メキシコ人アギーレ監督の就任が決定
日本代表の次期監督に、メキシコ人のアギーレ氏の就任が決まったようですね。
経歴はWikipediaなどで。
当然、気になるのは、どういったサッカーをする監督なのか。
以前にも書いた通り、原技術委員長はイタリア人のザッケローニ監督、手倉森監督などを招聘したことから考えると、守備的なカウンターサッカーがしたかったのではないか。
自分も監督時代にはそういったサッカーをしていたし、直前には岡田監督の成功例もあったわけで。
けれども、アジアレベルでは相手が引いてくることもあって、どうしてもポゼッションで崩さなければいけない部分がある。
しかし、崩しの部分を作れないザッケローニ監督のチームは、選手に頼ったパスサッカーになってしまった。
それによってコンディショニングに大きく左右されるチームになってしまい、コンディショニングの失敗もあってW杯では惨敗を喫してしまったのではないか。
これが大まかな感想です。
アジア対策のポゼッションサッカーから、世界対策のカウンター(ハーフカウンターも含む)に切り替わるキッカケのようなものが何かあればよかったのではないかと思うのですけど、今回は明確なキッカケがなかった。
スタイルに関しては、大なり小なり使い分けは必要とはいえ、どちらに重心を置くかという点は非常に大事な部分なわけで。
岡田監督の場合はオランダ戦での大敗、トルシエ監督の時もサンドニの悲劇などがあったわけですけど、今回はコンフェデもうまく使えなかった。
ある意味でぶっつけ本番の世界舞台で、「井の中の蛙」状態だったのかもしれません。
そのあたりは協会として反省すべき点も大きいのではないでしょうか。
アギーレ監督に関しては、やはりスペインクラブでの実績よりもメキシコ代表監督としての評価が大きいのではないでしょうか。
以前から日本代表が参考にすべきチームという意味で、メキシコの名前は上がっていましたしね。
身体的には大きな差もなく、技術力もあって…という話をよく目にしました。
ただ、個人的には「本当に似ているのかな?」という疑問もなくもありません。
今大会でもそうでしたが、メキシコ人は足が長く、1人1人ボールをキープするのがすごくうまい。
日本人はその逆で足は長くないけれども、テンポ良くボールを回したり、すばしっこく動くのが得意な選手が多い。
ボールのキープなどはむしろ苦手で、Jリーグのクラブを見てもそこは外国人選手に任せて、そこをアクセントにするチームが多いと思います。
そこを勘違いしてメキシコ人に体格が似ていて、メキシコ代表の監督を招聘したから、日本代表があのサッカーをできると考えてしまうと、うまくいかなくなる可能性もあるのではないかと思ったりします。
やはり最終的には日本人らしいサッカーを追及する必要性があるわけで、アギーレ監督も当然アジャストしていかなければいけない部分は出てくるでしょうし、協会もしっかりコミュニケーションをとる必要があるのだろうと思います。
その上でどうなるか…ということですね。
まぁ、大枠では近いところはあるのでしょうから、ザッケローニ監督の作れなかった「自分たちのサッカー」、あるいは(メキシコ風の?)「日本人らしいサッカー」をつくることが、狙いということではあるのでしょうか。
サッカーのスタイルという点においては、メキシコチームを思い返してもショートカウンター狙いになるのかなぁと思わなくもありません。
オシム監督もアギーレ監督に関して「守備的な戦術家だという印象がある。守備のスペシャリスト」と話しています。
これは原監督の狙う本来の方向性なのかもしれませんし、W杯で守備面に課題が見られたことに対する反省も踏まえているのかもしれませんね。
ただ、アジアレベルでどう戦うか。
またオシム監督の言葉を借りてしまいますが、以前にも取り上げたとおり「先に相手にボールを渡してミスを待つ消極的な方法では、力の劣る相手に勝てない」という見方もあります。
そのオシム監督も、反町監督や関塚監督、岡田監督などもアジアレベルでは、ポゼッションサッカーをせざるを得なくなっていた印象もありますし。
また、ザッケローニ監督は控えめな性格もあって最後まであまり自分を出さなかった印象もありますが、アギーレ監督はどうか…という部分も気になるところですね。
目下の目標はアジアカップということになりますね。
しかし、W杯直後の1月にアジアカップとは…。
選手たちのコンディションも心配ですし、準備期間も短い。
W杯出場国にとっては、いきなり難しい大会が控えていることになります。
ところで、話は少し逸れてしまいますが、「次期監督就任の前にこれまでの分析を」という話をよく目にします。
すごく良い傾向だとは思うのですけど、実際にはそういっている人たちも含めてあまり細かな分析をしていないように感じるのはちょっと残念です。
また、分析をすべき相手として、ファンなども含めて書かれていることもあって、これはすごく興味深いことだなと思います。
チームの将来を決めるのは、協会や監督、選手だけでなく、ファンも一緒に考えていかなければいけない。
理想論とはいえ、正しい方向性ではあるのではないかなとも思います。
その点で意外とJクラブの方が、フロントなどに丸投げしている部分がある印象がなくもないかなと。
ジェフでもこれだけ監督が交代して方向性がぶれているように見えるのにもかかわらず、「過去の分析を」という話はあまり聞かれないような気がしますしね。
将来に向かってより良い一歩を踏み出すために過去の反省は必要不可欠だと思いますし、代表にせよクラブにせよそこはもっと議論されてもいい部分なのではないかなと思います。
ともかくアギーレ監督がどのようなサッカーをするのかに、まずは注目したいところです。