アギーレ監督による4-3-3の意図と課題と

 天皇杯は観戦でき、テレビでもまだ放送されていないので、明日にでも感想を。
 今日は日本代表について。
 ベネズエラ戦での日本は水本、柴崎、大迫、柿谷とメンバーを変えてきました。
 柴崎は代表初出場なんですね…。
 ちょっと驚きです。


 メンバーは一部変わったものの、フォーメーションはウルグアイ戦と同じ。
 やろうとするサッカーは大きく変わらない印象でした。
 それでもウルグアイ戦よりは連携が向上している部分はあるように思います。


 特に中盤における守備面のバランス。
 インサイドハーフサイドハーフの2人、あるいはインサイドハーフの2人がセットで、近い距離を取りながら囲んでい行くディフェンスが出来るようになってきた印象です。
 アンカーとのカバーリングも含めて中盤の5人で連携して守ろうという意識を感じましたし、これが4-3-3(4-1-4-1)の大きな狙いと言うことになるのでしょう。
 前回も話しましたが、ジェフも3ボランチを実施することがありますが、相手に人数を合わせているだけといった印象で、フォーメーションに限らずパスを展開されると対応に遅れが出ている印象です。
 このあたりはジェフも参考になる部分ではないでしょうか。


 ただ、ウルグアイ戦もそうでしたが、中盤で守れているときはいいですけど、後方での守備にはまだ課題が見られる印象で。
 中盤で囲む意識が強いからこそ、後方で押し込まれた時に奪いに行けない、DFラインとMFラインがうまく連携を撮れていないと言う印象もあります。
 2に試合共にDFとGKによる完全なミスからの失点ではあり、選手個々の問題も非常に大きいとは思いますが、最終ラインの連携が今後の守備の課題となっていくのではないでしょうか。



 攻撃においてもやることは変わっていませんでしたが、こちらもまだ課題も多そうです。
 前半37分には縦パスを受けた柴崎が反転して前方の大迫に出し、大迫の落としを森重が受けて柿谷が飛び出すという形を作ります。
 この展開では柴崎が後ろ向きで受けて、大迫もポストプレーでボールを落としてる。
 特に遅攻面では、やはりポストプレーが1つの狙いということになるのでしょう。
 まぁ、パスをつないでくサッカーをやろうという発想においては、ポストプレーからの展開というのはセオリーではありますが、現状だとかなりその意識は強めな気がします。


 ただ、うまくく縦パスを出して、落として、前を向いて…と作れた展開はは、2試合通じてもまだまだ少なかった。
 1つ感じるのは、4-3-3のフォーメーションに選手が戸惑っている部分があるのではないかと言うこと。
 例えばとしてウイングがポストプレーをした時に、どういった動きでそこをサポートして、どうやって3人目の選手が飛び出していくかといった部分で、悩みが見られた印象です。
 ポジショニングなども含めて、選手に攻撃の画がまだ"見えていない"印象があります。
 たかがフォーメーションとはいえ、やはり慣れていない形だと苦労する部分が出てくるんですね。



 ベネズエラ戦では、後半に入って岡崎と武藤を投入。
 ウルグアイ戦同様に、岡崎が1トップに入って武藤のようなアタッカーも増えて、前への勢いが増し攻撃が活性化していきました。
 単純に相手に疲労感が出て、全体のラインが下がったところもあるかもしれませんが、この2人の前へのスピードによって押し下げることが出来た部分もあったのでしょう。


 スピードある選手が入ることで、前への攻撃力を高めていく。
 しかし、遅攻を考えると、SBを走らせるサイドアタックが多く、クロスに合わせられる長身FWを起用したい。
 速攻を考えると、動けて前に速い選手を置きたい…という悩みも見えつつあるのかなと。


 そこで皆川に期待されていたのかもしれません。
 どこか巻に似ているという話も出ている皆川ですが、巻も単純にヘディンに強いFWというだけではありませんでした。
 巻の特徴は攻守に動けて、前へも動き出せること。
 アギーレ監督はそのまきに近い皆川を使うことで、遅攻でのサイドアタックも速攻での前への動き出しも期待した部分があったのかなと。


 実際には前著の通りまだチーム全体がパスワークの形を作れておらず、速攻の方がうまくいっているため岡崎の方が可能性を感じます。
 とはいえ、アジアレベルでの相手を考えると、遅攻の時間が長くなるかもしれませんし、その時に前方でガツンと競り勝てるFWが欲しいところなのかもしれません。
 一方で遅攻時に、ウイングがポストプレーばかりになってしまう問題も出ている印象で、そういったときに武藤のようにドリブルでの仕掛けも持っている選手がいると面白いのかもしれません。


 もしかしたら、インサイドハーフ田中もそういったところを求められていたということなんでしょうか。
 ただ、やはり"中盤"という意味では柴崎の方がゲームを作れそうで、この試合でも徐々にらしさを見せてくれていたように思います。
 しかし、さすがにまだピッチ全体をコントロールするところまではいかなかったですね。



 岡田監督のサッカーをそのまま引き継いだ印象のあるザッケローニ監督と違って、確実に自分の色を打ち出してきたアギーレ監督。
 それだけに、この2試合はテストというか準備の意味合いの強い試合になっており、その結果苦しんでいる部分があるのは当然と言えば当然なのでしょう。
 以前のサッカーをなるべく継続する形も出来たとは思いますが、ブラジルW杯の結果や世代交代の必要性、前チームの頭打ち感などを考えれば、これで良かったのではないかと思います。
 そこまでは考えておらず結果的にそうなっただけかもしれませんが、その結果武藤や柴崎なども出てきそうですしね。
(あえてジェフの話をすると関塚監督は当初なるべく継続しつつ、徐々に色が出てきている印象でしょうか。そのやり方自体は理解できるものだと思います。)


 新体制になった日本代表ですが、来年1月には早くもアジア杯が控えています
 アジア杯に間に合うのかといった不安の声も聞かなくもありませんが、逆に考えるとそれまでにはテストを終えて1つそれなりのチームをまとめざるを得なくなると考えると、チームとしての指標は明確になりやすいのではないかと思います。
 それまでは冷静に見守ることが、必要になってくるのかもしれませんね。