ライバル京都と打ち合いの末の引き分け

 前回はジェフが3-0で勝利した京都戦。
 今回は3-3で引き分けと、またも大きなスコアになりました。
 ジェフ目線で見ると、やはり京都は攻撃面は強力ですが、守備では課題も感じられた。
 京都はあえて前に出ていくという姿勢なのかもしれませんし、それは1つのスタイルだとも思います。
 しかし、それによって、ジェフは久々に大量得点が生まれたという言うことになると思います。
■森本のゴールで先制
 ジェフは前節と同じスタメン。
 ベンチに負傷明けのケンペスが入り、竹内が外れました
 対する京都は、前節に続いてドウグラスがスタートから出場。
 工藤もスタメン復帰となりました。
 一方で中山がメンバーから外れベンチにも入っていません。


 立ち上がりから、ジェフが積極的に前に出ていきます。
 相手が中盤中央にパスを出した瞬間に、健太郎か兵働が前にいってプレスをかけていく。
 そして、そこからハーフカウンターを狙うという形。



 しかし、それがはまっていたのも前半5分程度で、徐々に京都がボールを持つ時間を増やしています。
 中央のプレスを交わす形で、サイドから細かくパスをつなぎ、ボールを持ち上がる京都。
 これによってジェフのラインが下がっていき、プレスも機能していかなくなっていきます。
 ラインの下がったジェフは後方からパスをつないで行けず、ロングボールによる単調な攻撃が続いていきました。


 前半4分には京都後方からのロングボールをドウグラスが落として、大黒が受けてシュート。
 前半20分にはジェフが前方に蹴ったロングボールを相手に拾われ、田中から大黒にスルーパス
 大黒の放ったシュートは、ゴール右過ぎにそれます。


 けれども、京都も波には乗り切れず。
 大事なところでのパスミスが多く、チャンスを作れませんでした。
 大雨によるピッチコンディションの問題もあって、パスをつなぐサッカーには難しい部分があったのか。
 あるいは、中山の不在も大きかったのかなとも感じ、特に中央からパスを展開できなかったことが大きかったように思います。



 前半24分には谷澤が中盤低い位置でボールを奪うと、そのままドリブル。
 ボランチを交わして森本にスルーパスを出し、完全に抜け出したかと思いましたがオフサイド
 前半30分、井出からのスルーパスに左SBの中村がクロス。
 森本がフリーで受けるもシュートは決まらず。
 しかし、徐々にジェフがチャンスを作っていきます。


 そして、前半32分。
 相手ゴールキックからの展開でボランチに森本が競り勝つと、そのまま持ち上がって右サイドの井出に展開。
 井出は逆サイドの谷澤にクロスを上げると、谷澤は中央に折り返します。
 このボールに相手DFが触って軌道がずれたところを、森本が走りこんできてヘディングでゴール。
 

 その後も流れは、ジェフペース。
 しかし、追加点が奪えずに後半に進みます。
■試合終盤は打ち合いに
 後半は京都ペース。
 ジェフは前半飛ばし過ぎたのか、1点リードしたためか、運動量が落ち、受け身の守備になっていきました。
 DFラインも下がり、京都のパスコースが増える状況に。
 京都は前半よりもシンプルにドウグラスなど前の選手を使っていくようになり、ジェフのゴールに迫ります。


 後半5分から石櫃からドウグラスを狙うクロスが2度続き、後半8分には工藤に代わって投入された三平が山瀬のセンタリングからヘディングシュートを放つも岡本の正面。
 後半10分には京都が左サイドからテンポよくパスをつないで行って、ドウグラスが前で受け、一度山瀬に戻すと、サイドから斜めに走りこんでいった駒井にスルーパス
 駒井がジェフDFラインを抜け出してシュートを放つも岡本がセーブ。
この場面では、DFライン後方で簡単にサイドチェンジをされると、ジェフMFラインのスライドが完全に遅れ、そこから縦パスを出されたため、ボランチなども穴が埋められず、キムがドウグラスを潰しに行かざるを得なくなっていました。
 中盤の守備の問題から後手後手に回り、完全に崩されたシーンでした。


 そして、その直後の後半12分。
 中盤でジェフがボールを奪われると、その直後にボランチのところで相手を潰しきれずに縦パスをだされ、三平が右サイドでミドルシュートを決め同点にされます。
 中盤の守備で相手に圧力をかけられないことと、ラインの低さの問題で一気に形を作られてしまいました。



 ジェフは失点直後にオナイウに代わって町田を投入。
 森本に代わってケンペスを投入と、立て続けにカードを切っていきます。
 これで前線の2人が一気に入れ替わったことになります。


 試合の方は、その後一進一退。
 同点になった京都は、勢いを落としてしまった印象で前への勢いがなくなっていきました。
 運動量も落ちていき、中盤から後方にスペースが生まれていきます。


 後半17分にはジェフが中盤で自由にボールを回し、低い位置から兵働からケンペスにスルーパスを出し、そのままケンペスがシュートまで持ち込むも枠外。
 その直後には今度は京都の攻撃。
 大黒のポストからドウグラスが右サイドを抜け出し、センタリングを放つも山瀬と三平が重なってしまいシュートならず。
 後半30分には京都左サイドからの攻撃で、一度後方に下げて駒井がミドルシュート
 これはジェフDFに当たりますが、こぼれ球を拾ったドウグラスがゴール前に固まったジェフDFを交わすためボールを浮かせてオーバーヘッドでシュート。
 これを三平がゴール前で受け、シュートを放ちますがオフサイド



