれで決まったかと思いましたが、大分も諦めません。
 森本の得点直後は大分のロングキックが中央で流れてシュートまで持ち込まれ、GK高木がセーブ。
 ただ、これは中央の攻め合いで大分のファール判定となりました。


 後半48分には大分後方からのロングキックをダニエルが拾い縦パス。
 ボランチの間を簡単に通されてしまいます。
 そこから右サイドに展開されてクロス。
 これ智が跳ね返すものの再び相手に拾われてクロスをあげられ、ゴール前の風間がフリーでヘディングシュートを放ちますが、ゴール右隅を逸れます。


 ジェフは完全にボランチの足が止まっていて、全体のラインも下がり厳しい状況でした。
 それでも7分もの長いロスタイムを何とか逃げ切って、2-1の勝利をつかみました。 
■中盤のプレスが機能
 森本の劇的なシュートもあって、かなり盛り上がった試合だったと思います。
 両チームとも良さが出ていて、試合内容も好ゲームだったのではないでしょうか。
 ダニエルのシュートや再三あった風間のチャンス、ポスト直撃のシュート2本と、決定的なチャンスで言えば大分の方が多かったようにも思います。
 内容で言えば引き分けでもおかしくないような試合だったと思うのですが、それだけ今のジェフには勢いがあるということなのでしょう。



 個人的には勝因は守備だったと思います。
 特に幸野の加入によって、プレスが機能するようになったことが非常に大きい。
 ここ数年のジェフというのは、なかなか守れる2列目の選手がいなかった。
 町田もチェイシングこそ得意ですけど、どうしてもフィジカル的なハンディがあるので、追いかけられても奪いきれない。
 幸野は追いかけた上でがつっと行けるから、チェイシングが非常に効果的ですね。


 幸野がプレスで貢献することによって、町田のチェイシングも単独ではなくなり、より価値のあるものになってくる。
 幸野と町田だといった2列目の選手が穴なく守備をしてくれるから、森本も追いかけに行きやすい。
 このメンバーで数試合戦ったことによって連携も深まり、よりプレスが機能するようになってきました。
 プレスが機能するようになったことによって簡単には相手に攻め込まれなくなり、試合の流れも明け渡しにくくなった。
 これがここ数試合で感じる一番の変化ではないでしょうか。
 また、ゴール前ではやはりキムが成長して、ポジショニングが安定したことも大きいですね。
 深く守るようになったこともあるのでしょうが、簡単に交わされなくなり、シュートコースをしっかり消せるようになっていきました。



 中盤の守備等に関しては試合前にも話しましたが、この試合では懸念されていた攻撃面でもそれぞれの選手が一発を見せてくれた。
 先制点をアシストした町田、相手を抜き去ってゴールを決めた谷澤、そして豪快な一発をやってのけた森本。
 それぞれの選手が個人技を見せて、2ゴールを決めてくれました。
 

 この3選手も含めて主力選手は、夏場の疲労も抜けてコンディションが良さそうに見えます。
 この劇的な勝利でさらに勢いも増してくるでしょう。



 ちょっと懸念されるのは、ここをピークにしないことでしょうか。
 昨年も10月には熊本戦の6-0を含めて、3連勝を成し遂げていますが、そこからチームの勢いが下降していってしまいました。
 昇格を考えるとプレーオフ勝負となると思いますから、プレーオフまでにいかにチームの状態を持っていくかも大事になってくるはずです。


 とはいえ、まずはプレーオフ出場権を得ることが大事ですから、贅沢は言えないですね。
 大分には一昨年敗れたプレーオフの借りを返せた…と言いたい気持ちもありますが、それも昇格を決めてからにしたいところ。
 これからいよいよ、J2も佳境に入っていくことになりますね。