 どちらも中盤の守備にスペースが出来て、ゴール前のシーンが増えていく試合展開。
 スコアが動いたのは、後半32分。
 京都CKを三平がヘディングで合わせて勝ち越します。
 

 しかし、後半35分。
 今度はジェフの攻撃。
 FKからの流れで相手の足が止まっていたところを、右サイドで受けた途中交代の山中が思い切ってミドルシュート
 これをGK杉本がはじいたところをキムが合わせて同点ゴール。


 後半37分には中村のクロスを攻め上がっていた大岩がヘディングで合わせますが、GK杉本がセーブ。
 この辺り京都はサイドの守備で完全に後手に回っていましたね。
 その直後の後半38分、ジェフのCKからのこぼれ球を井出が思い切ってミドルシュート
 これが相手DFに当たり軌道が変わってゴール。
 3-2とします。



 最後まで攻め合う両者は後半47分。
 ドウグラスの落としたボールを石田が受けて前方にクロスを上げると、三平がヘディングで合わせるもオフサイド判定。
 ロスタイム、提示された目安4分が過ぎ、このままジェフが逃げ切れるかと思われた時間帯。
 京都左サイドからのスローインに誰も反応せず、田中がフリーでクロスを上げると、ドウグラスがヘディングでゴール。
 土壇場で同点となり、試合終了となってしまいました。
■京都との対戦で今までと違う展開に
 やはり京都相手ということで、今までの試合とは印象の違う試合になったように思います。
 最も違いを感じたのは、相手の守備。
 京都は攻撃力は武器ですが、ここまでリーグ戦最近4試合で8失点と守備には課題がある。
 それがこの試合でもはっきり出たように思います。



 京都は前に出ていけている時はまだいいのですが、引いて守った時の守備に課題が感じられました。
 ここまでジェフの対戦相手は初めから引いて守ることを前提に守ってきたので、全体が押し込まれてもしっかりと後方のスペースを消してきました。
 しかし、京都は押し込まれることを前提として考えられていないのか、引いて守る際にスペースをうまく潰せない。
 単純に選手たちが後方に下がるだけで、サイド、中盤においてのスペースケアが出来ていない印象でした。


 それによって特に後半同点になってから、ジェフは自由にボールを回すことが出来たし、効果的に攻めることが出来ていた。
 久々に左サイドからもクロスを上げるところまで持っていけていましたが、それも京都が守備の穴を埋められていなかったことが大きな要因でしょう。
 ここ最近は5バックでサイドも中央もDFのブロックの前でしか回せず、そこからポンッと前方に蹴るしかなかったですけど、この試合ではそこから先にもスペースがあったと。
 そのあたりが大量得点につながった部分だと思います。



 一方で3失点してしまったジェフの守備に関しては、前半の立ち上がりこそ良かったものの、それ以降は押し込まれてしまった。
 そして、後半からは明らかに中盤のバランスが崩れ、スペースが生まれてしまった。
 それによって、守備に移った際に一気に高い位置までボールを持ち込まれ、ピンチを作られていきました。
 結果、殴り合いの試合となり、大量失点につながった一環だったように思います。


 それでも、これまでの試合ならゴール前までボールを持ち込まれても、両CBとGKの活躍で抑えきれていたところがあった。
 けれども、京都は現在得点ランキングトップの大黒を筆頭に、攻撃陣にタレントが多い。
 結局、今までは個人能力で耐え凌いでいられましたが、京都相手にはそれが通じなかったということになるのではないかと思います。




 それでも、攻守ともにひどい内容だった前節水戸戦よりは、やりたいサッカーが出来ていたのではないかと思います。
 その1つとして考えられるのが、相性の問題。
 京都はパスをつなごうとしていましたが、前半は特にミスが多くそこから現在のジェフの狙いであるカウンターが作れたこと。
 相手の守備にスペースがあったため、とにかく早く前にボールを出そうとする現在のジェフのサッカーに合っていたこと。
 そして、同じ4バックのフォーメーションだったため、前節のような守備時のミスマッチがなく守れたこと。


 このあたりが他のチーム相手だとどうなるのか。
 特に守備の部分は凄く気になる部分だと思います。
 4バックならば大きな穴はなくやれるということなのか。
 ただし、それでも中盤の守備バランスには課題が出てしまったことは、忘れてはいけない部分だと思いますが…。



 最後に失点して展開的には残念な試合ではありましたが、どちらも課題が見られた試合だったと思いますし、内容からすると引き分けで妥当な試合だったかなとも思わなくもありません。
 精神的なダメージも気になるところですが、こういった展開の試合は良くも悪くも今後あまりないのではないかと思いますし、そう考えれば気持ち的な切り替えはしやすいのではないかと思います。


 それにしても、試合終盤はクローズすることが出来たのではないかとも思ってしまいます。
 このあたりが、自分たちの甘さとも言えるのかもしれません。 
 ジェフも京都もこういった試合を勝ちきれないことが、上に行けない大きな課題なのかもしれませんね…。